自分が感じた«手応え»を大事にしよう。アニメ『Do It Yourself!! -どぅー・いっと・ゆあせるふ-』で不覚にも泣いてしまった。
2022年秋アニメ。皆さんは何を視聴してますか?原作人気と気合の入った作画で話題を席巻している『チェンソーマン』『SPY×FAMILY2期』、それとも新しいガンダム『水星の魔女』あたりでしょうか。ていうか今期めちゃくちゃクオリティ高い作品多くないですか?
そんな群雄割拠の中でひっそりと、しかし確実に話題になりつつあるオリジナルアニメ、『Do It Yourself!! -どぅー・いっと・ゆあせるふ-』を紹介したい。
のんびりした性格で空想で上の空になってるうちにケガをする「結愛 せるふ」が、DIY部の部長「矢差暮 礼」と出会ったことでDIYに興味を持つことで始まる部活動アニメです。
脚本は『ごちうさ』『少女終末旅行』『プリパラ』などの筆安一幸(ふでやすかずゆき)さん。監督は『かげきしょうじょ‼』『鬼灯の冷徹』の米田和弘さん。この二人の組み合わせで自分が見たことがあるのは『魔法少女なんてもういいですから。』ですが、知ってる人がどれだけいるか…。
作画は現代の影やテカリのような効果を極力省き、髪の影に差し色を加えることで印象を強くしている。場面によっては中割りをあえて少なくしているようで、漫画チックな表現でキャラが動く。カメラが遠めになった時もあえて作画を簡略化させて、それが逆に作品全体の雰囲気がゆるやかで非常に観やすい画になっている。
ゆるいだけではなく、キャラの作業するシーン…特に電動ドライバーを扱うシーンはかなり道具自体の作画も丁寧で、滑らかな作画にしてDIYシーンを印象的に映す緩急が非常に良い。
◆何かを面白いと感じた瞬間。その«手ごたえ»
なによりこのアニメが自分に刺さったのは、せるふがDIY部に入る決断をしたキッカケの描写です。
部室に訪た際に、棚のネジ留めをやってみないかと電動ドライバーを渡される。初めての電動ドライバーに緊張しながらトリガーを引いたら、勢い余ってネジは曲がって刺さり、棚を傷つけた上に本人はずっこけてケガをしてしまう。
ほぼ失敗のようなネジ留めだったが、これが部に入るキッカケになる。
せるふは幼少期に、ぼーっとしがちで危険察知能力が皆無な性格が災いして、カッターや彫刻刀で何度もケガしていた。そのため母親からは工作禁止を命じられ、それ以降工作することは無かったのだろう。
だからこそ、失敗に見えるようなネジ留めでも、彼女にとっては初めての成功で、何より嬉しかったことなのです。
このせるふが«手応え»を感じた瞬間に、自分も共感したのかもしれない。
スポーツでもゲームでも何事にも、「負けたけど面白かった」と手応えを感じる瞬間は誰もが経験あると思う。自分でいえば、「STGでクリアできなかったけど、いつもより上手く弾が避けられた」「Noteでほかのひとよりスキは少ないけど納得できる記事を書けた」とかだろうか。
1話の導入というと、何も知らなかった主人公が才能を発揮して成功を収めるパターンが多い。その印象があってか、現実でもなんとなく「最初に上手くできなきゃ才能無し」と自分で勝手に烙印を押している気がする。
だけど。社会の評価とか、他人と比べて上手いか下手かとかよりも。たとえ完璧な成功でなくても、何かを始めるキッカケになる自分で感じた«手応え»が大事なのだと。そう考えたら、たまらず目がウルッときてしまった。
本作の時代設定は比較的近未来…ドローンが街を飛び交い、無人バスが運行し、家にはキノコのようなクラゲのようなロボットが出迎えくれる。高校では3Dプリンタを使用した授業もしてるらしい。そんな世界の中でDIY部は「時代遅れでかび臭い」とたびたび言われる。でもそんななかで、DIY部のメンバーが自分の手で何かを作る行為に手応えや意味を見出していく過程が、いとおしく、泣けます。
DIY以外にも、幼馴染とまた仲良く遊びたいせるふと素直になれないぷりんの百合的な要素もあるので、今後の展開も見逃せません。
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