見出し画像

技能実習生受け入れの新たな枠組み 日経新聞最新記事を解説!


日本は深刻な人手不足に直面しており、外国人技能実習制度は貴重な労働力確保の手段として機能してきました。しかし、技能実習制度は実習生の人権侵害や来日前に多額の借金を背負わせるなどの問題点が指摘され、国際的な批判を浴びてきました。特にベトナムからの実習生は、高額な手数料を支払うケースが多く、これが借金や人権侵害につながっていると問題視されてきました。

JICAと国際労働機関の連携

こうした課題を解決するため、国際協力機構(JICA)はベトナム政府や国際労働機関(ILO)と連携し、「ベトナムから日本への移住労働者に関する公正で倫理的なリクルートイニシアティブ(VJ-FERI)」という新たな枠組みを構築します。この枠組みは、2024年秋の実施を目指しており、実習生の来日費用を日本の採用企業が半額以上負担することを求める指針を設け、この指針を順守する企業による新たな人材仲介網を構築します。

実施の目標と具体的な取り組み

新たな枠組みの具体的な実施は、一般社団法人「JP-MIRAI」が運用し、企業の求人票が指針に合致しているかを事前審査します。また、送り出し機関に対しては、ブローカーを使った人材募集や日本側による接待の要求を禁止するなど、透明性と公正さを確保するための措置が講じられます。

育成就労制度の初心者向け解説はこちら!
育成就労.comでは、育成就労制度を初心者向けに解説した記事を数多く掲載しています。より分かりやすく育成就労制度を理解したい方はこちらを御覧ください。


企業負担の増加:人権保護と優秀な人材確保への投資



この新たな枠組みの最も大きな特徴は、実習生の来日費用の半額以上を採用企業が負担することです。これにより、実習生の経済的負担が大幅に軽減され、借金問題や人権侵害のリスクが低減されることが期待されます。

採用コスト増加の影響

企業にとっては、採用コストが増加する負担が生じますが、これは人権保護への投資と捉えることができます。国際社会では、労働者の人権を尊重する企業姿勢が重視されており、この枠組みに参加することで、企業は国際的な評価を高め、優秀な外国人材を惹きつけることができるでしょう。

実習生の経済的負担軽減

実習生の経済的負担が軽減されることで、借金問題や人権侵害のリスクが低減されるとともに、より安心して来日できる環境が整います。これにより、企業側も信頼できる送り出し機関を通じて優秀な人材を確保できるようになります。

育成就労制度の初心者向け解説はこちら!
育成就労.comでは、育成就労制度を初心者向けに解説した記事を数多く掲載しています。より分かりやすく育成就労制度を理解したい方はこちらを御覧ください。



新たな仲介網の構築:透明性と公正さを確保


VJ-FERIでは、指針を順守する企業による新たな人材仲介網が構築されます。この仲介網は、一般社団法人「JP-MIRAI」が運用し、企業の求人票が指針に合致しているかを事前審査します。また、送り出し機関に対しては、ブローカーを使った人材募集や日本側による接待の要求を禁止するなど、透明性と公正さを確保するための措置が講じられます。

JP-MIRAIの役割

JP-MIRAIは、企業の求人票が指針に合致しているかを事前審査する役割を担います。これにより、企業は指針に準拠した適正な採用活動を行うことが求められます。

送り出し機関への規制強化

送り出し機関には、ブローカーを使った人材募集や日本側による接待の要求を禁止するなどの規制が設けられます。これにより、透明性と公正さが確保され、実習生が安心して来日できる環境が整います。

国際規範への配慮:持続可能な外国人材活用に向けて


ILO総会で採択された国際条約は、「労働者から手数料または経費を徴収してはならない」と定めています。しかし、ベトナムなどアジアの多くの国では手数料徴収が認められており、国際規範との整合性が課題となっていました。

国際規範との整合性

今回の新たな枠組みは、法的拘束力はありませんが、指針を順守することで、企業は国際規範に配慮した姿勢を示すことができます。これは、国際社会からの評価を高めるだけでなく、持続可能な外国人材活用に向けても重要な一歩となるでしょう。

持続可能な外国人材活用

指針を順守することで、企業は持続可能な外国人材活用のための基盤を築くことができます。これは、国際社会からの評価を高めるだけでなく、長期的な人材確保にもつながります。

育成就労制度の初心者向け解説はこちら!
育成就労.comでは、育成就労制度を初心者向けに解説した記事を数多く掲載しています。より分かりやすく育成就労制度を理解したい方はこちらを御覧ください。



今後の展望と課題


この新たな枠組みは、まずベトナムからの実習生を対象に導入されますが、将来的には他の国々への拡大も検討されています。また、2027年にも始まる新たな在留資格「育成就労」でも、同様の費用負担の仕組みが導入される予定です。

他国への拡大

新たな枠組みは、ベトナムからの実習生を対象に導入されますが、他の国々への拡大も検討されています。これにより、より多くの国から優秀な人材を確保することが可能となります。

企業の対応と課題

企業にとっては、採用コストの増加という課題がありますが、生産性向上や業務効率化などを通じてコスト増を吸収していく必要があります。また、この枠組みが実効性を持ち、実習生の人権保護と日本企業の人材確保の両立に貢献するためには、政府、企業、送り出し機関など、関係者全体の協力が不可欠です。

今回の取り組みは、技能実習制度の課題解決に向けた大きな一歩であり、外国人労働者と日本企業の双方にとってWin-Winの関係を築くための重要な試みと言えるでしょう。

参考文献:日本経済新聞(2024)「技能実習生の来日費用、採用企業が5割超負担」, <https://www.nikkei.com/article/DGKKZO81512140Q4A620C2MM8000/> 2024年7月4日アクセス.
育成就労制度の初心者向け解説はこちら!
育成就労.comでは、育成就労制度を初心者向けに解説した記事を数多く掲載しています。より分かりやすく育成就労制度を理解したい方はこちらを御覧ください。

監修:センターポイント協同組合



いいなと思ったら応援しよう!