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なぜ技能実習制度は廃止?政府決定の育成就労制度とは?

新制度、育成就労制度の閣議決定

日本政府は、3月15日、技能実習制度の代替として設計された育成就労制度の創設を目指す技能実習適正化法などの改正案を閣議決定しました。
育成就労制度は、技能実習制度における人権侵害の問題に対処し、外国人労働者の支援体制を強化することを目的としています。
ではなぜ技能実習制度に代わって育成就労制度が創設されることに鳴ったのでしょうか?
この記事では、技能実習制度における問題点と、育成就労制度においてそれをどのように解決していくかについて解説します。

育成就労制度の初心者向け解説はこちら!
育成就労.comでは、育成就労制度を初心者向けに解説した記事を数多く掲載しています。より分かりやすく育成就労制度を理解したい方はこちらを御覧ください。


技能実習制度はなぜ育成就労制度に変わる?

育成就労制度の創設背景には、技能実習制度における深刻な人権問題が大きく影響しています。
1993年に始まった技能実習制度は、発展途上国からの労働者に日本での技術や知識を習得させることを目的としていました。
しかし、技能実習制度は多くの人権侵害の温床と鳴っていると国内外から指摘されていました。
具体的には、長時間労働、賃金未払い、暴力やハラスメントなどです。
これらの問題は、技能実習制度が外国人労働者の技能向上よりも、国内の人手不足を補うための安価な労働力として利用されている実態を浮き彫りにしてきました。
労働者の権利が軽視され、適切な保護措置が欠如している状況は、日本国内での人権意識の問題を示すものです。
このような現状を受け、日本政府は技能実習制度の問題点を解決し、外国人労働者にとってより良い労働環境を提供するために、育成就労制度の創設に踏み切りました。
育成就労制度では、外国人材の支援体制を強化し、人権侵害の防止に重点を置いています。具体的には、転籍の制限を緩和、

育成就労制度の創設は、技能実習制度における人権問題に対する明確な対応策であり、外国人労働者が人権を尊重された環境で働けるようにするための重要な一歩と言えます。この制度が成功すれば、日本の国際的な人材獲得競争においてもポジティブな影響をもたらし、国内の人手不足問題解消にも貢献することが期待されています。
それでは、そういった人権侵害を解決するための、育成就労制度の具体的制度内容について見ていきましょう。今回は主に3つ、転籍制限の緩和、監理支援機関、特定技能の3つに絞って解説します。


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育成就労制度の具体的制度内容

転籍制限の緩和

技能実習制度の下では、外国人労働者は原則として同じ雇用者のもとで働き続けることが求められ、職場の変更が困難でした。
これが長時間労働や賃金不払いなどの不適切な労働条件下においても転職ができない一因となっていたことは明白です。
育成就労制度では、この転籍制限を緩和し、1~2年の就労後には同じ業種内での転職を可能としました。
これにより、外国人労働者はより良い労働条件を求めて自由に職場を選べるようになり、労働環境の改善が期待されます。

監理支援機関

技能実習制度における人権侵害問題の一因は、不適切な管理体制にありました。
育成就労制度では、外国人労働者の適正な管理と支援を行う「監理支援機関」の設立が義務付けられています。
これらの機関は、労働者の就労環境の監視や相談対応、日本語教育などのサポートを提供し、労働者の権利が保護します。
監理支援機関の導入により、外国人労働者が安全で健全な労働環境で働けるようになることが期待されます。

特定技能への移行

育成就労制度では、外国人労働者が「特定技能1号」への移行を目指し、専門的な技能を3年間で育成します。
特定技能1号取得後は、最長5年間の就労が可能であり、さらに高い技能を持つ「特定技能2号」への移行も目指せます。特定技能2号の取得により、労働者は事実上無期限の滞在や家族の帯同が可能になります。
特定技能制度により、外国人労働者は日本での長期的なキャリア構築と生活基盤の確立を目指せるようになります。

このように、育成就労制度では、現在問題となっている人権問題に対応するため、様々な方策が考えられています。
しかし、もちろん懸念点も指摘されています。


育成就労制度に対する懸念

立憲民主党は、改正案が人権に対する配慮が不十分であると指摘し、より人権を尊重する制度設計の必要性を訴えています。技能実習制度から育成就労制度に制度名を変えただけでは今起きている問題は解決できないであろうという指摘です。
立憲民主党は、外国人労働者の保護をより強化するための対案提出を検討しており、制度の見直しを求めています。


まとめ

育成就労制度の導入は、日本の人手不足問題の解消、そして外国人労働者にとってより良い就労環境を提供することを目的としています。
しかし、技能実習制度の問題点を継承してしまう可能性や、人権保護の観点からの懸念が指摘されているため、今後の改善が求められます。
育成就労制度が外国人労働者の権利を守り、彼らが日本社会で長期的に貢献できるような環境を整えることが、重要な課題となっています。

参考文献:佐賀新聞(2024)「外国人技能実習を廃止し『育成就労』制度創設へ、関連法案を閣議決定…人手不足補う目的を明確化」, <https://www.saga-s.co.jp/articles/-/1210189#goog_rewarded> 2024年3月25日アクセス.

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監修:センターポイント協同組合


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