姿見の前に兵隊のように並んでいる化粧品のボトルをチラ見しながら主人がいいました。 「なんか最近、肌ツヤいいよね？またなにか始めたの？」 「また」という言葉にカチン。 確かに、整形手術以外は色々と手を出している私なので、そういわれても仕方がありませんが、日々キレイになる努力をしていることは見て見ぬ振りをしてほしいものです。 しかし、長年連れ添った男でも褒められるとやはり嬉しい。 肌ツヤがいい？ 私は主人の言葉を反芻しながら、いそいそと洗面台へ向い、電気のスイッチをパチン
小さいころからイヌ派だった私が、一匹のネコに溺れて行く様を書きました。 ＊＊＊ わが家には推定十歳になる、まるという名の三毛ネコがいます。 ネコは何を考えているのかわからないからコワイ、私は長年そう信じ切っていました。まるに会うまでは。 十年前のある夏の日のことです。 台所で洗い物をしていた私の耳に、まるでその日訪ねて来ることが決まっていたかのように、人懐こく鳴くネコの声がしました。 ドアをノックするようにくり返すその声に、私はほんの少し興味を持ちながらも完全無
好きな相手から、ふいに後ろから抱きしめられるバックハグ。 これ、恋愛中なら最高のシチュエーションだと思いませんか？ 彼の腕の中は自分だけのゆりかご。 愛され、甘やかされ、守られる。 そこは自分が大切にされていることが実感できる特別な場所です。 触れあっていたいと思う気持ちは、つきあいはじめた頃が一番強いもの。 悲しいかな、 どんなに好きな相手でも、長い間一緒に過ごすことで人は慣れを感じていきます。新鮮な気持ちが薄れてくるのは自然なこと。 主人もまたしかり、結婚してからは
