文字と詩と想像と。

本。それは文字と想像が生み出す、この世のもう1つの世界。
それは何でもありの、言わば無法地帯なのである。だから、空を飛ぶこともお金を降らせることも出来、人を殺そうがテロを犯そうが罪には問われない。
しかし、その世界にも神様はいるのだ。そう、書き手と読み手である。書き手は言わずもがな、直接文字によって制裁を加えたりその事象を無かったことにできる。では、読み手はどういう能力の神様なのだろうか。

読み手は、文字をその世界に介入させることは出来ない。だから、起きた事象を変えることも制裁を加えることも出来ないのだ。しかし、本を作るのは「文字」と「想像」である。その世界に流れる音楽、空気、感情、視線、全ては読み手の解釈によって決まる。それによって事柄は変化し、世界は分岐していくのだ。

人間は実に不思議で、現実に非現実を起こそうとする。それは、1つの逆襲の方法であり、願いなのかもしれない。


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