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子どもの砂場あそび。やらせる?やらせない?

元テレビ局のアナウンサーで、NHKの「すくすく子育て」の司会も務めた天野ひかりによる連載です。 今まで5万人以上から相談を受けてきた親子コミュニケーションのプロが、実際によく相談される悩みをどうやったら解決できるか、自己肯定感を育てる会話のコツをお話します。

■子どもには砂場で遊んでほしくないんです

子育てをしていると、いろんな人からいろんなアドバイスを受けませんか?
小さいことですが「砂場あそび」ひとつとっても様々な意見があります。
「砂場あそびは不衛生だからさせなくてもいい」という人もいれば
「砂場あそびは想像力を育む大切な遊びです!」という人もいます。
人によってバラバラで、一体どれを信じたらいいの?となりますよね。

砂場あそびに限らず、
「絵本の読み聞かせは積極的に! 読解力が育ちますよ」
「積み木あそびをさせると想像力を育めます」
などと聞くと、「やらせなくては!」と焦ります。

子どもが夢中になってくれたら一安心ですが

・子どもが全く興味を示さない
・じつは親自身が、その遊びが好きではない
・そもそもそんな時間がない

「でも、教育には良いと私も思うので、なんとかしてやらせたほうがいいですか?」

というのが今回のご相談です。まずはNGマンガから。

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実際に砂を触って何かを作ることは、大変魅力的に感じますね。
その一方で、砂場には雑菌やガラス片など、危険もありそうで、遊ばせていいものか……と戸惑うお母さんも多いと思います。
それでは何が子どもにとってベストなのでしょうか?
OKマンガを見てみましょう。

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■重要なのは砂場あそびをしたこと? しないこと?

OKマンガで子どもたちはクッキー作りに夢中になりましたね。小麦粉をこねる手の感触や想像力を働かせながら、手先を使って形を作ることは、砂場あそびと似ています。口に入れても良いという安心感もありそうです。

ここで最も重要なのは「子どもが砂場あそびをしなかった」ことではなく、「子どもが自分のしたいことをした」ということです。
マンガで姉弟は砂場あそびを嫌がりました。でもクッキーは楽しそうに作りました。
その逆もあるでしょう。
クッキー作りに全く興味がなくて、砂場のトンネル堀りや泥団子作ることが好きな子ども。虫を集めることが好きな子ども。
子どもによって、興味の対象は異なります。
そして、成長とともにその興味の対象は変化していきます。

■◯◯すべきを親が決めない

子育てにおいて「〇〇すべき」という考えを外してみましょう。
・砂場あそびをさせるべき
・絵本を読み聞かせるべき
・手作りを食べさせるべき
などなど。

「〇〇すべき」だと思って頑張ったのに、子どもがやってくれない……と辛くなったら、やめていいと思います。
たとえば離乳食。頑張って作ったのに、食べてくれない!とイライラしたら、手づくりにこだわることをやめてみましょう。

まずは、お父さんお母さん自身が楽しめることを第一優先にしてみてください。
そして「すべき」や「させない」を、親が勝手に決めないことが大切です。

砂場あそびも、子どもがしたいときにできる環境を整えればいい。逆に、子どもが砂場あそびをしたがったら、汚れを気にせずに思いっきりできるといいですね。

小学5年生になると、理科で「流れる水とその働き」を学びます。
授業で、実際に砂で小さな土手を作って水を流す実験をすると、最近の子どもの中には、泥に触るのが珍しいのか、楽しくて遊んでしまう子が多いと小学校の先生方からよく聞きます。
授業の目的は、流れる水には、土地を侵食し、石を運搬し、堆積させる働きがあることを学ぶこと。しかしそれよりも、手の感触に興奮する子が多いのだそうです。
いろいろなものに触れてきた子は、すんなり学習に入れるそうなので、子どもが興味を持ったタイミングを逃さずに、いろんな体験を楽しめるといいですね。

■今日のコミュポイント■
「親の〇〇すべき」よりも「子どもの〇〇したい気持ち」を大切にしよう」

マンガ:とげとげ。

■プロフィール■
天野ひかり
上智大卒。テレビ局アナウンサーを経てフリーに。NHK「すくすく子育て」キャスターの経験を生かし、親子コミュニケーションアドバイザーとして 講演や企業セミナー講師を務める。子どもの自己肯定感を育てるため自身で立ち上げた「NPO法人親子コミュニケーションラボ」代表理事、一般社団 法人グローバルキッズアカデミー主席研究員。主な著書に『子どもが聴いてくれて話してくれる会話のコツ』(サンクチュアリ出版)
や『賢い子を育てる 夫婦の会話』(あさ出版)などがある。


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