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20230116 日記263

おやすみ。

朝から立川に行って、ご飯→映画→ご飯→サウナ→ご飯→映画というイイ休日を過ごしました。

THE FIRST SLAM DUNK

2回目を観ました。

2回目で興奮や体験の質が落ちることが無いのがすごい。

どうしても兄になりかわることは出来ないことを自覚した後に、すぐに何かが変わるわけではなかったとしても、宮城リョータとして最強山王に挑むことを決意し、ドリブルとシャトルランをする一連の描写が一番好きなところかもしれない。

衝動をぶつける行動が地道な基礎練習というのがめっちゃ良くて、三井との喧嘩とバイク事故のあと、ちゃんとバスケと向き合い続ける覚悟を決めたように思えて、自分も走り出さなくては……と心に火を点けられるんですよね。

ラストで描かれるリョータの海外行き、山王戦で示したプレイヤーとしての資質が前提にありつつ、この映画でたびたび兄ソータを通じて描かれた『海』というモチーフを越えたからこその海外という感触がして良かった。

三井はカッコいいのでズル。

THE FIRST SLAM DUNK、これまで観てきた全ての映画の中でも体験という意味では歴代トップといっていいくらいすごい作品で、観終えたあとに魂が燃える感覚があるのがすごく好きなところ。

走り出したくなった時、何度でも観たい映画でもあるので、円盤化されたら買っちゃうかもしれない。でも映画館で観たいね……。

リズと青い鳥

何回観たかは分からないけど、結構久しぶりに観た。

上映当時、飛べないままみんなと離れたくない一心で、友人たちを囲っていた自分はいろいろ食らいまくってしまった一作だったのだけど、あれから約5年ほどの時間が経過して、大好きだけど、思った以上にヘンな映画だったんだな……という気づきがあった。

同時に、5年の間に面白い作品は山ほど生まれたが、リズと青い鳥に追随する作品は出てきていないようにも感じ、薄い氷の張った湖をつま先立ちで歩くかのような繊細さはオリジナルで在り続けているようにも思う。

なんか、かつての自分は能力の差、並び立てない自分という文脈を軸に観ていたように思うのだけど、今回はどちらかというとコミュニケーションの話として観ていて、鎧塚みぞれさんが分かりやすく上手くコミュニケーションできない人のように描かれていたけど、傘木希美さんのあまりの無自覚さも、また別のベクトルでヤバイ感触があった。

不完全な二人の姿と、その関係性に名前をつけたりせず、言葉にならない感情は、可能な限り言葉にならないままに、ただ、そこにあるように描いている。

現代のエンタメを享受する中で、何か作品を観るとある種のサービス精神が提供されるのが当たり前のような感覚になっていたけど、俺が憧れていていた山田尚子監督の作家性は、観ている我々への目配せ異常に、そこに生きているキャラクターたちの人生を尊重し、可能な限りこちらから手を加えることのない、徹底した誠実さの中にあったことを思い出された気がする。

そんな繊細なものを描かれると、パンをもらえなかったアライグマくんのことをネタにしたり、傘木希美にゆでたまごと同時に「お前は煮詰まった孵らない卵だ(しかし、味はあって美味しい)」という引導を渡しに来た剣崎梨々花さんのことを思ったり「はばたけ!」というデカい横断幕を広げて、みんなで泣きながら音大にいくみぞれを送り出す熱血リズと青い鳥を想像したりして、心の中のバランスを取りたくなってしまう。

水彩絵の具の重なった色だけで表現するシーンとか、2羽の鳥が無音で空を飛ぶシーンとかも、何周かしてちょっと面白くなってきてしまったの本当に良くないと思う。

改めて、めっちゃいいなと思ったのが高坂麗奈と黄前久美子の第三楽章演奏シーンで、鎧塚みぞれと傘木希美のハーモニーが噛み合わないのは、決して力量の差だけが原因ではないことを描いている(技量は高坂の方が上で『強気なリズ』だとしても、志を共有している黄前との合奏では対話になるため)のだなと思った。

ようは、傘木と鎧塚は、どちらもお互いのことと自分の中の問題を直視することができていないからいびつな掛け合いになるのであって、これまでの時間で、そことぶつかってきた高坂、黄前の二人にそれは起こらないということなのだと思う。

ここに、夏希パイセンの「私からすれば、二人ともフルートとオーボエのエースって感じでカッコいいと思うけどね」も効いてくる。

思った以上に、夏希パイセンと吉川優子のバランス感覚に救われる映画でもあったなと思う。

剣崎梨々花さんの登場シーンに流れるBGMのことが本当に大好き。

家にあるリズと青い鳥タペストリー。

家の中にいて、毛布にくるまりながらハーゲンダッツ(一人用の高級アイス)を食べる鎧塚みぞれと、外で棒アイス(箱入りの多人数用と思われる)を食べる傘木希美、交わらない視線。

そんな状況をタペストリーにするなと突っ込まざるを得ない。Happy Icecreamじゃないがという感じがしてめっちゃ気に入っている。

映画をみてどう思うかに変化があるのは感じたが、やはり自分にとって大切な映画であることは間違いない。

何年かした後、またどう思うかちょっとずつ変わっているのだろうな……とも思う。また観ましょう。

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