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嫌いじゃないアメリカのそういうところ


KISSを聴いている。
いやーバカで良い。(ほめています)


こんなにアメリカっぽいバンドもそうないのではないか。

『ラブ・ガン』ってタイトルが、もういきなりの下ネタだ。
歌詞を見れば、

「なあ、もっと気持ちよくなりたいんだろ?ベイベー」
「俺のことが忘れられないんだろ?白状しな、ベイベー」
「ベイベー、もっと熱くなろうぜ、ラブガンぶっ放してやるぜ」


とかなんとか、もう最初から最後まで上から目線で下ネタ、下ネタ、セクハラのオンパレード。
しかもそのド下ネタを言っているのは、あのファンキーなメイクをしてるヤツらだ。


「は?」


な感じではある。確かに違う意味で忘れられないとは思うが。
この「やるなら徹底的にバカやってやるぜ」という古き良きアメリカンな感じ、私は嫌いではない。



もう一つ、アメリカを私に叩き込んだのが、ハリウッド映画『タワーリング・インフェルノ』


スティーブ・マックイーンとポール・ニューマンという2大ハリウッドスターが主演、ワーナー・ブラザースと20世紀フォックス共同製作の、オールスター夢の共演、超大作パニック映画である『タワーリング・インフェルノ』。
消防士スティーブ・マックイーンのかっこよさにしびれる。
高所恐怖症の方は、トラウマ必至の怖い映画である。


完成した超高層ビルの設計者ダグ(ポール・ニューマン)は恋人のスーザン(フェイ・ダナウェイ)とビルの中にあるオフィスで久しぶりに再会。
やがて二人はイチャイチャし始め、スーザンがダグのネクタイを引っ張って奥の部屋へ。扉が開くとそこはベッドルームで、ダブルベッドがドーーーンと置いてある。
二人は部屋の中に消え、扉が閉まる‥‥。

私は驚いた。
アメリカというところは、仕事場の奥にベッドルームがあるのか。
しかも、ネクタイをつかみ、つかまれてベッドルームに消えていく二人のなんとオシャレなことよ。


さらに中盤、最上階のパーティーに現れたスーザン。そのドレスがすごい。
胸元がバックリ開いたセクシードレス。しかも、どう見てもノーブラ。ちょっと手で胸元の布を御開帳すればすぐポロリしてしまいそうだ。

やがて最上階のパーティールームに火の手がまわりそうになり、屋上にヘリを降ろして取り残された人々を救助することに。
スーザンも強風が容赦なく吹き付ける屋上に出るが、ちょっと待て、あのセクシードレスで強風を浴びたらどうなっちゃうんだ!?

私は期待と不安が入り混じった気持ちでそのシーンに見入った。
強い風に髪は乱れ、スカートの裾がめくれ上がりそうになるが、胸元はびくともしない。
強力な両面テープでくっつけてでもいるのだろうか?
ちょっとガッカリしているあの日の自分に、アメリカを勘違いするなと言ってやりたい。




お下品な下ネタソングでブイブイ言わせたかと思えば、『ロックンロール・オールナイト』や『ゴッド・ゲイヴ・ロックンロール・トゥ・ユー』では、

「毎晩ロックンロールしたいのさ!毎日パーティーだぜ!」
「神がすべての人ににロックンロールを与えてくれた」
とロックンロール賛歌を歌い上げるKISS。


オールスター勢ぞろい、これでもかと大金をつぎ込んで、惜しげもなくセットを破壊しながら、人間の傲慢に警鐘を鳴らし、消防士への大いなる感謝と尊敬の念を込める『タワーリング・インフェルノ』。


どちらの顔もアメリカらしくて、私は「バカだなあ~」(ほめてるんですよ)と大笑いしながら、ちょっとほろりとしてしまったりするのである。