としまえん 嗚呼としまえん としまえん
【懐かしきシャングリラ としまえん】
としまえんについて書くのは三回目になる。
私 え は、かつて東京都練馬区にあった遊園地・としまえんで遊び育った東京北部民。
としまえん。
もう二度と行くことのない懐かしきシャングリラ。
閉園から二年が過ぎても、目を閉じれば人々の楽しげな笑顔、歓声。
スリル満点のアトラクション、大はしゃぎしたプール、可憐な花々。
今も心の中で廻り続けるカルーセル エルドラド―――。
♪ここに~あなたが~いないのがせつないのじゃなくて~~
ここに~あなたが~いないと思うこと~が~せつない~~
WOW WOW~~~♪
……としまえんに思い入れのない方にとっては、
「ちょっと何言ってんのかわかんない」
状態であろう。
構わず進めたい。
【東大和市】
さて、今回私が向かったのは東京都東大和市。
東大和市は東京都多摩地区北部に位置するベッドタウン。
行こうと思えばすぐ行ける距離だが、こうして来たのは初めてだ。
なぜ来たか。
としまエンドレス展 ~みんなのこころの中に~
8月末までやっていると聞いて、やって来た。
としまえんと名の付くものをやっていると聞いたなら、行かねばなるまい。
「としまエンドレス」、タイトルのちょいダサ感がいい感じだ。
東大和市駅を出てすぐ、この看板を見つけてドキドキしながら中に入っていった私だが……。
としまエンドレス展の様子はのちほど!
【多摩湖(村山貯水池)】
私の旅はいつも行き当たりばったりだ。
行く前に最寄り駅くらいは調べるが、あとは適当、気まぐれに歩く。
遠回りしてしまったり、道に迷ったりもするが、それがとてもいい気分転換になる。
としまエンドレス展を見た後、なんだか多摩湖が見たくなって西武園駅で降りることにした。駅にある地図を見たら多摩湖に近そうだったから。
駅を出て車道沿いの上り坂をほてほてと歩く。雨女の私が歩けば当然パラパラと雨が落ちてくる。小さな日傘でしのぎながらさらに歩くと、やがて多摩湖(村山貯水池)が見えてくる。
多摩湖は多摩川の水を貯水する人造湖で、正式名称は村山貯水池。
東京の水がめとすべく、1916(大正5)年から1927(昭和2)年まで、10年以上もかけて造られた。
志村けんさんが歌っていた「東村山音頭」に出てくる多摩湖はここなのだ。
多摩湖でひときわ目を引くのが、美しい取水塔。
村山下第一取水塔は1925(大正14)年完成。
ドーム型の屋根やアーチ窓、タイル張りのモダンな外観。
まるで江戸川乱歩の小説に出てきそうな、ネオ・ルネッサンス様式の美しい取水塔で、2009(平成21)年、東京都選定歴史建造物に選ばれているそうだ。
奥の第二取水塔は1973(昭和48)年完成。
あんまり見分けがつかないが、似た感じに造られたのだろう。
二つ並んだ姿が可愛らしくて、うっとりと眺める。
やっぱり水辺は癒されるな。
久しぶりにたくさん歩いて、なんだかすばらしく健康になった気さえする。
【としまエンドレス展】
さて、話は東大和市に戻る。
としまエンドレス展を見るべく、BIG BOX東大和の中に入った私。
従業員のお姉さんに、
「写真撮っていいですか?」
と聞いたところ、
「はい、どうぞ!」
と快くOKしていただいたので、遠慮なく撮らせていただく。
そして、一番奥の部屋に入ると、そこは……。
としまえんのベンチ。
としまえんのダストボックス。
飾られたたくさんの思い出の写真。
その部屋は、まぎれもなく、小さなとしまえんなのだった。
ひとつひとつ、スタッフの秘蔵写真を眺めながら奥へと進む。
突き当りのギンガムチェックのカバーが掛けてある台の上には、「としまえん思い出ノート」と題されたノートが三冊置かれている。
ノートをめくると、そこにはとしまえんを愛する人たちの、熱い熱い思いがあふれていた。
「カルーセル エルドラドは心の中で廻り続けています。」
もう、涙腺崩壊寸前だった。
感動のあまり、この名文を勝手に冒頭で使ってしまったことを深く反省して、この記事を締めたい。
行ってよかった! ありがとう、としまエンドレス展。