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ネズミの身体能力に驚いた話
※ネズミの話です。苦手な方はお気を付けください。
ネズミをご覧になったことがおありだろうか。
ネズミと一言で言ってもたくさんの種類があるが、子供の頃なじみ深かったのは近所の動物公園でだっこしたモルモット。
その公園はモルモットだっこタイムがあり、子供たちの膝の上に飼育員の方が一匹ずつ乗せてくれる。
モルモットは体長30㎝弱くらいのけっこう大きいネズミで、長い尻尾はない。毛の色はさまざまで、ミケ、ハチワレ、ベージュっぽいもの。毛が逆立ったパンクなものや巻き毛っぽいものもいる。彼らはとてもおとなしくて、子供たちの膝の上でじっと撫でられている。餌は野菜くずなどを食べていた記憶だ。
動物が好きだった私はモルモットを抱っこしに、よくその公園に通っていた。
ここでいうネズミはハムスターとか、モルモットとか、カピバラとか、ミッキーマウスとか、ファンシーでキュートでアイドルで愛玩動物的なあれではない。
都会の野外や建物の中でたくましく生きる野生のネズミのことである。
たまーに街中を猛スピードで走るネズミらしき影を目撃してひいいっ!となったりしたこともあったが、もっと至近距離で見た経験と言えば、昔某所でバイトした時に遭遇したネズミ。
そこでは時々ネズミによる被害が起きていた。
朝、出勤して倉庫に入ると、あきらかにネズミらしき生物に荒らされたあとがあった。段ボールがかじられ、そのあたりにたくさんのクズが散乱している。
姿の見えないものが夜の間にこの倉庫でうごめいている恐怖。それはなんともいえない薄気味悪さだった。
我々は対策を講じることにした。
ネズミがかじりそうなものをなるべく減らし、夜、通り道と思われるところに粘着シートの罠を仕掛けて帰宅。
翌朝。はたして粘着シートには一匹のネズミがかかっていた。
建物内部やその周辺に生息するネズミの総称を「イエネズミ」というが、イエネズミはさらに「ドブネズミ」「クマネズミ」「ハツカネズミ」に分類されるという。
「ドブネズミ」
体長30㎝近くある大型のネズミで、湿ったところを好む。泳ぎが得意で高い所は苦手。
「クマネズミ」
体長15~25㎝ほど。乾燥したところを好み、ジャンプや高い所が得意。
「ハツカネズミ」
体長6~10㎝ほど。おとなしく、身軽でジャンプが得意。
罠にかかったネズミは近づくと懸命にもがいたが、ガッチリと粘着シートに捉えられていてどうすることもできない。
20㎝弱の大きさ、長いしっぽ、黒っぽい色。
特徴や乾燥した倉庫に現れたことからして、クマネズミではないかと思われる。
その後しばらく何事もなかったが、ある日また段ボールがかじられているのが発見された。仲間が捕えられたのを見て警戒し、学習したのだろうか。今度は罠には何もかかっておらず、段ボールだけがかじられていた。
なかなか頭がいい。
我々は対策を講じた。
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罠の数を増やし、通り道だけでなく、段ボールの周りに隙間なく粘着シートを張り巡らせた。
どうだ、段ボールに近づくには粘着シートを超えなければならないぞ、ネズミども!
喰えるもんなら喰うてみい!
顔に泥塗られて黙っとるわけにはいかんのや!
自分の中の竹内力(@ミナミの帝王・萬田銀次郎)が叫ぶ。
我々は安心して帰宅した。
翌朝。
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萬田銀次郎、完敗。
なぜだ!? なぜなのだっ!?
ネズミたちはどうやって段ボールをかじったのだ!?
【仮説1】天井から落下
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あまりよく見ていなかったが、もしかして天井にネズミが歩ける管や、天井裏から入れる穴がなかっただろうか?
もしあった場合、着地に失敗さえしなければ罠にかかることはない。段ボールをかじったら、あとは粘着シートを飛び越えて着地すれば無事逃走できる。
難易度 ★★
【仮説2】粘着のない部分を通り段ボール側面を垂直上り
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粘着シートは折りたためるようになっており、淵には粘着のない部分がある。うろ覚えだがその幅は1㎝以上はあった気がする。
もしネズミがそこをうまく歩くことができればどうなるか。
一歩踏み外せばすぐに粘着に捉えられるカイジばりに命がけのコース。
仮に段ボールに到達してもそこから垂直に壁を上らねばならない。高さ約40㎝。不可能とは言わないが、かなり危険なコースだ。
難易度 ★★★★★
【仮説3】粘着シートの外側からジャンプ
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クマネズミは高い所やジャンプが得意。
ならば粘着シートの外側から高さ40㎝の段ボール箱の上に飛び乗ることも可能かもしれない。
これも失敗すると命にかかわるが、ネズミたちも食べなければ生きていけない。この東京砂漠でたくましく生きる彼らは必死なのだ。
我々はネズミの身体能力をちょっと甘く見すぎていたかもしれない。
難易度 ★★★★
その後バイトをやめたので人間VSネズミの結果はわからないままだったが、おそらく人間とネズミがこの世にある限り、両者の戦いは永遠に続くのだろう。
「ネズミをを甘う見とると、高いツケ払わなならんことになりまっせ!」
そう萬田銀次郎に言われた気がする思い出であった。