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小学校の本来の姿と過去のイメージ

大阪市立大空小学校元校長先生の木村泰子先生の本。
「ふつうの子」なんて、どこにもいない
を読みました。
とってもよかった。子育てに悩んでいる人は是非読んでほしい本です。

紹介されている大人と子供のやり取りの中に本音の会話が見える。
こんな本音で話のできる先生には僕は出会えなかった。

学生時代は周りの顔色をうかがいながら誰かが決めたルールを探してそれを守ることばかりを気にしていた覚えがある。小さい頃から自分の考えよりも誰かが決めたルールを守ることが大事と教え込まれていたし、ルールを守らないやつは正面から文句は言えないから、影で軽蔑していた。
それは自分で考えることを止めて、他の人の考えを排除していたからなんだな。

確かに自分を表現する力も、自分以外の人を大切にする力もなかった。

僕の歩いてきた学校のイメージは、「細い道以外歩くな、はずれるな」だったからびくびくしながら踏み外さないように進んでた。

大空小学校では校則はなし。あるのはたった一つの約束「自分がされていやなことは人にしない、言わない」のみ。そう考えると世の中はシンプル。
つまり、「ここだけは入っていけない、あとは自由」という感じ。
それは楽しそうだ。だから空気が違うってのはそういうことなんだろうな。
実際に、生徒全員が、学校の先生の言うことをきくわけではないらしい。でも先生はそれも個性と受け入れて頭ごなしに叱ることはなく、なぜやりたくないんだろうと考えるんだとか。

これ、本当に子供目線で、自分でやり方考えて突き詰めていくとそうなる方法なのかも。今、自分でイチから考えて主催してるロボットクラブは実は自然とこれをやってた。だって、人にやれって言われることほどやる気にならないことはない。やりたいやつ、やりたくないやつ全員が同じことをやるほど無駄な時間もない。やりたいやつが、やりたいことをやるのが一番だし、それがいちばん自分の為になる。ちょっと考えればわかること。

そう考えると、今の学校は、なんて非効率なことをしているんだろう。あれはだめ、これはだめ、こうしないとだめ、と自分以外の誰かが決めたルールをやらされてる。でも、学校の先生も、あれはだめ、これはだめ、こうしないとだめ、といわれて仕事をしている。自分がされていることをそのまま、生徒にもしているんだから社会に出て必要なことを教えてあげてると思っているのかもしれない。

でもそれは、自分で考えることを止めて、すでにあるものが正しい、それ以外の考えは排除、という考え方をしている。だから、ルールを守らないやつ、足並み揃わないやつは率先して先生が叱る。言うことを聞かせようと嫌味を言う。これをみている子どもたちも自分たちのルールに従わない奴らを排除するようになる。

きっと、小学校、中学校は変わっていかなければいけないし、きっと時間はかかるけど変わっていくんだろう。今のやり方では自分の考えに自信を持てない人間を量産することになる。(すでになってる?)よく聞くように、大学生が「やりたいことがみつからなくて、、、」というのは間違いで、「やりたいことを自分で選ぶ機会がなくて、、、」というのが正しいのかもしれない。やったことがないことができるわけがない。

今、教育関係は結構盛り上がっている。コロナウィルスの影響で学校が休校になり、どういう対応をしていたかの実態が広く知れ渡ってしまった。これほど学校の先生がトラブルに弱いとは誰も思っていなかった。教育は伝統芸能ではない。参加できない人が一人でもいるといけないのでオンライン授業はやりません。これを聞いたときは意味がわからなかった。託児機能を学校に求めている社会の構造の問題もわかった。

学校は誰のもの?という問いに対して文科省のトップは「学校は地域住民のものです。」と答えたそうです。私も市立なら市のもの、と勘違いしていました。子どもたちは地域で育てるものです。3年程度で移り変わっていく学校の先生に地域の子供達を預けて、地域住民が何もしない、というのは育児放棄に似たようなものなのかもしれません。この本では、保護者だけでなく、地域の大人全員がサポーターとして学校に来てくださいと呼びかけています。そして自分の子ではなく、自分以外の子を見てあげてくださいと。親ならわかると思いますが、自分の子に対しては客観的に見られないんです。それが教育には良くないみたいです。

この本を読んで色々参考になりました。常識がいろいろと覆るけど、確かにそうなんだよって思えて楽しいです。子どもたちと接する機会のある人はぜひ一度読んでみてください。そして一緒に学校を変える活動をしましょう。

(本より引用)
子供って大人が笑っているのを耳にするのが大好きじゃないですか。
そうやって私たちが毎日笑っているのを見ているから、大空小学校の子はみんな「先生になる」って言います。
「なんで?」
「だって、めっちゃ気楽そうやん。」
(引用ここまで)

こんな学校いいですよね。

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