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ロボカップアジアパシフィック2021あいち(ジュニア部門サッカー)レポート

2021年11月25日から29日に開催されていたロボカップアジアパシフィック2021あいちにボランティアスタッフとして参加してきました。(競技は28まで、29日はシンポジウム)選手とともに活動を見守ってきましたので、参加に至るまでの経緯も含めてレポートしたいと思います。

大会の概要

長い名前ですが、ロボカップとして、公式の世界大会とは別にアジアで行われる国際大会のことです。毎年日本で行われるわけではなく、今年は日本ということで数年前から楽しみにしていました。とはいっても今回は募集が8月で、日本がコロナ禍で移動もしにくかったこともあり、開催できただけでもラッキーでした。オンサイトの参加人数は少なめ、その代わりにオンラインにてバーチャル競技が並行して行われていました。

開催概要

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社会人の競技であるメジャーのとなりで、ジュニア部門が行われるというとても素晴らしい環境でした。

参加するまで

以下の文章は、ロボカップ ジュニア部門 サッカーリーグに関するものになります。今年8月にエントリーがあり、国内のジュニア(19歳以下)のロボカッパーたちが英語の書類審査を経て参加しました。審査資料の提出締め切りは8月末であり、夏休みに時間をかけて、ロボットのレポートのようなものを英語で作成して提出しました。

普段日本語でなんとか説明できるような内容を英語に直さないといけないということで、小学生の参加者もいて四苦八苦して取り組んでいました。

また、審査を通ったチームは開催一週間前までに自分のロボットをアピールするポスターを作成して提出しました。通常の大会では日本語で作りますが、これもやはり英語で作成する必要がありました。

参加者当ての案内メールは、最低限のもの以外は英語で送られてきていて、それも大会参加のためには理解しておく必要がありました。ちょっと不親切と思うかもしれませんが、ロボカップは参加者が意思を持ち主体的に動いてくれることを重視していることと、教育目的の意味合いもあり、ジュニア参加者をお客様扱いするような過剰なサービスを意図的に行っていないためでもあります。

競技の準備

25日(木)は競技前の準備期間がありました。平日ということもありましたが、ジュニアの半分以上のメンバーが到着していたようです。事前にロボットは競技の基準を満たしているかをチェックされます。車検と言われるそれは25日から受けることができました。ここでロボットはルールに違反していないかを非常に厳しくチェックされ、違反が見つかった場合は、いくら頑張って作ったからと言っても改善が求められます。それをその場で改良し、違反がなくならないと競技には参加することができません。

今回は特に違反が厳しくチェックされたため、25日だけではパスすることができず、次の日に持ち越されたチームが多くありました。

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競技

サッカーリーグの競技はその名の通り、ボールを相手側のゴールに入れることで得点の入る競技です。人が行うサッカーと違うのは広さが畳1畳ぐらいのフィールドで、参加できるロボットの台数は味方2台、相手2台の合計4台で行う、ということです。

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どういう戦略でロボットを動かすのかということがポイントになるのはもちろん、どのような性能のロボットを製作できるか、ということも大きなポイントです。いくら性能の高いロボットが出来上がっても、うまく動かせなければ勝つことはできません。逆に性能はそれほど高くなくても、相手ゴールにボールを運ぶ確実な動作ができれば、高い性能をもてあましているロボットに勝つことは十分可能です。

もちろん、機動性が高く、かつ確実に動作することができるロボットがいたら強力なことは間違いありません。ですが、それを目指していたとしても簡単に実現できるものではありません。ロボカッパーたちは「最強のロボットとは何か」という無限の可能性の中から答えを見つけ出すような課題に日々取り組んでいるといえます。

スーパーチーム

今回は公式の大会では名古屋で行われた世界大会のときしか見たことのなかったビッグーフィードでの対戦が組まれていました。地方のオープン大会で見たり、参加したことはありましたが、なかなか機会は少なく非常に貴重な機会を今回はもらいました。

ビッグフィールドは通常の4倍ぐらいの広さがあり、ロボットを10台入れてもまだ広いと感じるぐらいの広さです。これで複数チーム合同で一つのチームとなり、試合をします。楽しくないわけがありません。競技中に他のチームと話す時間や余裕はあまりないため、このような場はとても良いと思いました。

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ポスターとインタビュー

今回は世界大会の方式にのっとり、試合の勝ち負けで決まる競技結果に加えて、ポスター評価とインタビュー評価を加えて総合順位が決定されるという方式でした。

ポスターでは、自分のロボットまたは製作に関して行ってきたことを表現し、有用性をアピールすることが求められます。試合でいくら強い技術を持っていてもそれを解説しアピールできなければ理解してもらうことはできません。その表現力を競います。

インタビューでは、審査員の質問に対し答える形式で、取り組みに対する姿勢やチームワーク、活動のプロセスの工夫などが問われます。こちらもロボットを見ただけではわからない部分です。どのような戦略を立て、必要な情報を収集し、設計、製作したのか。チームメイトを尊重しあい、うまく連携して強力なロボットを製作したチームが評価されます。

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結果発表と交流

競い合うことは目標ではありますが、目的ではありません。勝ちは目標ではあるが、参加の目的ではない。この大会に参加するロボカッパーたちの真の目的は普段会えない仲間たちとの交流だと思います。順位の結果発表が行われた後、競技が終わり、自分たちのロボットのメンテナンスから解放された彼らは、各々のロボットを分解して見せ合ったり、新しい技術の議論をしたりと競技中よりも忙しそうです。

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表彰式と閉会式

今回は国際大会という名にふさわしく、非常に大きなステージで表彰式、および閉会式がありました。受賞された皆さん、本当におめでとうございます。

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おわりに

金曜日から日曜日の午前中まで、競技中はほぼ(全試合の9割ぐらい?)審判をしてたわけで、終わらないスタッフミーティングとかいろいろあったわけですが、終わってみて思ったのは、やはりロボカップジュニアはよいな、ということでした。純粋な気持ちでこのような場に来たい、これからもロボットを製作していきたい、そんな自分を成長させる方向のモチベーションを高めてくれる場だな、と。初めてロボカップジュニアの全国大会の場に足を踏み入れたのは、5年ほど前になります。その時は、驚きばかりでした。これほどの高い技術力を持った子どもたちが集まる場所があるのか、こんなエンジニアも舌を巻くような19歳以下の子どもがいるのかと。今は、その運営側の立場も分かるようになって、見方はずいぶん変わったんですが、でも根本はやっぱり変わらないです。こんな場を継続したい、地方にも持ち帰りたい。そんな思いでこれからも活動を続けていきたいと思います。


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