漫才 「火葬」

ミミ吉  「はいどうも~、ミミ吉です」

ハナゾウ 「ハナゾウです。お願いしま~す」

ミミ吉  「この前、ふらっと火葬場に行ってきたんだけどさ」

ハナゾウ 「ふらっと行く場所じゃないでしょ。予約して行く場所だよ」

ミミ吉  「予約してないけど、待ち時間無しで入れてもらえたよ」

ハナゾウ 「だいたい何しに行ったの?」

ミミ吉  「お前さ『生前葬』って知ってる?」

ハナゾウ 「知ってるよ。生きてる内に自分の葬式やるってやつでしょ?ニュースで見たことあるよ」

ミミ吉  「じゃあ、『生前火葬』って…」

ハナゾウ 「何!?」

ミミ吉  「生前火葬」

ハナゾウ 「生前火葬!?」

ミミ吉  「あ、何か誤解してるみたいだけどさ…ちゃんと燃やすよ」

ハナゾウ 「誤解させてくれ!」

ミミ吉  「燃やさないって思ったでしょ?」

ハナゾウ 「燃やすって思ったよ!信じたくなかったけど」

ミミ吉  「生前でも燃やしちゃうんだよな~これが」

ハナゾウ 「燃やしちゃダメなんだよ」

ミミ吉  「ニュースで初めて見たときはビックリしたけどね」

ハナゾウ 「ニュースで紹介されたの!?生前火葬が?」

ミミ吉  「『密かなブームとなっています!』って紹介されてたよ」

ハナゾウ 「一生“密か”であってくれ!流行っちゃダメなやつだから」

ミミ吉  「あ、何か誤解してるみたいだけどさ」

ハナゾウ 「何だよ」

ミミ吉  「勿論生かすよ。死ぬまで焼くと思ったでしょ?」

ハナゾウ 「まぁ…たしかにそれは誤解してたわ…」

ミミ吉  「全焼させる訳ないじゃん!バカだな~」

ハナゾウ 「全焼って言うな!」

ミミ吉  「ウェルダンだよウェルダン」

ハナゾウ 「ウェルダンだったら中まで火通ってるよ!ほぼ丸焼けじゃねぇか!」

ミミ吉  「でもギリギリ生かすんだから良いじゃん」

ハナゾウ 「すぐ死ぬわ」

ミミ吉  「あ、何か誤解してるみたいだけどさ」

ハナゾウ 「何だよ」

ミミ吉  「もちろん有料だよ」

ハナゾウ 「だろうな!こんなトチ狂ってる奴金の亡者に決まってるわ」

ミミ吉  「まぁ、本物の火葬も有料だからね」

ハナゾウ 「そういう事じゃねぇよ」

ミミ吉  「あ、何か誤解してるみたいだけどさ」

ハナゾウ 「何?」

ミミ吉  「元だよ」

ハナゾウ 「ゲン?」

ミミ吉  「そう。円じゃなくて元で払うの」

ハナゾウ 「絶対ヤバい組織じゃん…」

ミミ吉  「俺、元持ってないから生前火葬出来なかったんだよね」

ハナゾウ 「お前二度と行くなよ、そんな所」

ミミ吉  「何で?」

ハナゾウ 「絶対マフィアとかヤバい組織関わってるって」

ミミ吉  「マフィアは関わってるよ」

ハナゾウ 「ほら~!」

ミミ吉  「大丈夫大丈夫。今から安心出来る言葉かけてあげるからね~。いくよ!『何か誤解してるみたいだけどさ』」

ハナゾウ 「これあんまり安心出来ないんだよ」

ミミ吉  「マフィアはマフィアでも、バイトのマフィアだよ」

ハナゾウ 「安心して良いか分かんないけど、取り敢えず『バイト』って言葉は無視するわ。結局マフィアじゃねぇか!」

ミミ吉  「でも幹部じゃないんだよ?」

ハナゾウ 「それでも嫌だって言ってんの!お前も絶対に行くな、そんな場所」

ミミ吉  「行くなって言われてもさ、これ全国の火葬場がやってる事だから」

ハナゾウ 「は?」

ミミ吉  「全国すべての火葬場で生前火葬やってんの。だから、ここに行かないって言うことは、身内が死んだ時に火葬会場に行けないってことになるよ」

ハナゾウ 「まず、何で日本の火葬場に中国マフィアと元が関わって来るんだよ」

ミミ吉  「普通の火葬のブースとか、生前火葬のブースとか、ゴミの焼却場のブースとかあってさ」

ハナゾウ 「そんなフードコートみたいな事になってんの?今の火葬場って」

ミミ吉  「フードコートと言うよりは、ショッピングモールじゃない?規模的にね」

ハナゾウ 「どっちでも良いわ」

ミミ吉  「ボクシングジムのブースもあったよ」

ハナゾウ 「脂肪燃やす所もあるじゃん!」

ミミ吉  「そのジムに入会してきたよ」

ハナゾウ 「まぁ、ジムだったら大丈夫か」

ミミ吉  「あ、何か誤解してるみたいだけどさ」

ハナゾウ 「もう…何?」

ミミ吉  「脂肪だけじゃなく、闘士も燃やしてるよ」

ハナゾウ 「どうでも良いわ!どうもありがとうございました」

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