漫才 「霊視」

ミミ吉  「どうも~、ミミ吉です」

ハナゾウ 「ハナゾウです。お願いしま~す」

ミミ吉  「どう考えても霊能者の数が少なすぎる」

ハナゾウ 「急にどうしたんだよ?」

ミミ吉  「競争相手が少ないからあいつら平気でぼったくって来るんだ」

ハナゾウ 「霊能者にぼったくられたの?」

ミミ吉  「そう」

ハナゾウ 「まぁたしかに霊視とかって高額なイメージあるけどね」

ミミ吉  「だから、霊能者の数が増えれば、価格競争が起きて霊視の価格も下がっていくはずじゃん?」

ハナゾウ 「そうなるのかな?」

ミミ吉  「下手したら、お試し価格の霊視とかも出てくるかもじゃん」

ハナゾウ 「お試し価格の霊視は信用出来ねぇだろ」

ミミ吉  「そもそも霊視なんて信用出来ないものだけどね」

ハナゾウ 「じゃあお前はなんで霊視して貰ったんだよ?」

ミミ吉  「パチンコ屋に行ったんだけど、全然当たんなくて台パンしてたの」

ハナゾウ 「台パンすんな!」

ミミ吉  「そしたら警報鳴っちゃって」

ハナゾウ 「テレビで見たことあるわ~、こういう光景」

ミミ吉  「店員が鬼の形相で俺の所に来てさ」

ハナゾウ 「大変だ、店員さんも」

ミミ吉  「『お客様!守護霊の力が弱まってます!』って言われてさ」

ハナゾウ 「こいつが霊能者なの!?」

ミミ吉  「そう!俺もビックリしちゃってさ」

ハナゾウ 「そりゃビックリするよ」

ミミ吉  「金髪の霊能者なんて居るの?って思ってさ」

ハナゾウ 「金髪だったんだ!たしかに珍しいけど」

ミミ吉  「『お客様、今ご自身のパンチに手応えを感じましたか?パンチに重みを感じましたか?』って言われてさ」

ハナゾウ 「なんで台パン肯定するような事言うんだよ」

ミミ吉  「『自分にはまだまだ伸び代があると思います!』」

ハナゾウ 「真面目に答えんな!」

ミミ吉  「『今ってお客様の守護霊の力が弱まっている状態なんですね。守護霊の力って、お兄さん自身の力と直結してるんですよ』」

ハナゾウ 「そうなんだ」

ミミ吉  「『守護霊の力が弱いままだと、お兄さんの力ってこれからどんどん弱まっていくんですよ。なので私が霊視をさせて頂いて、守護霊の力が弱まっている原因を突き止めて、そしてお兄さんの持っている力を最大限に活かして台パンして頂く!』」

ハナゾウ 「だから何で台パンOK何だよ!」

ミミ吉  「『勿論お兄さんが“今のままで良いよ~”って言うならそれで良いんですけど、それってものすごく勿体ないと思うんですよ。どうです?今のままのプランと、私が提案したプランってどっちがお得だと思います?』」

ハナゾウ 「携帯ショップのやり取りじゃねぇか!」

ミミ吉  「『店員さんのプラ…』」
     「『ですよね!』」

ハナゾウ 「完全にショップ店員じゃん!」

ミミ吉  「じゃあ霊視させて頂き…あ、分かりました」

ハナゾウ 「早っ!この早さで視えるんだ」

ミミ吉  「『警報音がうるさかったみたいですね。警報音止めますね』」

ハナゾウ 「まだ警報鳴ってたの!?」

ミミ吉  「『町田君、一昨日から警報鳴ってる台の警報音止めておいて』」

ハナゾウ 「それは止めておけや!一昨日から鳴ってんなら」

ミミ吉  「『よし!警報も止まったのでこれで大丈夫です!』」

ハナゾウ 「これだけで?」

ミミ吉  「『思いっきり台パンしちゃって下さい!』」

ハナゾウ 「ダメだっつってんの!」

ミミ吉  「んで、台パンしたのね」

ハナゾウ 「お前も台パンすんな!」

ミミ吉  「そしたら、ビックリするくらい力出て、思いっきり壊れた」

ハナゾウ 「思いっきり壊れたの!?」

ミミ吉  「バラバラになって警報音も鳴らなかった」

ハナゾウ 「なんか、この店員が霊視出来るのは本当っぽいな」

ミミ吉  「『はい、修理代15万円です!』」

ハナゾウ 「そりゃそうなるわ!」

ミミ吉  「これさ、霊能者がいっぱい居たら、1万円で済んだと思うんだよね」

ハナゾウ 「済むか!霊視の値段じゃなくて、台の修理代なんだから」

ミミ吉  「小学生はみんな霊能者を目指せ!」

ハナゾウ 「てか、霊能者増えてんじゃないの?」

ミミ吉  「は?」

ハナゾウ 「パチンコの店員が霊能者でしょ?実は霊能者って、色んな所に居るんじゃない?」

ミミ吉  「だったら霊視の値段下げろや!」

ハナゾウ 「下がってんじゃない?」

ミミ吉  「は?」

ハナゾウ 「お前が払ったのって、台の修理代だけじゃん?話聞いてたら店員は本当に霊視出来たけど、霊視の料金は取ってなかったじゃん」

ミミ吉  「たしかに!行きつけにしよ!ついでにパチンコ打てるし」

ハナゾウ 「ついでにパチンコ打つな!」

ミミ吉  「今度、パチンコ玉で作った数珠あげるね」

ハナゾウ 「要らんわ!どうもありがとうございました」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?