ひとりごとです 「幽霊を信じる」

 幽霊を信じますか?

 私は信じます。正確に言えば、信じる様にしています。

 私は幽霊を見たことは1度もありません。ただ、心霊現象なら体験したことがあります。

 私が小学3年生の時に、父親が亡くなりました。それから四十九日が終わるまで、不思議な事が起こる様になりました。私の家の2階に、普段使っていない部屋があるんですが、そこから物音がするようになりました。“ガタッ ガタッ”と。その音が怖くて、夜は2階へ行くどころか、階段に近づくのも怖かった記憶があります。そして、故人が仏の元へ向かうとされる四十九日を過ぎたら、その音はピッタリ止みました。

 まぁ、これはただの余談で、私が幽霊を信じる理由ではないのですが…。

 私が幽霊を信じる理由は、居るかも知れないから。

 もしも実際に幽霊が居るとすれば、死後、幽霊になる可能性は誰にでもあるという事になります。幽霊を信じない人が幽霊になったらどうでしょう?パニックになる事は目に見えています。幽霊になった自分を受け入れられず、もう一度死のうとするかも知れません。

 せっかく幽霊になったのにそれでは勿体ないです。子供の頃「もしも、透明人間になったら」なんて妄想した人も多いと思いますが、幽霊になればそれが叶います。多くの人は気づかないので、殆どの場合バレる心配もありません。

 しかし、幽霊になった自分を受け入れられずにいる愚かな霊は、「死後のボーナスタイム」に突入した事に気づかず、叶うことの無い第ニの死を願い、何度も駅のホームに飛び込む事でしょう。そして、たまたま写真に写ってしまい忌み嫌われることになるのです。恐らく成仏も出来ないので、一生ホームに身を投げる第二の人生になると思います。

 その頃、幽霊になった自分を受け入れた賢明なあなたは、警察署や母校を裸で闊歩するという新たな性癖に目覚めているはずです。大丈夫、バレる心配は“殆ど”ありません。
 生前から押し殺していた性癖を十分に満たしたあなたは、成仏した後、天国で第三の人生を送ることになるでしょう。その頃には、邪な欲求は取り払われ、澄んだ心を手に入れているはずです。綺麗になったあなたは、見下ろした下界の凄惨な事件や犯罪、性的欲求を満たす為だけに他人に迷惑をかける愚かな人間を見て心を痛めてしまいます。


 無事、生まれ変わりを果たしたあなたは、再び人間として一からスタートを切ります。しかし、天国で嫌になるほど人間の汚い部分を見てきたあなた。天国での記憶は無くとも、人間不信に陥るのは自然な流れと言えるでしょう。何事も信じられないあなたは、他人が発する様々な情報を否定する事しか出来なくなります。

「ワクチンは信用出来ない」

「どの政党がトップに立っても、結局同じことしかしないだろ?選挙なんか行くか!」

「全米No.1?嘘つけ」

「幽霊なんか居るか!」

 


 あ~あ…

 幽霊を信じなくなったあなた。

 幽霊を信じていないのに幽霊になってしまったあなたは、幽霊になった事を受け入れられずパニックになり、叶うことの無い第二の死を願い、何度も駅のホームに…


 天国は、信じる者しか行くことの出来ない世界ではないでしょうか。人間は信用出来なくても、幽霊は信じられる人間で在りたい…そう思いました。


最後に一言

妖怪は信じないよ

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