漫才 「鉄道の忘れ物」
ミミ吉 「はいどーも。ミミ吉です」
ハナゾウ 「ハナゾウです。お願いします」
ミミ吉 「この前すごい事があってさ」
ハナゾウ 「なに?」
ミミ吉 「あのさ、電車とか新幹線の忘れ物を販売してる業者あるの知ってる?」
ハナゾウ 「あー、知ってる。何回か行ったことあるよ」
ミミ吉 「運が良いと、ブランド物の時計とか財布が安く買えるんだよね」
ハナゾウ 「そうそう。俺さ、そこで自分が忘れた財布をたまたま見つけて買い戻した事あるよ」
ミミ吉 「え?」
ハナゾウ 「自分の財布を金出して手に入れないといけないんかい!って思ったよ。そう言えば、最初言ってた『すごい事』ってなに?」
ミミ吉 「それ…」
ハナゾウ 「え?」
ミミ吉 「そこに行って、自分が電車に忘れた腕時計をたまたま見つけて買い戻したっていう話をしようとしたんだけど…」
ハナゾウ 「いや…あの…」
ミミ吉 「俺が唯一持ってる面白話潰されたー!」
ハナゾウ 「ごめんなさーい!」
ミミ吉 「でも、面白さの質だったら俺の方が上だから」
ハナゾウ 「質?」
ミミ吉 「そう。俺の腕時計さ、ベルト部分に傷入ってんのね」
ハナゾウ 「うん」
ミミ吉 「買い戻した時に、その傷に修正液つけられてたの。業者が、ちょっとでも高く売れるように傷を隠したんだろうけど、余計目立つよ!ってね」
ハナゾウ 「俺が財布買い戻した時は、中に入れてた甥っ子から貰った何でも言うこと聞く券に、使用済みの判子押されてた」
ミミ吉 「質でも負けた~!」
ハナゾウ 「12個も」
ミミ吉 「オプション付きの質~!」
ハナゾウ 「修正液で消してやろうかな」
ミミ吉 「いじってくんな!修正液は俺のだろうが!」
ハナゾウ 「まぁでも、買い戻せて良かったよね」
ミミ吉 「大事な物だからね。ちなみに、その財布はいくらで買い戻したの?」
ハナゾウ 「あ~、これが凄くてさ」
ミミ吉 「なに?」
ハナゾウ 「この財布、元々1万円で買った物なんだけどさ、そこの業者は1万5千円で売ってたの」
ミミ吉 「えー、ぼったくりじゃん」
ハナゾウ 「まぁ、結構レアなやつだからね。生産数も少なくて」
ミミ吉 「あ~、プレミア付いてる感じか」
ハナゾウ 「そう。でもさ、さすがに高いなと思ってさ、値引きの交渉したんだよね」
ミミ吉 「うん」
ハナゾウ 「何でも言うこと聞く券使って」
ミミ吉 「は?」
ハナゾウ 「そしたら、なんと、100円にしてもらいました!」
ミミ吉 「はい、追加オプションの面白出た~」
ハナゾウ 「なんだよ!」
ミミ吉 「ここぞとばかりに面白出してきたね」
ハナゾウ 「事実だからしょうがないじゃん。『12個も使用済み判子付いてるけど、あと1回だけ言うこと聞いて♥️』って言ったら『しょうがないな~、じゃあ13個めの判子はおじさんのキスマークだ!』って言って店員さんが、500円で売ってた未使用の口紅ぬったの。そして、券にキスマークつけて『よし!100円にしてあげよう!』って」
ミミ吉 「折角の俺の面白がどんどん霞んでく…」
ハナゾウ 「そして店員さんが『あっ、未使用の口紅使っちゃった。俺が使ったから、500円から1200円に値上げしないとね!』とか言って」
ミミ吉 「お前、たった100円でどんだけエピソードトーク手に入れてんだよ!」
ハナゾウ 「その日払ったの100円だけじゃないよ?店員さんが使った口紅も買ったから全部で1300円」
ミミ吉 「はい、ただの変な奴~!使用済み口紅買ったのは、面白でも何でもなくただのキモい奴~!面白に面白重ねようとしてただのキモい奴になりました。残念でした~!」
ハナゾウ 「別にこれは面白だと思ってねぇよ。てか、なんで怒ってんだよ」
ミミ吉 「怒ってはいない!面白を潰されたから機嫌を損ねているだけだ!」
ハナゾウ 「怒ってんじゃん!こういう時はさ、お洒落すれば気分も落ち着くだろうから、あの時の口紅あげるよ!お洒落して機嫌直してくれ」
ミミ吉 「いらんわ!」
2人 「どうも、ありがとうございました」
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