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Q.素人ライターが音声作品で年収1000万になるには

前置き

 noteはクソだ。ポエミーな文章や感傷的な文字の羅列は、生き急ぐランナーにとっては甘くてぬるい。俺が欲しいのは水かスポーツドリンクだ。走り終わった後、真意を理解されずに押される『スキ』が吊るされたロープの輪っかに俺を近づける。お前たちは一生のうちにどれだけのものを生み出せるか計算したことはあるか? 物書きに対して言うならば、死ぬまでに書ける文字の数は決まっている。それを考えたことはあるか? 今日はその話をするためにnoteを開いた。意識するのは常にカレンダー。その意味がわからねえヤツはお呼びじゃねえから回れ右して帰えんな。

 ここ数か月、俺は考えていた。文章で飯を食う方法だ。でも俺は書きたくねえ文章を書かされて金をもらうコトはしたくない。それは物書きではなく、労働者だ。個人事業主としてやっていくと決めたとき、サラリーマンが雇用と労働で結ばれた枷と引き換えに手に入れるある種の社会性を、俺は諦めた。会社勤めの友人たちから見れば、俺は何をしてるヤツなのかもわからないニート予備軍a.k.a.社会性を欠如した獣だ。だから誰かに「こうしろ」と云われて書く文章で金を稼ぎたくない。

 俺は個人事業主、業種は『ライター』。ガキの頃、俺はヒーローで云うなら、タイプ:ライダーになりたかった。今の俺はタイプ・ライターを叩く執筆者たちが同業だ。まあ物書きにも色々いる。ソシャゲのシナリオを書くヤツ、映画の記事を書くヤツ、youtubeの番組の台本を書くヤツ、音声ドラマの脚本を書くヤツ、そして物語に信仰心を抱く敬虔なシナリオライターや小説家たち。もしそのなかの一人がこの記事を読んでいるとしても構えるな。俺も祈りを送っているうちの一人だ。

 とにかく一言でライターと云っても色々いる。開業届の紙は四文字だけ「ライター」と書けばそれで俺をライターにしてくれた。ずいぶんと寛大なヤツだった。小説のジャンルでいえばSF並に懐の広いヤツだったが、あれはもしかしたら開業届のフリした血の契約書で、税務署の職員は十字路で出会う悪魔だったのかもしれないが、俺の場合は既に自意識のなかに潜む最強の悪魔に魂を売り渡している。だから悪魔たちは『売約済』の文字が彫られた心臓を透視するたび、ビビって俺から目を逸らす。

 話を戻そう。もう開業して一年が経つ頃だ。俺の中の悪魔は金を欲しがっていた。「ライターになった以上、文字で金を稼げ」と。お前の命はそれでしか賄えないと。言葉の中に神が宿ると信じている俺は、この悪魔のささやきに耳を塞いでいた。金を儲けるために書く文章に神は宿らないことを知っていたからだ。だがどんなものにも打開策はあり、とりわけ俺たち執筆者は鉛筆ひとつで神や悪魔をどうにでも出来る。そうやって俺は神や悪魔と折り合いをつけた。俺の提案は「文字で金を稼ぐ」のではなく「書いた文字に値打ちをつける」ってことだ。これで言葉に宿る神と金を欲する悪魔は喧嘩しなくなった。

 さて「文字に値打ちをつける」と云ってもやり方は色々ある。「私の書いた文章を〇〇円で買いませんか?」という営業行為も手段の一つだが、商売のシーンには少しパンチが足りないな。文章に値打ちをつけるなら、まず「必要とされること」が大前提だ。皆に必要とされる文章。まあハッキリと云っておくが文章ってのはいつも代替が効く。必要とされる文章なんてものはないのかもしれないが、それでも何人も代わりがいる綾波レイだって、それなりに役割を果たしていただろう。何が云いたいか? 必要とされる文章とは役割のある文章だ。

 俺は俺の書く文章に役割を持たせることにした。だから次はフレーズの土砂降りが流れ込むための道を作ってやらなくちゃいけなかった。役割を演じるための劇場へ続く道だ。俺が選んだ大舞台は「成年向け音声作品」だった。なぜそこを選んだかと云うと、最も潤沢そうに見えたからだ。

 そういうわけで俺は「成年向け音声作品」という市場で、自分の文章を価値あるものにするために活動を開始した。

 だがここで一つ、俺は計算をしなくちゃならなかった。「自分はその市場で何を目指すか」ってことだ。漠然としてるが、ひとまず世間一般でいう勝ち組になるにはどうすればいいかを考えた。そもそも勝ち組の基準って何だ? 年収一千万とかか? だったら音声作品で年収一千万になるための計算をすればいいだけの話だ。まずはそれを計算しよう。

売り上げの計算

  まず自分の音声作品の売値と利益だ。販売場所はDLsiteで価格は中くらいの1100円にするとしよう。一本売れれば利益は700円だ。それに見合う台本となると文字数は(ジャンルや作品にもよるが)俺の場合10,000文字は必要だろう。これはすべて仮定の話なので、お前たちはこれに対していちいち疑問を抱くな。台本の文字数もそうだ。でも俺様は自分の文章を完全に飼いならしている闇の覇王なので10,000文字と決めたらその規定通りに仕上げることができる。つまり疑うな。俺を信じろ。

■目標
 
年収1,000万
■コスト 

文字数10,000
■リターン
 売値 1,100
 利益 700

 さて、俺がなぜ文字数を10,000文字に設定したかというと、声優さんへの依頼料=予算を決めるために必要だからだ。声優さんもピンからキリまでいる。1文字2円の人もいれば、1文字10円の人もいるだろう。試しに、それらに文字をかけてみよう。ここはこう書く。

■目標
 
年収1,000万
 ■コスト 

 字数 10,000
 声優 20,000~100,000
■リターン
 売値 1,100
 利益 700

 よし段々と項目が埋まって来たな。この段階で俺は10,000文字分の台本を書く労力と声優さんへの依頼金額20,000~100,000円ほど必要になるわけだ。では次に必要なものを考えよう。そう、音声作品のジャケットイラスト(表紙)だ。

 イラストは現在制作中のCGのものを使いまわせば最低金額が0円。一般的なイラストの依頼金額が30,000~60,000円と仮定して話を進めよう。

■目標
 
年収1,000万 
■コスト 

 字数 10,000
 声優 20,000~100,000
 表紙 0~60,000
■リターン
 売値 1,100
 利益 700

 大体のことがわかってきた。音声作品を一つ作るには、10,000文字分の台本で考えた場合、声優さんやイラストレーターさんへの依頼金額0円~160,000円が必要になってくる。

 さてここからが肝心だ。俺はこのコストを上回るだけの利益を稼がなくてはならない。商売にかけて天賦の才を与えられながらも集団的社会性の欠如から群れを離れ、個人事業主という一匹の狼となった俺だ。計算というものには余念を許さない。あと忘れていたが年収1,000万を月換算すると83万なのでそれも書き加えるぞ。一本の利益が700円だから、えーっと83万+コストの数20,000~160,000を利益で割ると……

■目標
 
年収 1,000万
 月収 830,000
■コスト 
 字数 10,000
 声優 20,000~100,000
 表紙 0~60,000
■リターン
 売値 1,100
 利益 700

で計算した場合……

1214本~1414本くらい売れればOK!

  そう、つまり一月1214本~1414本を売る。これを一年間続ければ俺は年収1,000万になれるのだ!

 無理だろ……常識的に考えて……。作品によって当たりはずれの波がある市場で狙って1214本~1414本の売り上げを出すなんて素人の俺ができるわけないだろう。もっと現実を見ようぜ。そう、俺はお前らに現実を突きつけたかったのだ。俺たちの生きるリアルはそう甘くはない。簡単ではねえってことだ。いい教訓になったな。わかったら四の五の言わずに働いて明日を生きろ。夜中にこんなクソみたいなnoteを読んで時間を無駄にするんじゃない。まあ俺に関して云えば、一本につき50,000円くらいの利益を狙って成功するかどうか、そういう地道なところから始めて……ん? 一本50,000円? つまり制作費含めて70,000~210,000円くらいの売り上げを出せってことか?

 そうなると……

■目標
 70,000~210,000円
■コスト 
 字数 10,000
 声優 20,000~100,000
 表紙 0~60,000
■リターン
 売値 1,100
 利益 700

で計算した場合……

100本~300本くらい売れればOK!

 お、これならイケるんじゃないか? というか、20,000~160,000円のコストだと8倍くらいの差があるけど、目標本数100本~300本ってあんまり変わらんな!ガハハ! とにかくこんだけ売れれば一本につき50,000円くらいは稼げるってことだ。ん?待てよ? じゃあ二本作れば10万、二十本くらい作れば月収100万行くじゃねーか!

 月二十本の音声作品ってお前それ……週休二日でやるなら一日一本完成させろってことか? そして常に100本~300本売れれば年収1200万か! うおおおおおおおおおおっ!!! そうなりゃ俺は医者クラスのライターだああああああああっ!!!



 無理だろ……常識的に考えて……


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