HHKB Studioを使ってみた雑感

HHKB Studioレンタルしてみた

「HHKB Studio試してみたいけど、合わなかったときのリセールバリューもわからないからなー」
「買うとしたら雪(白)が欲しいんだけど出てるのが黒だけなんだよなー」
と思っていたところ、レンタルなるものがあるらしいので試してみることにしました。
リセールバリューに関しては、蓋を開けてみれば某フリマアプリで転売かよって値段になってましたが。

折角レンタルをしたことですし、触ってみた感想などを綴っていこうと思います。

以下、長いのでHHKB Studioは『Studio』、HHKB Professional Type-Sは『Type-S』と書くことにします。


外観

Type-Sよりは一回り大きいですが、概ね60%キーボードとしてはこのくらいだよねって感じの大きさでした。

Studio(反射)

レンタル品だからかもしれませんが、ついてきたUSBケーブルはなぜかElecom製。

キーキャップ

キースイッチがCherry MX軸互換になったことで、他の一般的なメカニカルスイッチ用のキーキャップが使えるようになっています。
とはいっても、ポインティングデバイスと干渉してしまう『G』『B』『H』キー、長さは6uだけどスタビライザーの位置が6.25uなスペースバーあたりはまず適合するキーキャップはないんじゃないかなといった感じです。
Escキーなど一部装飾用って考えたほうが良いかもしれません。

リストレストとの併用

Filcoの木製リストレスト、松葉製作所の木製リストレストを持っているので、これと合わせてみます。

FilcoのリストレストとStudioを合わせてみる

まずはFilcoの木製リストレスト。
Type-Sの場合は数mmほどリストレストのほうが大きかったですが、Studioと合わせるとちょうどよく見えます。

松葉製作所のリストレストと合わせてみる

次に松葉製作所の木製リストレスト。
こちらはStudioが一回り大きくなったぶん、数mmほどリストレストのほうが幅が狭くなっています。

キーボードルーフとして上に乗せることはできました。
Studio自体が一回り大きくなったこと、マウスボタンはカバーできないことなどから、Type-Sに乗せたときほどのマッチ感(?)はありません。
まあ、キーボードルーフとしての役割は果たしてくれそうです。

キーボードの上に乗せられました

打鍵感

一応分類はリニア軸ですが、静電容量スイッチのような押し始めの抵抗感も残していて、なかなか不思議な感覚でした。
個人的にはこっちのほうが好み。

ただし、『G』『B』キーあたりをタイプしようとしてポインティングスティックに指をぶつけることが何度かありました。
ThinkPadなどのパンタグラフキーボードよりもキーストロークが深い分、ポインティングスティックの存在感は強かったです。

ジェスチャーパッド

Studioの目玉機能のひとつですが、正直ここはがっかり感が強かったです。

タッチ感度

MacBookのトラックパッドとかを想像しちゃうと、ジェスチャーパッドの感度はかなり悪く感じてしまいます。
お世辞にもいいとは言い難い。

ジェスチャーパッド感度は「どれくらいの距離をなぞったら動作させるか」を変えるもので「どのくらいしっかり触らないといけないか」は変えられませんでした。

スクロール量が離散的

トラックパッドのスクロールって「あと数pxだけ下に動かしたい」みたいに、動かす量を細かく調整できるじゃないですか。

Studioのジェスチャーパッドはそれができなかったです。
単純にマウスホイールの1クリック分をなぞった距離だけ動作させる、といった挙動でした。

指を例えば5mmだけ下になぞったらマウスホイールの下を1回分動作させる、みたいな感じですね。
これはマウスホイールと同等のスクロールしかできず、より細かいスクロール調整はできないことを意味します。

スクロールに関してはトラックパッドみたいな滑らかなスクロールを(勝手に)想像してたので期待外れに感じてしまいました。

手前2個のジェスチャーパッドはリストレストと干渉する

まあここはある程度予想はできていました。

私が上で合わせてみたFilco、松葉製作所のリストレストを使うと、どちらも手前のジェスチャーパッドはリストレストに隠れて使えなくなります。

ポインティングスティック

ポインター速度を細かく調整できたり、Fn2を押しながらでスクロールができたりと思いのほか多芸です。

ただ、細かい作業は他のポインティングスティックよろしく厳しいので、マウスなど他のポインティングデバイスを完全に代替できるには至らなかったです。

私は使いこなせなかったので、タイピング時にスティックにぶつかるデメリットのほうが大きく感じてしまいました。

マウスボタン

ポインティングスティックの追加に合わせて、手前にキーが3個追加されました。
キーマップ変更ツールの自由度も合わさって、個人的にはこれ結構ポイント高かったです。

新しいFnレイヤーの追加

中央のキーはマウスの中央クリック……ではなく、Fn2キーです。
右Shiftの右隣(Fn1)とは異なるFnキーレイヤーです。
さらにキーマップを変更することで、Fn3も使えるようになります。

標準ではジェスチャーパッドやポインティングスティックの感度調整用のレイヤーですが、キーマップ変更ツールを用いることで好きなキーを割り当てることもできます。
キーボード中央下のどちらの親指でも押しやすい位置にFnキーが追加できるのがかなり優秀で、全てのキーをホームポジションをほとんど崩すことなくFn2キーと同時押しすることができます。

例えば私の場合だとFn2レイヤーのHJKLにカーソルキーを割り当てることで、ホームポジションを崩すことなくカーソルキーを実現できました。
従来のFn1と[;/'で右小指を酷使することもないので、これはかなり楽でした。

矢印以外にも割り当てる余裕があります

左右マウスボタンも別キーを割り当て可能

マウスは別で用意する前提で、左右マウスボタンを別キーに割り当てることも結構使いやすかったです。

私の場合は左右ボタンに両方Fn1キーを割り当てて使うのが結構良い感じでした。
右端にしかない従来のFnキーと違って、どちらの親指でも押せる、さらにホームポジションを崩さないので、Fn1キーとの組み合わせがかなり使いやすくなりました。

マウスとしては使えなくなりますがキーボードとしてはより使いやすくなります

他にもIMEの設定で、他アプリと被らなさそうなキーに「IME有効」「IME無効」を割り当てて疑似英数かなキーを作ってみるとかも良さそうです。

スリープからの復帰

Type-Sではスリープのような概念はなく「30分経ったら電源入れ直してね」みたいな感じでしたが、StudioはEnterキーを押すことでスリープから復帰することができます。
更に、キーボード裏面のDIPスイッチを弄ると、全キーでスリープ解除できるようにもなります。
静電容量無接点スイッチからメカニカルスイッチに変わることで実現できた内容なのでしょう、たぶん。

このスリープからの復帰が地味にありがたくて、Type-Sでやらかしていた「キー操作してるのに反応しない?」から数秒して「あ、電源切れてたのか」と言ったことがなくなりました。

どのキーでもとりあえず叩けばスリープから復帰できて、そのときにLEDインジケーターが点いてスリープから復帰したこともわかりやすいので、この点は地味ですが高評価です。

LEDインジケーター

Type-SがLEDが1個だったのに対して、StudioはLEDが4個とかなり豪華になりました。

これにより、Bluetooth接続先確認がType-SだとLEDの点滅回数だったのが、StudioでLEDの点灯位置に変更になりました。
点滅回数を数えなくてもよくなった点、ぱっと見てすぐに接続先がわかるようになった点で、こちらも地味ながらかなり高評価です。

ついでにいうと、Type-Sでは微妙にわかりづらかったBluetooth-1とUSB接続の違い(点灯する長さの違いしかなかった)のが、StudioだとUSB接続が青LED全点灯になって、こちらもわかりやすくなっています。これも高評価。

ただし、LEDインジケーターは豪華になったものの、CapsLock表示とかは相変わらずありません。
あったらなにかと便利そうだなーと思いますがちょっと残念。

Bluetooth関連

店頭試打とかではなくレンタルにした理由の8割くらいがここにあります。
接続切り替えとか、接続先の電源を切ったときの挙動とかは店頭で触ったとしても分からないですからね。

個人的に知りたかったのが、

  • USB接続時にUSB接続した機器の電源を切ったとき、HHKB StudioはBluetooth接続に切り替えたりできるのか

  • Bluetooth接続→USB接続に切り替えたとき、Bluetooth接続は切れるのか

の2点、それぞれ別記事でも書いたHHKB Professional Type-Sで(個人的に)問題になっていたところです。

結論だけ先にいうと、後者だけ直っていました。

USB接続先の電源を切ったときの挙動

ということで、まずは前者『USB接続時にUSB接続した機器の電源を切ったとき、HHKB StudioはBluetooth接続に切り替えたりできるのか』です。

こちらは残念ながら直っていませんでした。

ただし、Type-Sとは違いUSBケーブルを抜き差しせずとも電源スイッチを入れ直すだけでBluetooth接続に切り替えられるようになりました。
直ってはいないものの、Type-Sに比べたら少しだけましにはなってるかな……。

Bluetooth接続→USB接続に切り替えたときの挙動

次に後者『Bluetooth接続→USB接続に切り替えたとき、Bluetooth接続は切れるのか』です。

こちらはなんと改善されていました。
Bluetooth接続からUSB接続に切り替えたとき、最初のBluetooth接続した端末の方はきちんと切断されていました。
ならType-Sの方も仕様とか言わずにファームウェアアップデートで改善してほしかった。

まとめ

他の人も言及しているようなところはなるべく簡潔に済ませるつもりでしたが、それでも結構長くなってしまいました。

全体的な感想として、新しいキースイッチとかマウスボタンとかポテンシャルを感じるところはありましたが、全体的にコレジャナイ感が強かったです。

この商品は発売されてからまだ1ヶ月くらいですし、今後の展開に期待したいところです。

これ以上書くとまとめも長くなりそうなのでこの辺で。
参考になれば幸いです。

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