短歌 2022.6


そんな程度で 好きって言うな
汚れちまうだろ 純情が


あなたはどこで 何がしたいの
揺れる花びら とどまるわたし
わたしはどこで 何がしたいの


女の子 電車に揺られ どこまでも
硬いプリーツ 踏ん張れローファー


氷も溶けて じりじりじわじわ 時間が過ぎた
お前なんか 大好きだった


イマジナリーフレンド やってられないよ
布団に潜れば 宇宙なのにさ


触れる手と カラカラぶわわ 扇風機
中の熱いの すぐに冷まして
こんな大人に なりたくなかった


苛立って 力を入れて 砕いた飴玉 
転がす派なのね そんな気はした


夜の誘い 風俗嬢の 紙タバコ
朝になったら シャボン玉


忘れ物 首輪片手に 後始末
コップについた 紅はいずこへ


足取りかろやか ほっぷすてっぷ
行先に乾杯してじゃんぷ!


期間限定フレーバー 
それおいしいの? ひとくちちょうだい
おもしろいよね 飲み物だけじゃないくせに
皮肉ですけど さようなら


黒い渦 漂白剤で きれいになるかな
今すぐここから 逃げてしまいたい


隣で眠るきみの手を握る
手のひらの温度しか わからないけど
分かり合いたいし溶け合いたい


風に吹かれて舞うビニール袋を
踏んづけぐしゃっと潰す遊び


ブロッコリーのくたくた
食べきる頃には
みんな離れていなくなる


ピカチュウにはサトシがいるのに
私には鞄の中でしわくちゃになった
ドラッグストアのレシートしかないよ


据え膳なんて 用意するもしないも女次第
夢だけ見てろ バーカ


壊れたエアコン アイスで耐える 
落ちるまで待とう 線香花火


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