2023年を振り返る②
2024年になってしまった。というか、もう一月も半ばになるぞ。嘘だろう、この前冬コミが終わったばかりじゃないか。
どうやら私は、休みはとことんぐうたらしてしまうタチらしく、仕事も始まりやっと平常のペースに戻ってきた感じだ。
この年末年始は、スキマで一日一話読んでいた「静かなるドン」と「特攻!月姫」もノータッチだったし、Duolingoも抱いてやらなかった(勉強しなかったの意)。
Duoには年末年始、家族のもとにいく私を何も言わずに待つ現地妻ムーブをさせてしまったので、今日からしっかり愛してやりたいな…と思う。
何を言っているんだ?
前置きが長くなった。
年が明けてから前年の振り返りをするの、なんかちょっと情けないけれど、広げた風呂敷は畳まねばならぬので、やらせていただこうと思う。
前回の振り返り↓
さて、前回のまとめは、結果として「2023年にできなかったこと」のまとめになった。
今回まとめる項目は、計らずしも、「例年以上に多く触れたもの」になった。
ベスト小説
23年は、小説をよく読んだ(当社比)。と言っても、年間40冊くらいだろうか。一か月に3冊ちょっとくらい。よく本を読む人からしてみるとそんなに多くはないけれど、例年の私に比べるととても多い。
そんだけ「読んだ」という自覚があると、選ぶのも気合が入る。
うーん。
23年ベスト小説は、小川洋子さんの『博士の愛した数式』だな。けっこう前の小説であることに加え、再読である。しかし、何度再読しても「ああやっぱり美しいな」と胸が震えるのだ。
ウマ娘、エアシャカールを好きになってから初めての再読。とにかく数学に関する本に触れたいと思って読み直したけど、いやあ……余計に素晴らしかった。
エアシャカールは、美しい世界観の中で生きている。タキオンもファインも、美しいだとか、高潔だとか、そういう言葉で彼女を表現する。
隙のない数字の羅列は美しい。それを美しいと思うシャカールが美しい。
美しいものには、神が宿る。誰にも、何にも覆すことのできない完璧な数字は、きっと神様が作ったものなのだと思う。
だから、本の中の「博士」にもシャカールにも神様はいて、方や自然と神様に首を垂れ、方や中指を突き立てようとしているのだろう。
そんな感じで、本の美しさに加え、わりと不純な動機でもマスト・リードの一冊だな〜と感じた。
本の構造的には「僕の記憶は90分しかもたない」という博士の病気がキーになる、いわゆる「難病系」のアプローチなんだけれど、それを悲壮感たっぷりに描くのではなく、「私」と「息子」と「博士」の穏やかで優しい日常を丁寧に紡ぎ、誰も死なず、誰も悲しい思いをせず、家族ではないものの間に確かに芽生える絆を描き、一人の少年の成長を通じあまりにも幸せな結末を描き切る…というところに、これが筆力というやつか…と感嘆しっぱなしなのである。
私だったら悲劇スパイスをこれでもかと盛ったり、すぐ殺したりしちゃいそう。死はカタルシスだから。でも、そうじゃないんだなあ。それを選ばなくても泣ける話が書けるんだなあという、道標みたいな一冊。何度でも再読したい!
ベスト本
えっ、ベスト…本!?
ベスト小説を書いたのに!? と思われるかもしれないが、実はこの世の中、小説以外の本ってめちゃくちゃいっぱいあるのである。
みんな知ってた? 知ってたよな。私だけだよ、知らなかった愚か者はよォ…。
彼女が本の商売をしているので、そのおこぼれで私もたくさんの本に触れる機会が増えた!
ありがてぇ〜。
けっこうざっくばらんに読むのだけど、最近興味があるジャンルは宇宙(ロマンがある)、エッセイ(たのしい)、対談集(おもしろい)、あとはー…デザインの本を読むことが多かったな。
私、デザインのセンスと知識がゼロで。
でも同人をやってると、どうしても自前で何かをなんとかしなくちゃならない時があるじゃないですか(ふわっとした危機感)。
さすがに同人誌のデザインとかは無理なんですけど、お品書きを作ったり、名刺を作ったり、そういう機会が…ねッ!
最初はデザインができる彼女に泣きついていたんですけど、「長く続けたい趣味なら、自分でできるようになりなさい」という、あまりにもその通りすぎる金言をいただき、じゃあ一丁やってみっか!という感じで重い腰を上げたのである。
というわけで、大参考にしたのは以下。
尾沢早飛さんの『デザインの基本ノート 仕事で使えるセンスと技術が一冊で身につく本』。
別に本を読んだからって急にデザインセンスが身につくわけじゃない。けれど、ゼロが1レベルに上がって、そんで2レベルに上がるための経験値集めをしてる今っていうのは、やっぱり楽しいよね。
ついでに言うと、そうやってできないなりに苦労しながら作ったものを、彼女は「ちゃんと丁寧に作っているのが伝わるよ」と認めてくれるので、私は、よし、またガンバローって調子に乗ってしまうのである。猿もおだてりゃ木に登る。
夏に作ったお品書きなんかは、真似をしてるフォロワーを数名発見したので、あー使い勝手のいいデザインにできたのかな〜と安堵している。
あとは『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』も面白かった。日本の部活動っていま過度期に差し掛かっていて、ここからどう変わっていくのか大注目。
私が部活やってた頃って、全国トップクラスの学校はまだ殴る蹴るがあったな。弱い学校じゃなくて、強い学校になればなるほど「力」で統率されるのが…不思議だったな。
ベスト映画
2023年、芝居も観ず、漫画も読まず、ライブにも行かなかった私は何をしていたのか。
映画館に行っていた。
2023年は、よく映画を観に行った。映画好きに比べると全然観てない方だと思うけれど、平年の自分に比べたらかなり観た方だ。
良い映画もたくさんあったし、憤慨したくなるようなものもあった。
その中からベスト映画を決めるのは難しい。が、あえて選ぶとしたら『エゴイスト』を選びたい。
素晴らしい映画だった。
私は自分の性的指向も相まって、どうしてもクィアな作品に惹かれがちだ。セクシャル・マイノリティの恋愛をテーマにした作品があれば、いそいそと観に行ったりしてる。そして、その度に「ハァ…萌えるわぁ…」と古の感情を抱きながら帰路に着く。
男性同士の恋愛を描いた『エゴイスト』は、そうじゃなかった。
映画を観て初めて「これは、私たちのための映画だ」と感じた。裏切られなかった。雑に扱われなかった。リアルに描いてもらった。生きてるな、と思った。初めて映画を観ながら嗚咽を漏らした。良かった。この一本がセクシャル・マイノリティを扱う映画のマイルストーンになることを祈る。
たくさん映画を観たな。
ウマ・馬界隈で話題になった『ドリームホース』も面白かったし、スラムダンクも最高だった。リバイバルで観た『覇王別姫』も、今年観た映画の中で最も素晴らしい一作品だった。
レスリー・チャンがあまりにも美しいものだから、『ブエノスアイレス』も観たいんだけど、アマプラもネトフリも配信がないんだよな。二つもサブスクに入ってるのに…。
ワーストは? と聞かれたら間違いなく『月』と答える。絶対に日本アカデミー賞を取らないでほしい。彼女が『月』を絶賛してたら破局するまであった。それだけ、私には許せない映画だった。良かった、彼女と価値観が合って。
今年もたくさん映画を観たいぞ。
2024初映画は『PERFECT DAYS』だった。良い滑り出しだよ。今年の二本目、三本目も決まってる。楽しみだな。
ベストレース
これも難しい。
みなさんはどうでした?
やっぱり、レコードが出た天皇賞・秋だろうか。劇的なレースに開いた口が塞がらなかった桜花賞だろうか。あまりにも美しかった有馬記念だろうか。スーパースタートが愛しかった葵ステークスだろうか。
どれも素晴らしい。
が、やはり、一番印象的だったのは、エンプレスペイちゃんが一口馬主初勝利をプレゼントしてくれた四月の三歳未勝利戦だろうか。
あの時に感じた喜びったらなかなかない。
今年は、どんな伝説が観られるだろうか。
競馬をしていると、一年間があっという間に過ぎていく。有馬記念まで頑張ろう、という気になる。今年も、そんなふうに過ぎていくんだろうか。
今年は福永厩舎も開業するし、コントレイル産駒も走る。早いね。好きだった馬が引退して、寂しいことも多いけど、その分楽しみなことも多いよ。
競馬はやはり、血を継いでいく競技なのだと思う。一年、また一年と「因縁」を紡いでいきたいね。
さて!
こんなところで2023年終わり!
やっと私の2024年がはじまるよ。
このnoteが気掛かりで、あんまり新年な感じがしなかったよ。
やっと日常に帰れました。
今年・来年度はいろいろと環境の変化がある予定なので、今まで通り同人誌をスカコン!と出せるかはわからないけど、できる限りはやっていきたいな。
年に一回くらいはオタク(ルビ:みんな)の顔を見たいよ。
今年もよろしくお願いします!
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