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「冊封体制」のメリットとは? 

さて、
冊封体制
とは、
ドラえもんで言うところの、
ジャイアン(中華王朝)とスネ夫(朝貢国)
の関係である。

冊封体制図

と言うことが分かったところで続いては、
中華王朝の冊封体制に入ることの
メリットとデメリットについてお話していきます。

ただ、ご注意いただきたいことがあります。

それは、
これから話す冊封体制のメリットとデメリット
におきましては、
あくまでも「短期的外交政策」として考えた場合
ということです。

詳しくは後ほどお話いたしますが、
あくまでも「短期的」視点であるということをご承知ください。

ではまず、メリットから。

リンスのいらない?

中華王朝の冊封体制に入ることのメリットは
大きく分けて3つあります。

○メリット1
「統治者としての「正統性」の獲得」

中華王朝に朝貢し冊封体制に組み込まれることで、
各国の統治者は「自治」が認められ、
さらに、中華風の官位や爵位が与えられました。

ということは・・・、

たとえ「元盗賊」が国の統治者となった場合でも、
中華王朝へ朝貢し冊封体制に組み込まれることで、

偉大なる中華皇帝により統治権の正統性が認められ、
それだけでなく、
名誉ある官位や爵位までもらうことができたのです!

これは、
自国において何よりの自慢になります。

鼻高々!

「私は偉大なる中華王朝から
この国を統治する正統性を認められたのだ!
跪け!」・・・と。

「進撃!巨人中学校」より

「元盗賊」という過去を美化するにはもってこい!
だと思いませんか?

これが、
中華王朝の冊封体制に入ることのメリットの一つ目、
統治者としての「正統性」の獲得」であります。

これは、朝貢するしかない!

ちなみに・・・、

」という称号について、
一般的に「王様=頂点」のように解釈されていますが、

トップオブトップ!?

中華思想に基づく
冊封体制において任命された「王」の称号
多少意味が異なります。

中華思想が根本にある歴代中華王朝は、
中華皇帝に朝貢し、
冊封体制に組み込んだ国々の統治者に「」の称号
を与えました。

これにより、
朝貢国及び朝貢国の統治者は、
正統性」を得たわけですが、
同時に、
中華王朝の「属国」という
不名誉も受け入れなければなりませんでした。

朝鮮半島がいい例となります。

朝鮮では紀元前3世紀頃
当時の中華王朝・前漢の冊封体制
に組み込まれましたが、

前漢、第7代皇帝・武帝

なんとその後、
1895年の日清戦争
日本が当時の中華王朝・清(最後の中華王朝)を破り、
講和条約である下関条約
によって朝鮮を独立国と認めさせる
までの、
約2000年以上にわたり、
ほぼ一貫して中華王朝の冊封体制下にあったのです。

その証拠に、
朝鮮では国王が亡くなると、
中華王朝から冊封使が来て、
「次の王はお前だ!」
という承認が得られるまで次王は
「王の称号」を名乗れません
でした。

そのような状況は、
果たして独立国といえるのでしょうか?

現在の朝鮮半島情勢において、
韓国・北朝鮮がなにかにつけ
中国の顔色を伺い行動するのは、
約2000年にわたり
中華の冊封体制に組み込まれていた
という歴史的事実
が関係しているのでは?

と論考する方々が多いのも、
なるほど、うなずける話です。

眼からウロコ!

つまり、
中華王朝の冊封体制において
朝貢国の統治者に与えられる「」という称号は、
中華王朝の属国の支配者
という意味が込められていたということなのです。

決して欧州における
「キング」の意と同意ではない
ということを覚えておいてください。

中国風の「王」とは、
決していい意味ではないのです。

ここにも中華思想が見え隠れしております。

○メリット2
「「経済」的な利益」

中華皇帝へ跪き、
額を擦り付け、
自国からの貢物を献上する「朝貢」により、
中華王朝の冊封体制に入ることができるわけですが、

我、中華こそが世界の中心である!

と自負する中華王朝・中華皇帝は、
貢物の返礼品として
子分である属国に対し、
属国からの貢物の何倍も高価な品を大量に返礼
したそうです。

これは中華思想からくる「メンツが一番
という思想です。

子分から貢物をもらいっぱなしでは
親分としてのメンツが保てない。
というところでしょう。

朝貢する側の属国としては、
自国の懐は痛まないし、
むしろ、
何倍もの高価な品をもらえるので得をする!

つまり、

中華王朝の冊封体制に加入すれば、
属国となる代わりに、
経済的に得をする。
「経済力」を得るということです。

これまた、
朝貢するしかない!

○メリット3
「国防」問題の解決

ドラえもんの話ばかりで申し訳ないですが、
ジャイアンの仲間になれば
スネ夫は殴られることはありませんし、
もし、
スネ夫が虐められた場合には、
ジャイアンが仕返ししてくれるでしょう。

ジャイアンの威を借るスネ夫

これと同様で、

強大な軍事力を持つ
喧嘩の強い中華王朝の冊封体制
に組み込まれ属国になっていれば、
どんな弱小国であろうとも、
中華王朝からは攻められることはありません

しかも、

中華王朝という親分が
後ろ盾になってくれているので、
他国からケンカを売られたり
攻め込まれる心配も少なくなりますし、
万が一、
ケンカを売られたとしても、
親分の中華王朝様に助けを求めれば
助けてくれるはずです。

中華王朝、冊封体制、
バンザ〜イ!・・・。

つまり、

中華王朝の冊封体制に加入し属国となる事で、
国防」の問題を解決できるということです。

たとえどんな小国であろうとも、
跪き、床に額を擦り付け、
中華皇帝に貢物を献上し属国になることで、
中華王朝が後ろ盾・ケツモチ・ジャイアン
になってくれるということです。

ジャイアンって最強・・・

ここまでくると、
朝貢しない方がおかしい!


これが
中華王朝の「冊封体制」
に組み込まれることによる主なメリット3つ、

1、「統治者としての「正統性」の獲得」

2、「「経済」的な利益」

3、「「国防」問題の解決」であります。

次回・・・、
「冊封体制」のデメリットとは?
乞うご期待!


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