見出し画像

【レガシー】安価だというネットの言説を元に死の影を組むべきではない

定期的にMtGは学級会が開かれる。
8割ぐらいは読み流すようにしているが、その中で定期的に見る
「死の影はデュアランいらない」
「安価で組みやすい」
「死の影ならデュアランは下位互換」
という言説が非常に目につくので、使ってる身としてはこうだよって言うのをまとめてみたい。

まえおき

前置きとして、このテキストは個人の意見であり、
デュアランなしの死の影をポストしている方々をけなすわけではない。
あくまで使用者として死の影を選択肢に入れたレガシー未経験者の人に
判断の一助にしていただければ幸いである。


ほんとにデュアランいらないの?

死の影に採用されている土地の枚数と種類についてなぜそうなっているのかをまずはざっくりと解説したい。
初心者に読んでほしいなどと書いておきながら急にテクニカルな話が始まってしまい申し訳ないが、お付き合いいただければと思う。

ショックランド 

3~4枚

死の影と言えばな土地。
ペイライフをするために採用されている。島+沼のサブタイプを持つため、アンダーグラウンドシー同様、目くらましや殺しのピッチ条件になりつつライフを能動的に減らすことができる。
枚数について上限は検討の必要があるが、3枚以上だろう。
3枚あれば、思考囲いなどのスペルに依存せずフェッチショックイン×3回で死の影をプレイできるライフへと突入できる。

不毛の大地 

3~4枚

目くらましの賞味期限を延ばすためにマナを咎めたり、土地単のイス卿の迷路を割ったりなどが主な仕事。
カラーパイ的に土地コンボに触りづらいため、必要なマッチではしっかりとほしい。
色マナが出なかったり基本土地タイプがなかったりと土地というより妨害スペルのような使用感のため3枚が主流だったが、基本土地サイクリングの登場によりやっと土地換算できるようになり、4枚採用がトレンドになった。

島、沼 各0~1枚

各0~1枚

基本土地の最大の利点は不毛をされない点に尽きる。
しかしながら、
・濁浪の青ダブルが出ない
・目くらまし+殺しを同時に構えられない
等のデメリットが目立つ。
また、基本土地は不毛の大地に対してだけ有効だ。
血染めの月や基本に帰れなど特殊地形を咎めるカードは一定数存在する。
比較的採用の多い対策カードは血染めの月や月メイガスだと考えられるが、
これらをケアして基本土地を置いた場合はペイライフが行えず死の影を運用できない。
トロールの沼サイクリングが入ったことで沼の採用がなされたが、青ブラ系もしくは厚かましい借り手でロックを抜けることができるため基本的には島だけ採用で良く、沼は可能性として死の影をプレイしうるカードでしかない。
また、意志の力を使う以上、不用意なセットランドは避けるべきだろう。
余剰な土地を引かないことでリソースを確保するデッキのため、土地は3枚も並べば十分だろう。その際に盤面が島沼というのは非常に不安定なマナベースになってしまう。

アンダーグラウンドシー 

1~2枚

上記まで長々と付き合ってくれて非常にありがたく思う。
結局のところライフを減らせばいいんだからショックランド4+島沼1で良くない?と思われたことだろう。
大事なのは選択肢を持っているかどうかだ。
ライフを減らすデッキではあるが、それが許されるのは19点までである。
トロール再活性を行う際に2ターン目にフェッチショックイン×2から再活性でライフを8まで減らした場合、盤面は確かに強固になるだろう。(理論値で5/5影と、6/5のトロールだ。4ターン目までに殴り勝てるだろう。)
しかし、この動きは相手のクロックや火力などを考慮しない一種のぶっぱムーブでしかない。死の影が出せなかった場合はデルバーと殴り合って負ける可能性のあるライフ域でもあることをリスクとして認識すべきであろう。
キーカードたる死の影を持たない死の影デッキはただの自殺志願者でしかない。濁浪やトロールなどのクロックをサブに添える以上、ライフを減らさずにマナを増やせるという選択肢を大事にすべきなのだ。
ライフを減らさない選択肢と、色事故、ピッチスペルの条件を満たす最適解としてデュアルランドは重要だといえる。
不毛をケアし、ショックインが許されないバーンなどを含めて考えると2枚がベストな枚数だといえよう。

安価で組みやすい?

懐事情は人それぞれだが、これ自体はあながち間違いではないように思う。
というのも、特殊な高額カードが少ない。
デュアランを除いた死の影デッキで比較的高額なものとしては意志の力やオークの弓使い、思考囲い、各種フェッチランドぐらいだろう。

そろそろ禁止か…?


他デッキにもコンバート可能なカードが主であり、パイオニアやモダンなどで活躍する黒いカードがメインである。
また、青いコモンやアンコモンはその辺のストレージ漁ればある程度は確保できるだろう。
他デッキに流用しづらい高額カードが少なく、比較的他フォーマットで使いやすい採録組が脇を固めるデッキだ。

デュアランは下位互換?

答えはNo.マナベースで解説したが、あくまで選択肢である。
このゲームで完全下位互換はそもそも少ない。

死の影は初心者向き?

死の影は決してデッキパワーが高いデッキではない。
オークやトロールなどの黒いカードの隆盛によりメタ上位に最近浮上したが、アーキタイプとしては癖のあるクロックパーミッションだ。
青+黒という干渉力の高さはあれど、イージームーブや目指すべきコンボなどがあるわけではない。同じクロックパーミッションのデルバーとも異なる思考が要求されるため初心者向きとはいいがたいのではないかと思う。
無論、レガシーにおいて簡単なデッキなど存在しない。
「〇〇は簡単だよ!」などというのは極まったオタクの流言なので聞き流したほうがいい。
そして何より(タイトルのデュアランに触れるが)ペイライフを戦術に組み込む都合、自分自身のデッドゾーンを常に管理しなければならない。
一般のMtGのセオリーから逸脱することは相応の難易度を伴う。

デッキを選ぶうえで意識してほしいこと

レガシーは最高のゲームだ。もしまだ遊んだことがいのであればぜひこのフォーマットへ参入してみてほしい。もしレガシーを始めてみたいと思う人がいれば、以下のことを基準にデッキを選ぶとうまくいくんじゃないかと思う。

使いたい、やりたいことを明確にしてみる。

レガシーはほぼすべてのやりたいことを実現できる懐の広さがあるフォーマットだ。だからこそ、スタンダードの相棒カードを主役にしたデッキでもいいし、自分が気になる動きやあこがれた動きを突き詰めるのもいい。
個々人の好きが答えであって、レガシーの経験の有無は関係ない。

もちろん、「DDコンボでマリットレイジを出したいんだけどタバナクルが高くて…」ということもあるだろう。

The 高額

ここで大事なのは、高いからしょうがないね~、死の影を使おうではなく「緑ポストやレインボーデプスも出せるよ!」という提案をすべきことだろう。これは以下の2つにつながる。

拡張性を意識する。

お金が無尽蔵にある人はいないだろうし、個々人が組めるデッキには必ず限りがある。
限られたリソースの中で遊ぶ以上、フォーマットの縦と横のつながりを意識してほしい。

縦のつながりとはフォーマット間のつながりに当たる。
例えば、レガシーのURデルバーを作ったプレイヤーはその20分の1の投資でモダンのカウンターモンキーを作れるだろう。
黙示録シェオルを持っているスタン民はアーボーグから買い出し、パイオニアの赤黒とレガシーの黒単を同時に進めることができるだろう。
デッキを組む際は今の手持ちや、他フォーマットのことを踏まえて構築するとイベントの参加頻度を増やせるためおすすめだ。
特に週末型プレイヤーの社会人ならば、友人とショップでレガシーをフリプしつつ、大型イベント(コンベンションなど)の競技も視野に入ってくる。

全階級制覇できそう

次は横のつながりについて。
横のつながりはフォーマット内でのデッキの乗換に当たる。
極論、青いデュアルランドをすべてそろえてしまえばレガシーはかなり安価なフォーマットになる。意志の力さえあれば、大抵のデルバー系は組めるし、多色コントロールも組めるだろう。
レガシーで活躍するカードはそのカードパワーからどこも似たり寄ったりになりやすいからだ。
当然、そんな極まったユーザーはこんな記事読んでいないだろうから上記は極論であるが、
ex.1)ボルカを4枚買う→URデルバーとスニークショーがほぼそろう
ex.2)アンシーを2枚買う→死の影と忍者が組める
ex.3) ex.2)からアンシーをさらに2枚買い足す→UBリア二、DOOMSDAY、青黒スキャムが組める。
というように使えるデッキの幅が大きく広がっていく。

晴〇る屋福岡店「ボルカ買えば2デッキつくれるから実質半額」

レガシーは高額カードが多い以上、デッキを気軽に変えることは難しい。いつ面でのフリプもマンネリになりがちだ。だからこそ、縦横の拡張性で気分転換を図るほうがコスパがいいというのが持論である。
使いたいカードがある場合、値段を理由にそれを我慢する必要は一切ない。

値段で選ばない。

この記事を読んでる人(そんな人がいればだが)はほとんどがカードゲームで賞金を得ているわけではないだろう。これは商売道具ではなく、遊びのツールだ。
好きなものを愛着を持って遊ぶのであれば、自分が気に入るデッキを候補にしてみたほうがいいだろう。趣味である以上、レガシーは義務ではない。

しかしながら、勝敗がつくゲームである以上、みんな勝ちたいというのが本音だろう。
懐事情やいずれアップデートするかなどどこまで妥協できるか考慮し決定すべきであり、値段のみを見て飛びつくべきではないように思う。

前置きでアンシーなし死の影をけなすわけではないと置いたのも、彼らを死の影を好きになった同志だと思っており、沼への勧誘をしているのだと思っているからだ。
同好の士であるからこそ、死の影デッキに関してはフェアに伝えたいと思い本記事を執筆した。
本記事では触れていない魅力が死の影にはたくさんある。
値段ではなく、その魅力で勝負したいと思っている。

終わりに

自分自身、今の死の影を溺愛するまでに赤黒リア二やデスタクなどいろいろなデッキを作っては手放してともったいないことをしてきたプレイヤーである。
そんな自分が何を言うんだという感じではあるが、悔しいことにレガシーは面白い。
値段ではなくゲーム体験を求めてこのフォーマットへ飛び込んでみてほしい。
この記事を元にレガシーを始めた人が増えれば最高だ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?