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愛犬ロビンと自宅作業の闘い:4日目

ね、ねむた~~い!!!
春眠暁を覚えずとは言うが、わたしは今現在、謎の眠気に襲われている。

思えば一週間ほど前からうちの犬(ロビン・ダックスフンド・1歳)がやたらに眠るようになった。それを見たわたしは「わ~い!ようやく犬もわたしが昼間家にいる生活に慣れたか~」と思い、小躍りしていた。というのもわたしは半年以上、犬と自宅作業における闘いをしてきたのである。

9月に実家に帰ってきてから毎日、わたしはカフェやら図書館やらに行って執筆をしていた。なぜなら家には机もWifiもあるのに、ただ≪静けさ≫だけが無かったのである。しかし執筆にはなによりも≪静けさ≫が必要なのである。

ということでわたしは6か月ほど、PCを背負って自転車に乗り、カフェ巡りをしていた。優雅な生活に見えるがそこそこ気持ちは重かった。カフェで一日を過ごすのも、たまのことなら楽しいが、毎日のことになるとコーヒー代もばかにならない。でも、ばかになりそうな金額を払うに適した静けさがそこにはあった。減っていく通帳の金額に涙しつつ、必要経費だ…と財布をひらいていた。

しかし2月の終わりあたりから、自衛のためにそういう場所に行くのを少しずつ減らした。ここからが、本格的な犬とわたしの攻防のはじまりだった。

わたしが家で作業をし始めた当初、犬はそれはもう大はしゃぎだった。大はしゃぎというか、超・情緒不安定だった。

この犬は子犬の頃、共働きの両親を14時間も待っていた。つまりだ、寂しさが根性に染みついているのだ。わたしも同じく寂しい子供時代を過ごしたのでわかる。寂しいが当たり前になっても寂しさに慣れない寂しい生き物は、突然寂しくない状況に置かれると、「え?!は?!なんで?!でも超嬉しい!でももしかしてこれも期間限定?すぐ無くなっちゃう?え~ん!嫌だ!」とパニックを起こし、今目の前にいる寂しさを埋めてくれる人間に当たってしまうのである。

9月に帰郷してからそんな犬の態度にビビったりしながらも、自分の時間のほとんどを犬に費やすことで、少しずつ犬は落ち着いていった。(犬にはこちらの思いやりが8割ほど伝わるのである…)

しかしだ。24時間一緒というのは話が違う。犬にとって前代未聞。そりゃもう大事件だ。情緒も超・不安定になろう。 

最初の2週間はまともに仕事はできなかった。犬はわたしが机に向かうと責めるように鳴くのだ。以前からそうだったが、一緒にいる時間が増えたせいか、そのヒステリーさは苛烈を極めていた。しかし締め切りはやってくる。悩んだ末にわたしは犬を右手に抱えて、犬の大好きなソファーに座り、そのひじかけ部分にPCを乗せてぐらつかせながら執筆をした。

そうしてなんとか出来上がったのがこの記事である!

この文章は、「わたし」が26歳の夏、昔の恋人と東急東横線の中で再会するシーンから始まる。恋人は座席で眠っていて、「わたし」が隣にいることに気がつかない。その寝顔を見ながら「わたし」は回想する。彼と、彼の前に付き合った≪最初の男≫について……。

当社比ではあるが、これの反響は大きかった。解説のnoteも書いた。

ここでわたしは自信をつけたのである。
「メンヘラの犬をかかえながらでも、執筆できるんじゃない?!あたし!」と。

人間、自信がつくと大胆になり前進できるものである。

その後も犬を抱えつつ、少しずつソファから机に移動した。どうやら犬はわたしとくっついていれば安心するようなので、椅子の上であぐらをかいてその中で犬を眠らせる……という戦法をとった。絶妙に筋肉痛になる行為なのだが、それが筋肉痛にならなくなってきた頃、ようやく犬は「昼間はお姉ちゃんの足の中で眠るのがルーティン」となってくれた。

長い闘いであった。何事も、新しいことが≪当たり前≫になるまでが大変なのである。

ということで(どういうことで?)明日、実家の机で書いた≪初めて≫の記事が掲載されます!

犬が寝ているから動かせない…と1mmも動かずに机に向かっていたら足と尻がつったこと。犬が左手を枕替わりにするから、右手だけでポチポチ…とキーボードを叩いたこと。他にもたくさん、犬とわたしの激闘の日々が詰まった文章だ。(注:内容にはそのことは反映されてない)ぜひ読んでいただけると嬉しい。

それでは謎の眠気はいっこうにおさまらないので、犬を小脇に抱えて眠ることにする。明日も皆さんにとって良い日でありますように!

劇団・少女都市 主宰
劇作家 Mary Yoshi (葭本未織)

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