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晴れの国オーストラリアに行って、私は雨の日が好きになった。

皆さんは、雨の日が好きですか?


それとも憂鬱になりますか?


気圧の変化で、頭痛になる人もいるので、雨の日が嫌いな人も多いはずです。



私は特に、雨の日に頭痛が起こるなど体調の変化に問題はないのですが、ただただ雨の日は、やっぱりテンションが下がります。


仕事の日も休みの日にせよ、雨が降っていると、まず履いていく靴を選んで、そこからその靴によって洋服を選ばなければならない。。。


おまけに髪の毛もぺたんこになるし。。。


雨って大嫌い!!!!


とまあ20代前半の時は、このように雨の日が大っ嫌いだったワケです。


友達も同じようなタイプだったので、遊ぶ約束をしていても、雨を理由にお互いテンションが下がって、「今日は遊ぶのやめよう」なんてこともしばしば。




そんな雨嫌いだった私ですが、ある出来事をきっかけに、雨の日を待ち望むようになりました。



それはワーホリで、オーストラリアに滞在している時のお話です。



私は26歳〜28歳にかけて、オーストラリアのワーホリビザを利用して、旅をするように暮らし、色んな都市を巡りました。


シドニー・ブリスベン・パース・バイロンベイ・・・


合間に農業もしたので、田舎町にもたくさん行きました。



そこで、最後に住んだ街が、ゴールドコーストという海沿いの街なのですが、そこで永住権を持った日本人親子に出会います。




お母さんは58歳で、息子26歳。お父さんと娘がいるのですが、色んな事情があって、今はお仕事の関係やらで、オーストラリアと日本、別々に暮らしています。オーストラリアへは、一家全員で移住してきたそうです。




オーストラリアの永住権は、20年前くらいまでは、申請すれば誰でも手に入るくらい、オーストラリア政府は移民を受け入れることに積極的でした。




ですが、ここ数年で移民が増えすぎてしまい、オーストラリア人の仕事を移民が奪ったり、オーストラリアにとってデメリットが増えてきたので、今はオーストラリアの永住権を手に入れよと思えば、



①オーストラリア政府によって定められた、特殊で高度なスキルを持つ人(医療関係・科学者など)

②1億円を払って永住権を買う

③オーストラリアの永住権を持つ人と結婚する



とういうように、昔は申請すれば簡単に手に入っていた、オーストラリアの永住権ですが、今は誰もが住める場所では無くなっているのです。




かなり難易度の高い永住権ですが、それでもオーストラリアに住みたいと、あの手この手を使って、オーストラリアの永住権をゲットしにかかる日本人含め外国人がとーっても多いんです!


永住権欲しさに、オーストラリア人と結婚する人とかね!



それくらいオーストラリアはとっても素晴らしい国で、住み心地もよく、誰もがこの場所に訪れると、住みたくなるくらい、最高の国なんです。




永住権についての説明が長くなりましたが、すでに20年前に永住権をゲットしてしまっている人は、今とってもラッキーというか、皆から羨ましがられる対象になるわけです。



だから、私がその親子に出会った時も、

「オーストラリアの永住権持ってるんですね!最高じゃないですか!」

と、目をキラキラさせながら、お話をした記憶があります。



ですがそんな私とは対象に、


「うん。そうなのよ。永住権ってすごいのかな? でも日本はとってもいい国よね。ご飯も美味しいし、仕事もあるし、テレビも面白い。私たちはとっても、日本が恋しいなあ。」



その人たちの住む家の一室をお借りするのに、部屋を内見しに行った時、永住権を持つ人だけの悩みや寂しさ、なんとなく踏み込んではいけない、何かを感じた気がしました。




結局その家の一室をお借りして、一緒に住むことになり、その親子には最後まで大変お世話になりました。



働き者のお母さんと、少し内気だけど、お洒落が大好きな26歳の大学生の息子さん。



活発でおしゃべりな私を気に入ってくれて、人見知りな26歳のシャイボーイも心を開いてくれたようでした。その姿をみて、お母さんはとっても喜んで、息子さんの過去や、家族のこと、オーストラリアにきた時に受けたアジア人差別、仕事のこと、今後のこと。



つい最近知り合ったばかりの私を、まるで家族のように受け入れてくれて、約1ヶ月間、とても濃い時間を過ごしました。



ゴールドコーストを知っている人は、やっぱり海を想像すると思います。


ビーチが有名で、おじいちゃんやおばあちゃんもお気に入りの水着を着用して、まるで銭湯に来るかのように、ビーチに来て海に入ります。



空も空気も澄み渡り、自然を感じながら、人間味のある生活ができるのがオーストラリアの魅了の一つです。



夕暮れ時息子くんと一緒に、ゴールドコーストの田舎道を散歩しているときに、こんなことを言いはじめました。



息子くん「僕、雨の日テンション上がるんです」


私「えっ、まじで。私、雨の日大っ嫌い!オーストラリアは湿気が少なくて、晴れている日が多いからいいんじゃん!」



息子くん「あはは!!そうですよね〜!!オーストラリアめっちゃ好きなんですね!! でもだから、雨の日がすごく貴重なんですよ!!僕、不眠症だけど、雨の音聞くと、すごく心地よく寝れる。だから、夜に雨が降っているの最高!笑」





それからは、少し雨が降ると、私もニコニコしながら、

「今日、雨だね!」

なんて言って、彼の笑顔を誘っていました。





英語もネイティブレベルに喋れて、勉強もできる。デニムが好きで、お洒落が大好きな26歳。ただ、性格がちょっと内気なだけ。


日本にいたら絶対にモテるのにな〜。自信つくのになあ〜。


性格も私と全く違うかったので、友達が多い私のことを羨ましがったり、普段は褒められないようなところを何故か褒めてくれました。笑



でもその分、彼にもいいところがたくさんあって、私には無いモノをたくさん持っている彼に、とにかく自信を持って!と伝えました。




その後、私は自身の都合で、予定よりもオーストラリアを早く離れることになり、帰国。



その家族とは少しの間しか、一緒に生活しなかったけれど、私のオーストラリア生活では忘れられない特別な時間。



帰国して数ヶ月が経って、息子さんから連絡があり、お母さんの体調が悪くなって、日本に帰国しますって。

末期の癌だったみたいです。



仕事があったから、大阪と東京でなかなか病院へ行くことができなかった。そんなのは私の病院へ行けないという理由作りで、本当は、行くのが怖かっただけ。



結局、連絡はそれ以降とっていません。オーストラリアにいるのかも、日本にいるのかもわかりません。




オーストラリアの思い出は、数え切れないほど、たくさんあるけれど、雨の日になると思い出す。




雨を待ち望んでいる人もいて、雨の音で心が安らぐ人もいる。



そんな風に思うと、自然と雨の音を聞こうとするようになります。




雨が降っているといつもより早く家に帰って、家族との時間を過ごし、雨の音を聞きながら眠りにつきたい。




晴れの日が多いオーストラリアに行って、雨が好きになったのは私ぐらいかもしれません。



でも、日本にいれば気づかなかったこと。あの人達に出会わなければ感じれなかったこと。




雨の日。

少しだけ目を瞑って深呼吸。

シンシンと降り続く雨の音を感じてみる。

心が落ち着いて、スーッと楽になる。

少し寂しくなる感情が、なんだか心地良い。

そしてまた、雨の日が待ち遠しくなる。

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