【書評】藤えりか「ナパーム弾の少女 五〇年の物語」(講談社)
ベトナム戦争中の1972年、ある写真が撮影されました。「戦争の恐怖」と題された一連の写真ですが、ナパーム弾で服を焼かれ、大火傷を負った少女の写真が突出して有名です。
罪のない子供に犠牲を強いる戦場の現実を伝えたこの写真は、世界に衝撃を与えました。ベトナムでの苦戦に加え、世界的に反戦運動が広がったことで、アメリカはベトナムから撤退することになります。
歴史を変えた写真といえますが、写真の詳細な背景までは意外と知られていません。そもそも、この写真が北ベトナムと南ベトナム