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勝ったら終わっちゃうのよ

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjcanth/87/3/87_387/_pdf/-char/ja

デイリーポータルZで紹介されていた論文が面白かったです。

題がもう良いですよね。勝ちゃあいいってわけじゃない。論文の中で著者がAさんというパチプロにインタビューをしているのですが、このインタビューが非常に読みごたえがある。パチプロで20年生計を立ててきたというAさんの持論には独特の迫力があります。

「期待値に収束する」とか、理解、間違えてるやつがいっぱいいるからいいんだけど。収束なんかしねえから。収束なんかしねえけど、収束するように見えてることを収束すると思って勘違いしてるのは構わないんだけど、この、期待値を積み上げることだけは……絶対にプロはやってるはず(2018年11月8日)。


こことか凄く良かったです。「期待値を積み上げる」って感覚が面白い。試行回数を稼げば結果の値は期待値に近づいていくけど、完全にイコールになることはないとして「収束なんかしねえ」とバッサリ切り捨てている。
それでも、試行回数を積み重ねるプロセスそのものには重点を置くというところにこだわりを感じます。片山まさゆきの漫画に出てきそうだ。

やっぱり自分のことを見るのにいっぱいいっぱいで、台を攻略することにいっぱいいっぱいで終わっちゃうんだよ。〔たばこの煙を吐く〕 ……勝ちゃあいいってわけじゃないんだよ。だから、シンプルに理論だけ言って、勝ちゃあいい……それだけじゃない。それだけだと終わっちゃうんだよ。勝って終わっちゃうんだよ。 勝ったら終わっちゃうんだよ。


ここも格好いい。タバコ吸いながら話してるのが実にパチプロという感じがします。
パチプロ生活を成立させるためには勝ち続けないといけないから台を徹底的に研究するし、期待値がプラスの台を確保したらひたすら回して「積み上げる」。その一方で、長く稼ぎ続けるためにはただ勝つだけでもいけない。詳細は論文に書かれてますが、勝ち意識を突き詰めていった先にある理想が「勝ちを抑えること」だったところに痺れました。


こういうギャンブラーの生き様ってのはいいですね。Aさんほどでないにしても、僕もいつかギャンブルで生活できるくらい稼いでみたいものです。


と思っていたら先日こんなニュースを見かけました。宝くじのキャリーオーバーが膨れ上がってジャックポットが1.23ビリオンまで到達したらしい。これだ!

幸い、以前に宝くじを買ってみた経験があるのでアメリカのクジの買い方は知っています。どこで入手出来るのかもリサーチ済み。あとは当てるだけだ!


ウオー!!




沢山買ったけど全部外れてました。まあ…簡単には当たりませんね。そもそも宝くじの還元率は6割あればいいところみたいなので、確率で言えば買えば買うほど損することになります。Aさんの理論でいうところの期待値をマイナスに積み上げていた訳だ。台(クジ)に座った時点で負けだったんですね。


Not a winner this time.


払い戻し機にまで同じようなことを言われてました。
は?勝ったら終わっちゃうんだが???


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