学び、考え、実践し、学ぶ。療育の楽しさ・難しさ。

最近、発達障がいや療育に関する研修がとても増えている。

発達支援事業所 ひらそるの芽でも先日3名の職員に応用行動分析(ABA)の研修に参加してもらった。

感想としては非常に難しく、途中何の話をしているんだろう。となってしまったとの事。

それとは別に親御さんの一部にペアレントトレーニングを勧めたりもした。

どちらも個人的に信頼できる研修であったため、勧めている。

それでは知識があれば良い療育者になれるのかというと決してそうではない。

知識を基に実践をし、その結果を考察してさらに療育を実践していく。この繰り返しが療育者が良い療育者になる過程だと考える。

そして、知識も色々な視点から研修を受け、色んな言葉、知識を学ぶことでやっと身になる。

素晴らしい研修を一度受けただけでは、十分に理解する事は困難である。

自分自身も初めて療育分野の専門的な研修を受けたときは、頭の中が???となったのを覚えている。

同時に良い療育をするためには良いアセスメントをする必要がある。

Aという子どもがいた時に、その子を評価するアセスメントの視点はたくさんある。

知的能力(IQ)はどの程度か、IQでも言語性のものと動作性のものに乖離はあるのか、コミュニケーション能力は?、身体能力は?、ADL能力は?、注意力は?、記憶力は?、協調運動能力は?、感覚は?、家庭環境は?、幼稚園・保育園では???

このように多くの視点から子どもを観察、評価する必要がある。

そして、研修とは1つの研修でこの全てを網羅するものではない。

まずは一般的な研修を最初に受ける事を勧めるが、そこからは一つ一つを深めていく必要がある。

研修によっては「これをすれば大丈夫!!」のようなキャッチコピーのものがあったりする。

自閉スペクトラム症では「スケジュール」と「絵カード」をすればいい!というような感じである。

自閉スペクトラム症は視覚優位で絵カードやスケジュールは効果がある事が研究によって証明されている。

しかし、先ほども言ったようにその子を構成しているものはそれだけではない。

聴覚過敏のある子であれば、そこを解決しないとパニックは収まらないかもしれない。

愛着形成が不十分な子であれば、その子に分かりやすい愛着形成方法を親に指導する必要があるかもしれない。

LowIQであれば、そもそも教えている内容は現状では厳しく、スモールステップで目標を再設定する事によって自信をつける事ができるかもしれない。

このようにより専門的に、より高いレベルでの療育を目指すためには、幅広い選択肢、幅広い視点、深い理解を目指していく必要がある。

療育という分野において、日本はまだまだ遅れている。

専門家となるためには文献を読む必要があると書いたことがあるが、文献を読んでいると自分が調べたい内容の文献が非常に少ない事に気付く。

しかも症例報告が主であるため、この場合はこうだったよという報告がほとんどなのである。

それでもそのような文献をたくさん読み、知識としての幅を拡げる事は必須である。

では、どのような研修が良い研修なのだろうか。

まずは自分がどのレベルにいるのか、どのような立場として行動していくのかというのを知ることが大切となる。

私は自分の専門性を見るときに「臨床家6期発達モデル」というのを参考にしている。

ここでは長くなるので深く述べないが、気になる方はgoogleなどで調べてほしい。

ただ、ここで言われている事の一つに、単純な答えを求めないという事がある。

療育をやりだした頃というのはどうしても一つの答えに囚われてしまう事がよくある。

それは知識が十分でない事、経験が十分でない事、自信があまりない事などが理由の一部である。

また、同様に立場というのも学ぶ場面においてとても重要だ。

発達支援事業所 ひらそるの芽では保護者の方は、まず最初にペアレントトレーニングを勧める事が多い。

専門的な内容は一先ずプロに任せ、親としてどう関わるかを学んでもらうという事だ。

そもそも家で専門的な事などなかなかできない。

それでも、最終的にはそのような内容を学び、実践していく必要があるため、発達障がいの子を育てる親とは大変である。。。

親以外でも様々な立場の方が子どもに関わることが、子どもの発達に良いとされている。

保護者・療育者はもちろん、地域の方、先生、親戚、友人。多くの立場の方が関わる必要がある。

しかし、そのような方々すべてが専門的な学習を受けるのは無理な話である。

そのような方々は簡単な研修、分かりやすい本などを勧める事が多い。

一方で専門家と言われる方々には、数多くの研修に行っていただき、色々な文献や書籍を読み、柔軟に知識や手法を使いこなせる事を目指していってほしいと感じる。

同様に自分も上記のような専門家になることを目指している。

自分が行った療育で少しずつ変わっていく子供たちを見るたびに、「心から嬉しい」気持ちと、「もう少しこうするべきだったのでは」という気持ちと、「これを学べばもっと伸びるのでは」という気持ちが湧いてくる。

学べば学ぶほど終わりはないのだという事、いつまでも学び続ける必要があるのだという事を感じ、その難しさと楽しさが次の学びの原動力となり、自分を動かしている。

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