レコード棚を総浚い #80:『Derek And The Dominos / LAYLA and other assorted love songs(いとしのレイラ)』
ザ・バンドに傾倒したエリック・クラプトンが、歌を主体とする音楽に立ち戻ろうと、デラニー&ボニーのボビー・ウィットロック、カール・レイドル、ジム・ゴードンを誘い、結成したバンドがデレク・アンド・ザ・ドミノス。
唯一のスタジオ盤がこの『いとしのレイラ』である。
名曲『レイラ』のスローパートにおける盗作疑惑の主犯格こそが、そのジム・ゴードン(2023年没)だが、その顛末はすでに書いた。
アルバム『いとしのレイラ』におけるザ・バンドの影響は、複数の声によって織り上げられる楽曲構成の妙にあると思う。
そのボーカルの見事さや、ソング・ライティングの巧みさにおいて、ボビー・ウィットロックの貢献は大きく、それを思うと彼の知名度の低さは不当なものと言わざるを得ない。
彼の書いた『エニイデイ』『テル・ザ・トゥルース』こそは、80年代のクラプトンが到達した新しい形のブルースロックの基礎を成すものではないだろうか。
唸りまくるデュアン・オールマンのスライドギターも、このアルバムを特別なものにしている。
デュアンの所属したオールマン・ブラザーズ・バンドのドラマー、ブッチ・トラックスの甥は、このバンドにちなんでデレク・トラックスと名付けられ、長じて見事なスライドギター弾きとなった。
2006-2007のエリック・クラプトンのワールド・ツアーでは、デレク・トラックスを帯同し、ドミノスの名曲を名演で再現した。僕も2007年の札幌公演でその演奏を聴くことができた。
そのデレク・トラックス率いるテデスキ・トラックス・バンドは、2021年に『いとしのレイラ』全曲再現ライブを敢行した。ファンでなくとも必聴の音源と思う。
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