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レコード棚を総浚い #40:『BOSTON / Third Stage』

前作『DON'T LOOK BACK』から8年を経ての1986年作、『サード・ステージ』
トム・ショルツの完璧主義からか遅れに遅れる制作活動に、業を煮やしたエピックレコードとの法廷闘争の末、MCAレコードに移籍してのリリースとなった。

リードトラックの『アマンダ』は間違いなくこのバンドの代表曲。
あまりに完成されたスタイルゆえに、前作との大きな変化はないように聴こえるが、トム・ショルツ自作のロックマン・アンプが投入されていて、この画期的なギター用ポータブル・ヘッドフォン・アンプはその後市場に投入され、こちらもヒット作となる。

機材まで自作してるわけだから、当然レコーディングにも膨大な時間がかかるだろう。商売でやってるレコード会社とは訴訟になってもおかしくはないかもと、つい思ってしまう。

しかし、どこまでも「自分で作るのが楽しい」という動機が、ボストンというプロジェクトの真髄なのであって、それなしでは、こんな凝りに凝った楽曲は作れない。これほどまでに「商売でない」バンドが、産業ロックの一角に数えられるのは少々皮肉な気がする。


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