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冬の和歌・年の暮れ

へだてゆく世々の面影かきくらし雪とふりぬる年の暮れかな(藤原俊成女)

新古今和歌集冬の巻最後には年の暮れの和歌がたくさん並んでいて、みんな年とったなあとか時の流れは早いなあとかぼやいていて、人間の心は変わらぬものだななんて思います。
現代人が特別生き急いでるわけでもないのよ。

その中でも、お気に入りの歌です。

寄り添っていたはずの面影が、絶対忘れないと誓ったはずの面影が、時が経つにつれて自分から遠くなっていく(へだてゆく世々の面影)。
時が経ち我が身は年老いて悲しみがしんしんと降り積もっていくように雪が降るのを涙に暮れて眺めている、年の暮れ(雪とふりぬる年の暮れかな)。

忘れたくない思い出も時とともにどんどん遠ざかってゆく。人はそれに抗えない。静かな悲しみの歌。
言葉遣いが非常に巧みです。
へだてゆく、世々の面影、「雪のふりぬる」ではなく「雪とふりぬる」。
丸谷才一が、この「世々」は「よよと泣く」ではないかと言っていますね。そう思います。

来年も和歌を勉強していきたいと思います。
良いお年を。

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