ジョルジュ・セレクション2019~いやこれ10本に絞るのなんて無理でしょ~

あけましておめでとうございま〜〜〜〜す!!!!!!

もう…12日ってマジ………?ぼくは…正月中にいろいろ見ときたい作品があったんですけど……数年に一度の大風邪を引いてしまって…何も出来ず正月の終焉を迎えてしまった……………

去年は良い映画がたくさんで選ぶのに風邪関係なくめちゃくちゃに時間をかけてしまった。2019年公開作10選。公開順なので順位とかは無い。一応「オススメで〜す!」の文章たちなので面白そうだったら見てくれるとうれしいな。

これは去年のヤツ


「ミスター・ガラス」

同一世界線の映画が存在する「ユニバース作品」、通称『シャマラン・ユニバース』の完結編。シリーズ全体の出来は勿論 作品毎の完成度も高いのでぜひ見て欲しい!3作しかないから!!
ユニバースという形式を取っていて一番有名で成功している映画シリーズといえばみんな大好きMCUなわけですが、あれが精密な計画の上で作品ごとを繋いでいるのに対して、シャマラン・ユニバースは作品に共通するテーマ性で作品同士が繋がっている。ユニバースという作品構造の上でこんなに健全なことあります?いや……作家性強めの監督、全員これやれ!!!!(デイミアン・チャゼル・ユニバース!?!??!?)
シャマランユニバースが持つ共通項は「傷ついた者の物語」という点。『アンブレイカブル』『スプリット』で描いた別の物語を自然な形で集結させ、また新たな明示をした上で物語を優しい形で閉じる。M・ナイト・シャマランの作品にある「厳しい世界の意外なほど優しい帰結」、死ぬほどツボすぎて今年でファンになっちゃった、、、

「コミックは歴史を伝える最後の手段だ。」
「古代の壁画と同じ、世界の国々では今も"絵"で知識を伝達する。」
「コミックも どこかで誰かが体験した"歴史"なのだ。」
―映画「アンブレイカブル」より

とりあえず『アンブレイカブル』から…よろしくな!!


「ファースト・マン」

私は、デイミアン・チャゼルのファンです。(スタンス表明)
デイミアン・チャゼル作品の魅力は病的なほどに狭い視点と世俗からは大きく外れた価値観だ。『セッション』、『ラ・ラ・ランド』と見進めてきて「よ~し!アンタのこと、わかってきたぜ…!」と思ってたのに、こんなにダメージを食らうとは…………
音楽や演技などわかりやすい自己表現に限らず「月面着陸」という特殊な状況での作劇であろうとも彼の作家性は一切ブレないの、もはやこれは作家性というより強迫観念とすら言えるのでは…?「成功には失意が伴う」という…………
ついに念願叶った月面でのシーン、「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、~」の文言はあるのにアメリカ国旗を刺すシーンが無いことがこの映画の本題を全て表しているように思う。
残された男の物語に『ファースト・マン』ってタイトル付けるの、ダメでしょ。


「ブラック・クランズマン」

黒人警官とユダヤ人警官が協力して邪悪な白人集団KKKに潜入だ!!!というマジな実話。
KKKの首領が電話口の主人公に対して「黒人かどうかは発音でわかる。君は純粋な白人だ!」と言ってしまうくだりがあるのだが、『バカな白人』を笑い飛ばすシーンであると同時に、たかだか発音で たかだか生まれで たかだか肌の色で人を人と思わない人間が存在していた…いや、しているという恐ろしい現実が浮き彫りになるセリフでもある。
「コメディ」とは人が持つ不安を笑いに変えより身近なものとして捉えさせるものであると思う。どうって事ないシーンに付随する信じられない事実をどう捉えるのか。
引用される『国民の創生』と『風と共に去りぬ』から分かるようにこの作品の原動力の一つには映画文化全体への憎悪があり、でもこのお話が真実なのかという確証は何一つなくて、それでも現実に…という感じに作品そのものの話から現実へと拡張していく誠実で健全で挑戦的なこのテーマに打ち震え、完全にやられてしまった。こんなの見ちゃったら映像の力とかいう幻想により一層執着してしまうよ。。。


「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」

ちょっと冷静に聞いてほしいんですけど、2019年ってMARVEL原作の映画が4本もあって、そのうち2本がスパイダーマンの映画らしいんですよ…………どうなってんだ…………………
まぁなんだかんだリアルタイムで最も長く見ている映画シリーズだということもあって、僕はMCUが大好きである。エンドゲームも6回ぐらい行った。ソーが推しになりました。
偉大で、大きすぎる戦いの直後の夏休み映画。旅行映画。そのはずだったのに…………
大人としての自覚。ヒーローとしての自覚。自覚自覚自覚!自覚継承自覚!!!!!心が、心が痛いよ、ピーター、、、
それでも彼は立ち上がるのだ。ヒーローとして。自分らしく。少し欲張りに。派手好きな彼のように。
過去を清算し乗り越えることこそが受け継ぐことであると思う。いつかのトニー・スタークがそうしたように、戦場で即席の武器を ハンマーと盾を作り飛び回るピーター・パーカーを見て、僕は……………………(嗚咽)
これからも続いていく作品たちのために、浮かび上がってしまった問題点に対する自己批判とファンへ向けた警鐘をした上で、巨大化したシリーズ自体をもう一度フラットにしてくれたのもまた偉すぎて…気持ち悪いぐらいだなマジで………
そして何より、愛おしい隣人の成長をこれからも見ていられることが、嬉しい。


「ロケットマン」

ロックスター エルトン・ジョンの伝記映画であり、最高の映画。いや間違いなく。
直近の音楽家の伝記劇映画というと『ボヘミアン・ラプソディ』が頭に浮かぶが、あれと比較するとかなりミュージカルに振り切っているのでびっくりするかも。
ミュージカル的 MV的 つまり感覚的に気持ちいい「嘘みたいな映像」がハイテンポで続いていくのだが、この派手さは『肉体的な快楽に囚われた男の悲劇』を描くことに使われていて、作品内のエモーションが高まるシーンはむしろ繊細な会話劇でもって組み立てられている。この少し歪ともとれるバランスが"自己の肯定"という普遍的なテーマを「揺るがない真実」だと受け取らせる強度を手にしている。凄くないですかこれ…………
嘘によって真実を伝えるものこそが作劇 映画の本質であると思っている。自殺未遂を行うショッキングなシーンからそのままトリップ体験のようなミュージカルとライブシーンに移行する流れは本当にエルトン・ジョンが見た景色なのかもしれないと思うと、本当に、、、
エルトン・ジョンが足からジェット噴射して飛んで行くのを見れるのは映画ロケットマンだけ!!!!


「海獣の子供」

「人生を変えられてしまった映画」と言われて真っ先に思い浮かぶのは、まぁ気分によるけど多分『2001年宇宙の旅』だろう。何でそんな話になるかと言うと、海獣の子供は映画体験として『2001年~』と近いものであると感じたからだ。
惑星全体 宇宙全体を巻き込んだ人間にはどうにもできない 「祭り」。カット一つ一つにおそらく明確な意味があり、それでいてその意味を理解していなくとも「よ…よくわからんがすごいことが起きてる………」で体験としてある種正解と言える映像、かなり『2001年~』じゃないですか?
描かれた「祭り」が何を生み出したのか明示されることはないしわからないけれど、壮大な神話の一端に触れたひとりの女の子が、少しだけ前を向くことができた。そんな作品の在り方が自分の理想に触れる部分であり、きっと大事な映画になってくれるんだろうなと感じた。

主題歌も良すぎる…………


「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」

クエンティン・タランティーノ監督第9作目!「ワンス・アポン・ア・タイム・ハリウッド」!!!!!!
いやもう、もはや何も言うことないぐらいのモンなんですが………
「記憶」の映画であると思う。1969年のハリウッドを舞台にした タイトルの通りおとぎ話であり、あの頃の街並み あの頃流れていた音楽 あの頃あの街にいた人々を思い出すための映画だ。当人にその頃の記憶があるかどうかは関係なく、「こうだったんだろうな」と思うための映画だ。舞台になった1969年2月9日から丁度30年後に生まれている僕が楽しんでるわけだからもう…な!
主人公は落ちぶれたかつてのスター俳優。現状に納得のできていない男が再起を願うだけでも十分すぎるほどにドラマがあるのに、そこに「思い出す」「蘇らせる」という文脈と絡み合い他にはない旨味が味わえる。
僕らの記憶の中にいる彼らにとって、それから いつか忘れ去られてしまうかもしれない彼らにとって、覚え続けることが最大のリスペクトであり救いである。ということをクエンティン・タランティーノに言われちゃったら…映画を見ることに勇気すら貰えてしまうわけです。

https://www.banger.jp/movie/15675/
初めて見る人は「シャロン・テート事件」について軽く調べておくと読み取りが楽になるかもしれない。


「ジョーカー」

いやこれも言うことないが………………?
言うとするならやっぱりラストシーン。一気に観客を突き放す「一言」とThe Endの文字だけでもう絶頂でしょ………

「人生はクローズアップで見れば悲劇だが、ロングショットで見れば喜劇だ。」
―チャップリン

散々感情移入させて、深く傷ついた我々に、『夢の上で小躍りする連中』を裁く者としてのジョーカーに心酔しかかってる観客にかける言葉が「理解できないさ。」………それって…もう……ダメじゃん………
疑惑なんかもう知らん!こちとらアーサーの人生にやられちゃってんだよ!!!(『それ』を考えるのもめちゃくちゃ楽しいよね…)
倫理観を揺さぶられ、今この瞬間に世界へと拡張していくような映画。そうでなくとも作品の裏に隠された「謎」を考え続けるだけで楽しい…と言った感じにエンタメ性も十分………恐ろしい………………
「この作品テーマで客を呼ぶにはアメコミ作品が最適だった」という潔い作り、何なら大正解なのでもっとこういうことやるべきなのでは………?ジョジョの奇妙な冒険第4部を原案にした映画「吉良吉影』、待ってます!!!!!!!


「蜜蜂と遠雷」

「音楽映画」。音楽映画だ。最低限説明はあるが、映像と音楽によって観客に委ねるかのような構成。作品として当然ではあるけどこれだけの理想を見せられると当然大好きになっちゃうよね……
カデンツァ(自由演奏)によって出自の違う4人が抱えた嫉妬と慕情と恐怖と希望と生命が音として駆け回る、こういう映画が見たくて映画館行ってんだよな!!!!!
優劣をつける場であるにも関わらず、その価値観を覆してしまうような強烈な「結果」を見たい人……オススメです。『セッション』が好きだった人も、嫌いだった人も等しくオススメです。全人類、オススメです!!!!!!!!!!!


「ドクタースリープ」

「あなたも魔法が?」「…僕は"シャイニング"と呼んでる。」

超能力の描き方として完璧。こんなにワクワクするセリフある?当人だけの呼び方なので他では「闇」と呼ばれてるかもしれないし、「念力」かもしれないし、はたまた「フォース」、「スタンド」、「祝福」、「呪い」………
特に中盤から始まる「異能バトル描写」!わけわからんくてワクワクする〜〜〜!!!!!いやこれ、ほんとにシャイニングの続編か………?いや、そこも意外とちゃんとしてるのが偉いところ。
「シャイニング」という多くの人間に傷を残していった作品の続編として、「ダニー」自身が傷ついた理由でもある能力を通じ「トラウマ」と向き合う作品構成になっているのだ。自らの傷でもって立ち上がり、戦え。
「シャイニング能力」という言い換えるならばに"創造性"に対して、比喩ではなく「君は輝いてる」と伝えられるこの優しい映画を見て、2019年はいい映画ばかりだったなぁと振り返ったわけです。

夜明け?あぁ……………………………………






俺の前でスターウォーズの話を、するな。(マンダロリアンの話はしてもいい)

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