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蛇の酒 <上>


「課長、今日忘れてないっすよね」
そうだった。部下の織田がめずらしく神妙な顔でちょっと時間を取って欲しいというのでOKしてしていたのだ。途中入社の織田は自分より2歳下だが業界経験も長く即戦力だった。IT部門とはいえ不動産会社の中では人間関係こそが出世の武器になる。
「あー、大丈夫だよ。下北沢だっけ。宜しく」
昼になったら少し金を下ろしておいたほうがいいかな。そんな感じの朝だった。

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890字
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アバラ通信

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