サヨナラ未来 ep5
<まりちゃん先輩>
「ちわーっす」
久しぶりに事務所に顔を出す。自分の入れそうな日を探すためだ。稼働が激しいときは朝に事務所に集合。そのまま決まっている現場に移動という流れなのだけれど、それほどでもないときは事前に事務所で予約ができる。
営業の社員さんが帰ってくる4時過ぎだと比較的都合の良い現場が予約しやすい。事務を担当しているのはマリ先輩だった。
「あ、久しぶりー。体はどう?もう大丈夫なの?」
「はい。もうだいぶ良くなりました。ありがとうございます」
なんだこれ。トモヤのせいで意識しまくりだ。
予定ノートを見せてもらいながらなるべくマリ先輩を見ないように予定をチェックする。ノートは意外と埋まっておらず、これなら自分がフルではいらなくても全然回せそうだ。
ーーこの日と、この日と、この日。
正直競馬のおかげでバイトはしなくてもしばらくは余裕だ。ただ急に大きな身入りがあったような振る舞いをするのは避けたい。
シャンプーの匂いがふんわりと香ってくる。