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銀座花伝MAGAZINE Vol.12

#老舗応援購入に感謝 ! 聖夜 豊穣な時間の楽しみ方


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BOXを開けると、温かい時間がそこにありました、そんな感謝のメッセージに感激しています。再び緊張感高まる世情の中、厳しい経営状態に陥っている老舗を応援しよう!の呼びかけに、「銀座BOX」の応援購入をしてくださった皆様に心からの感謝を申し上げます。誠にありがとうございます。お陰様で、告知後すぐに完売となり、ご好評の中、12月の販売もスタートさせることができました。みなさまから頂いた熱いメッセージには、コロナ禍の中で新しい生活にひたむきに向かう知恵や、そこに新たな瑞々しい感性を見出そうとするパワーを感じます。
「銀座BOX」の取り組みは、銀座老舗の文化を守る活動であるとともに、日本文化の発見、愛しみでもあります。どうぞ、「銀座BOX」の思いをまだ出会っていないどなたかにお伝えいただけましたら幸いです。聖夜を迎える12月に、一人でも多くの方が幸せになりますようにと願うばかりです。「銀座花伝」では、時間のふるいをくぐり抜け「日々の暮らしを豊かにする美意識」にあふれる街・銀座を舞台に、あなたの幸福感を満たす新たな「美のかけら」を発見していきます。


◆銀座BOXの楽しみ方 ーお客様からの声ー

次々と寄せられる「銀座BOX」への感謝の言葉。感謝すべきメンバー側が、お客様から抱え切れないほどの元気を頂戴しています。その中から、「こんなふうに楽しんでいます」のアイディアを中心に、「銀座BOX」にまつわる美しい物語をお届けします。


萬年堂の羊羹を横に切って

銀座BOX受け取りました!バラエティに富んだ内容で早速楽しませてもらっています!パッケージも含めて一つ一つが選りすぐりなので目には楽しく舌には美味しい!                                                                                                       羊羹は1㎝ほどのところを横に切ってみました!
素焼きのお稲荷さんを前に置き、キューブ状に並んだ5色の味を変わるがわる味わいながら、黄金色の煎茶を飲むというのもなかなか乙なものです。       そして、センスがよいなと思うのが音楽がセットになっていることですね。
味覚、視覚に加えて聴覚も楽しめ、まさに家にいながらカフェの雰囲気を味わっています♬                                                                                                       松崎煎餅さんの「揚丸」はお茶にも合いますが、ウイスキーにも合うとのことなので明日にでもウイスキーを買ってこようと思います。                          まだ数日はおうちカフェを楽しめそうです!  ありがとうございました。(G.K様 男性)

羊羹横切り

《メンバーより✍️》
素晴らしい食べ方のご提案!早速、羊羹を横切りにしてみました。キュウビック状が可愛くて、一口サイズに味わいが直撃します。こんな食べ方があったのか、と驚きです。ありがとうございます!


久しぶりにゆったり時間を味わいました!

楽しみにしていた「銀座BOX」が届きました!
今日は子供たちが学校なので、BGMを聴きながら、お茶とお煎餅をいただき寛いでおります。
こんなにゆったりとした気持ちで過ごすのは久しぶりです。
珈琲や萬年堂さんの羊羹は明日の楽しみにしたいと思います。
月光荘さんの色感セットは絵を描くことが好きな娘と一緒に使わせていただきます。御礼と感動をお伝えしたく、メールさせていただきました。
素敵な銀座BOXをありがとうございました!  (H .K 様 女性)

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《メンバーより✍️》
目に浮かぶようなゆったりとしたくつろぎ時間。今、私たちに必要なのはこうした和やかなひとときなのかもしれませんね。お子さんと一緒に絵を描く時間、どんな色が生まれるのかとても楽しみです❤️ありがとうございます!


箱詰めやご招待状におもてなしのセンスがいっぱい

本日、楽しみにしていた【銀座BOX】が届きました。
いずれの御品も、老舗の心意気と銀座美が伝わるものばかり。休みの日には、おうちでBGMを流しながら銀座時間を満喫したいと思います。
箱詰めやご招待状のセンスにも、このプロジェクトを成功に導こうと尽力されたチームの皆様の細やかなお心遣いと、おもてなしのセンスを感じました。
多くの人々の気持ちを代弁して下さる活動に、声援と感謝をお届けします。
(Y.M 様 女性)

招待状

《メンバーからの✍️》
「気持ちを代弁してくださる」という言葉に胸が熱くなります。私共こそ、応援してくださる心意気に元気をいただいています。ありがとうございます!


開けたら温かい気持ちになれる

本日「銀座BOX」が届きました。一つだけ(自分用)そっと開けてみましたが
素晴らしい第一印象!!これは当日お話をお聞きしながら開封すべきとまた急いで封をいたしました、笑!                    本当にいつもながらメンバーの皆さん、銀座老舗の皆様のおもてなし心に感銘を受け、今回の勉強会を企画しました。まさにふさわしい教材です。
今回の本当の主旨はやはり、銀座老舗が培ってきたお客様を想う「おもてなし心」を社員に感じてもらいたいとの狙いです。BOXを開けてすぐに感じましたのは、もらう方が心の支援をしていただいたような温かい気持ちになれる、そんな相手を思いやる思考がこれからの厳しい時代だからこそ、ビジネスに必要だと感じております。
(E.N 様 女性)


マガジンイラスト

《お散歩マイスター岩田より✍️》
銀座BOXを学びの教材にして下さり、ありがとうございます!先が見えない世情の中で、今何ができるのか、何を学ぶのか、考えさせられることが多いです。銀座に本店を構えられる貴社「美の殿堂」の活動に、心からの信頼と感謝を捧げます。


煎餅好きの父が感激

コロナで田舎に帰れないので、遠く離れて暮らす父に銀座BOXを贈りました。もともとお煎餅好きな父、90歳になっても丈夫な歯を持つ父が「これはうまいねえ」と感激してくれました。
手のひらの大きさもある松崎煎餅の「揚げ丸」。食べ易い大きさに割って、口の中でゆっくり味わうと、最初は醤油の風味、それから甘さ、深いボリューム、辛さ、芳しいお焦げ感などが混ざり合っていつまでも楽しめると云います。
父は仕事が現役のときは、よく銀座に遊びに連れて行ってくれました。
楽しい父との思い出、銀座BOXは記憶の扉を開けてくれるかのようです。
(O.R様 女性)

11M揚げ丸

《メンバーからの✍️》
心がほっこりするお話をありがとうございます!歯が丈夫な方は、お体もきっとお元気なのでしょうね。お父様に喜んでいただけて、嬉しいです。



おうちに馴染みのお店がやってきた感じ

先ほど銀座BOX届きました。                                                                            今、羊羹とお茶で美味しくいただきました。
おせんべいは、大好きで切らしたことはないのです。
あとでゆっくりいただきます。
銀座に出たときに時々松崎煎餅には行きます。
うおがし銘茶もファンで、よく買います。
私はあの独特の味が好きです。多少熱めのお湯でも大丈夫で、渋めの静岡茶ですよね。
お高い「月光荘の絵具」。
コーヒーやキツネのマスコット。
銀座ならではのBOXですね。
ゆっくり楽しませていただきます。(M.K様 女性)


銀座看板

《メンバーからの✍️》
銀座通(つう)の方からの感想に、ドキドキします。心からお勧めしたい銀座の秘めたる逸品をお届けできていることに自信を持つことができました。お墨付きをいただけてホッ(笑)。ありがとうございます!


急須がなくても、味くらべが楽しい

どの老舗の品もカラフルな出で立ちで、こころがわっと温かくなりました。
日本茶の味比べは初めてだったので、どんな風にやろうかと思案しながら、
いろいろ試してみる時間がたのしいですね。私は急須の代りに茶こしをマグカップに載せて味わっています。可愛いパッケージから何が出てくるのか、どんな風味があるのか楽しくて、何度も何度も・・。こんなにお茶を一度に頂いたことがない位くらい夢中になりました(笑)                                         銀座時間招待状を読みながら、このお茶は羊羹に合うのか、これは煎餅か・・とじっくりおうち時間楽しめています。(K.M様 女性)

イエローマグ

《メンバーより✍️》
日本茶の飲み比べ、意外にしたことありませんでした。可愛いテトラポット入りの5種類のお茶は、そんな楽しい試みにぴったりですね!


「日本文化」に思いを馳せる銀座時間

煎餅、羊羹、日本茶、どれも国産にこだわった自然の恵みでできていることに、あらためて気づきました。日本文化は日本の自然がもたらした産物だと、当たり前だと思っていたことがこんなに大切なことだったとは。こうしてひとつのBOXになると、忘れかけていたことに驚きます。
絵具に国産があるって、初めて知りました。銀座の街自体が「銀座BOX」なんですね。今日は、カードに色をつけ乍ら、羊羹とお稲荷さんの珈琲を楽しんでみます。(I.Y様 男性)

《メンバーより✍️》
私たちが一番お伝えしたかったこと。老舗応援「銀座BOX」は、老舗が長年育んできた「日本文化」の豊かさをお伝えすることだと思っています。心に響く言葉を頂戴できて、何よりの宝を手にした気持ちです。


富士山



◆「銀座BOX」おうちで銀座時間(カフェ編) お申し込み

      12/21発送分 受付中です!

         12月分完売!ありがとうございます!

      大切な人に聖夜の銀座カフェタイムはいかがでしょう?

銀座BOX表紙

◉老舗応援「銀座BOX 」カフェ編 概要  

*クリスマス前に到着します!

価格:5,500円/1BOX (消費税込)+送料別            
内容:「おうちで銀座カフェ時間」を楽しんでいただくための銀座老舗BOXです。松崎煎餅「揚げ丸」煎餅、萬年堂「虹の中」オリジナル羊羹、茶銀座「茶ちゃCHA」五種日本茶 、月光荘「色感セット(絵の具、水筆、葉書)」、五十音「稲荷縁の珈琲」、月のはなれ「BGM」オリジナルQRコード付き


◉お申込み方法

下記を記載の上、メールにて銀座花伝プロジェクト宛お申し込みください。
◉申し込み先 tokyo.ginza.tra3@gmail.com 銀座花伝「銀座BOX」係

お申し込数                              お名前                                送付先ご住所                             ご連絡先電話番号

*プレゼントなど複数を別住所に送付希望のお客様は、メールにてその旨を明記の上ご相談ください。

*限定数量ご用意のため、お早目にお申し込みください。

商品の詳細をご覧になりたい方は、こちら↓

「銀座BOX」企画詳細をお知りになりたいお客様はこちら↓

キャンドル



◆能のこころ  新作VR能「攻殻機動隊」 レビュー

東京芸術劇場/2020.11.28
世界初のVR能「攻殻機動隊」の追加公演を観賞する機会に恵まれました。
その観賞レポートをお届けします。

パンフレットには、新しい能世界の誕生に祝辞が寄せられてる。

    攻殻機動隊と能を繫ぐVR、
    あの世とこの世、彼岸と此岸、虚と実を繋ぐ
    能楽の未来系である  
            ————————野村萬斎  


演出/奥秀太郎 
主演/坂口貴信川口昇平谷本健吾観世三郎太(いずれも観世流シテ方能楽師)、大島輝久(喜多流能楽師)、亀井広忠(葛野流大鼓方能楽師)
と、現代の能楽界を牽引する若手能楽師たちが結集した舞台としても注目。


ステージの漆黒の闇に流れる「謡」。通常の能楽堂舞台に地謡8名が座り歌う音量を想像していると、その音量の大きさにまず驚かされる。現代能楽師のなかでも秀逸な名手が集い紡ぎ出される謡は、電子音の様相をまとい現実から未来へ空間を突き破る迫力に満ちている。

地取り「影を求めて潜れども。影を求めて潜れども。わが手には何も残らず」
地謡「世にはびこる電脳犯罪を追う。公安九課の馬頭(バトー)。馬頭は事件の闇の中(うち)に。消えし女の姿を追う。女の名は草薙素子(クサナギモトコ)」

【STORY】
企業のネットが星を被い、電子や光がかけめぐっても国家や民族が消えてなくなるほどには情報化されていない近未来の物語である。首相直属の攻性警察組織・公安9課(通称「攻殻機動隊」)を率い、全身義体と電脳とをたくみに使って、サイバー犯罪の難事件を数々解決してきた草薙素子。彼女はある事件をきっかけに、インターネットの海で生まれた知的人工生命体である
「人形使い」と融合を果たし、忽然と9課から姿を消した。
彼女と旧知の仲であるバトーは、残された9課隊員らと命がけの公安活動を続けながら、素子の面影を広大なインターネット空間に探し求める。
一方で「人形使い」と融合した素子は、ことあるごとに自らの変種を同位体としてネットに放出しながら、電脳戦に身を投じて認知限界を拡大しつつあった。失踪から4年後。ある壮絶な電脳戦の果てに、素子は自らの同位体と巡り会うことになる。

素子とバトー

                  画像:オフィシャルプレビューより

坂口貴信能楽師特集 #宇宙と交信する能 【VR能「攻殻機動隊」に挑む】


未来に近づいた面(オモテ)

舞台の奥に現れる草薙素子(クサナギモトコ)は、日本女性の象徴、黒髪ロング、前髪パッツリ。本来の能では古来の能面(マスク)を装束の格と併せて着装し登場するが、今回はオリジナルの素子マスクが制作されたという。いわゆるSF/フィギア・キャラクターそのままの近未来顔である。馬頭(バトー)は、素子に比べるといわゆる能の古典「船弁慶」などで付けられる「怪士」(あやかし)のような勇ましさにあふれた顔に近い。

演出家の奥さんは「本来能面は人間を表すために制作されていると伺っている。この「攻殻」は人形である点が決定的に違う。主人公はイメージとして汎用性がポイントだと思ったので、オリジナル面を制作し、鬘 (かずら)もなく、素子顔にあう装束も製作した。」と古来の能楽との折衷案を具体化するまでの苦労を解説の中で述べている。

私の目には、バトーはかなり能面に近く、素子はまさに日本のSFキャラクターそのものに映った。客席の若い人々にそれは極自然に受け取られていたし、この点ではSFマンガファンが自然な形で能表現に近づいた、という感触を得た。

素子3体

                 画像:オフィシャル・プレビューより

驚きのメガネ無しVR技術

暗闇舞台には、天井天上からフィルムやミラースクリーン的なものが何枚かおろされていて、主人公・素子が移動したり、姿を消したり、複数人になったりしながら物語を紡ぐ。まさに仮想空間で能の仕舞を表現し乍ら「攻殻機動隊」の世界観を創って行く。一瞬も目が離せないその異空間に鳥肌が立つ。
この世界初のVR能の技術は、東京大学・先端科学技術研究センター教授の稲見昌彦氏が手がけたものだ。もともと「攻殻機動隊」ファンだと言う氏が語る仕掛けについての説明が興味深い。

「《攻殻機動隊》という物語自体、もともと能やVRと親和性があると思っていました。そもそも、能を観るって能楽師の細やかな動きと、頭の中から呼び覚まされる物語の景色とを重ねて、イメージを紡いで行く体験。能の玄人が頭の中でイメージできる世界を、そうでない方にもイメージとしてみせる。3D能を経て、素人でも玄人の様なイメージの仕方を可能にするチャレンジが今回のVR能。今回あまり観客がテクノロジー的な意識を持たないようにするために、メガネ無しで、観客のどの位置からでも鑑賞できるようにすることが大事だと考えた故に、「ゴーストグラム」の手法をとりました。


ゴーストグラム:目の前に広がる物理的な現実世界にフィクションを重ねるだけではなく、観客にフィクションそちら側に切り換わっていただく、もしくは共存させてしまうことを自由自在に行なうことが可能になる技術。

この「ゴーストグラム」により、そこにいた筈の能楽師が「光学迷彩」で消えたり、もしくは、エフェクト(映像や音声を加工して効果を出すこと)でぱっと現れたりすることが可能になるわけです。
伝統的な能の鑑賞において物語を補完するために使われていたイメージを、「舞台の外側」へ馳せさせることが可能かもしれない。ただそれが、「技術が凄かった」だけだとしたらそれは失敗で、むしろ技術を意識させずに、根源的な問いを投げかける「攻殻機動隊」の世界観を、能を通じて味わう助けになればという願いのもとに「技術の透明化」をめざしました」


700年の古典芸能・能と最新技術の融和性

アフタートークで、今をときめくデザイナー山崎晴太郎氏が登壇して、斬新な質問を演者や奥監督にぶつけて下さったお陰でいろいろな謎を解くことができました。

山崎晴太郎(以下山崎):本当に今日の舞台は面白くて、一体頭の中で何が起こっているんだ、と衝撃を受けました。素子が消える、4人になる、あれは実際には何人で演じているんですか?

坂口貴信(以下坂口):2人で演じています。舞台前に主人公が出て来たり、横に増えたり、重なりまた離れたり。私自身は、舞台の半分から前には出ていないのです。

山崎:色々驚くことばかりです。「自分の目で見えている、実際に物理的に存在している世界なのか?幻影なのか?」今日の客席の皆さんが共通に懐かれたんじゃないでしょうか。能って僕は2回くらいしかきちっと観たことがないのですが、今日の舞台を観て、本物を観たくなりました。


坂口:それは嬉しいことです。私たちにとって、マンガやSFを愛好する皆さん、若い皆さんに能楽堂へ足を運んでもらえるきっかけになれば、それ以上の喜びはありません。


山崎:(観世三郎太さんに)21歳で能楽師、そういう方にとってこの「攻殻機動隊」で演じるとは、どんな感じですか?

観世三郎太:8月に《攻殻機動隊》を拝見して、どうしても自分にも参加させてほしいと坂口貴信先生にお願いして、今回共演が叶いました。私世代の友人たちはほとんど能は見に行きません(笑)。今日は友人も観賞してくれていますが、この世界的に有名なアニメーションという設定で、多くの若者が足を運ぶことになる、そのことに驚き、未来を観る思いがします。

山崎:伝統芸能とバーチャル、抵抗とかありましたか?

坂口:最初は、古典的な面や鬘 (かずら)がないことに違和感をもちました。
奥監督が粘り強くすりあわせて下さった御陰で、素子の面はオリジナルにも関らず「能の持つ魅力や美がでている」と感じましたし、面装束、髪などもオシャレだなと感じるようになりました。従来の能は「源氏物語」「平家物語」など古典文学がもとですが、現代においてはマンガも立派な文学。世界中のあらゆる年代で広く読まれているという点では、そちらを入口に能の世界に近づいて頂けることに期待が膨らんでいます。

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今回鼓方として参加している、人間国宝・大鼓方亀井忠雄を父にもつ亀井広忠氏が、VR能《攻殻機動隊》の意味について語っている。

「あまり知らなかった《攻殻》について、その物語を細かく知るにつけ、これは能の面白さを世界に訴えかける良い題材だな、と納得しました。中でも、素子さんが他と融合する場面はまさに《井筒》の世界だなと感じています。VR能はそれをよく表現できる手法なのではないかとその面白さを感じました。」

【観賞後に感じたこと】
不思議な体験をした。最初は目の前で起きていることに脳がついていけず、ひとたび瞬きをしたら、大切な瞬間を見逃しそうで目を閉じることができない。観客の皆さんも同様のようで、会場全体のぴーんと張りつめた空気感に改めて驚く。それにしても、謡は美しかった。
意匠を含めて世界観の隔絶した物語においても「能は能でありつづける」凄さを突きつけられた気がした。以前坂口貴信師がインタビューでお話し下さった「本物だから挑戦できるんです」の言葉を思い出した。
90分の電脳能舞台も、後半になるとようやく、何が起きているか分るようになる。脳が学習するのだということを、この短い時の中で実感する。人間というのは実に環境に順応しやすいのだということがよく分かる。
脳がフル回転している間は、心は置き去りだ。「人間が存在する」実感と感性は同期しないのだろうか、そんなことを脳の片隅で考えながら、余裕ができてくると深呼吸できるようになる。そうすると、主人公の面の表情(陰影)やバトーの声が心地よく気持ちの中に入ってくるようになる。

それにしても凄い時代が到来したものである。人間のイメージ化の謎がこれで解けて行く様な気がする。電脳の力を借りて、私たちはこれからは感性を磨くことができるようになるのかもしれない。(文責/岩田理栄子)

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       *「謡本」仕様のプログラムが実にクールでした!

VR能 「攻殻機動隊」博多公演決定!
【博多座公演概要】
公演タイトル:博多座未来能Vol.1
公演日:12月20日(日)11:00/15:30

※11月14日(土)AM10:00より【電話(092-263-5555)、インターネットにて】一般発売開始!!
演目:第1幕...VR能「攻殻機動隊」
   第2幕...3D能の世界(清経、船弁慶、石橋)
出演:坂口貴信 谷本健吾 観世三郎太(観世流能楽師) 大島輝久(喜多流能楽師)
スペシャルナビゲーター:下野紘
公式サイト:http://ghostintheshellvrnoh.com/


坂口貴信「三人の会」チケット発売情報 12/11 発売開始!

三人の会


とき:令和3年3月13日(土) 12時開演(開場11時20分)
会場:観世能楽堂(GINZA SIX 地下3階)

能  「隅田川」シテ方 谷本健吾 / 大鼓 亀井忠雄
一調 「勧進帳」 川口昇平
仕舞 「西行桜」 観世清和  他
能  「融」思立之出 十三段の舞 シテ方 坂口貴信/ 大鼓 亀井広忠

*事前講座/令和3年2月26日(金)午後7時〜(受付:オフィス能プロ)
チケット申し込み→観世ネット www.kanze.net


黄色落ち葉


◆銀座情報 観世清和×コシノジュンコ in観世能楽堂

 NOH+FASHON—継承される伝統と現代の融合—

能舞台がプロジェクションマッピングやスタイリッシュなモダンアートに彩られた衣装に包まれたー11月9日。銀座。
この日観世能楽堂では、古典能とファッションとの融合を現実化させた能楽ショーが開催された。貴重な機会を体験レポート。


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                 コシノジュンコによる「紅葉狩」装束

第一部はコシノジュンコによる琳派誕生400年を記念する意匠を纏った観世流能楽師による「風神雷神」の舞。その中でファッションショー、黒地に金銀をあしらったのモダンなアートをあしらった衣装がランウエイを歩く。モデルは黒い足袋をはき、実に滑らかに檜舞台をすべるようにすすむ。クライマックスでは観世ご宗家嫡男・三郎太がコシノジュンコによるオリジナルデザインの白装束で舞を披露する。

第二部は、観世ご宗家・清和師の能「紅葉狩 鬼揃」。衣装はコシノジュンコのデザインで金地に墨を走らせた様な柄が見える。侍女(実は鬼)たちは、モダンデザインと対照的にあでやかな伝統的な装束。居並ぶ伝統柄は圧巻である。しかしそれでもモダンの潔いデザインは負けていない。

本企画のご縁は、2015年に京都で開かれた、琳派誕生400年を記念する展覧会ショーでコシノジュンコが観世流に協力を要請したことだと云う。その後、パリの市庁舎でのコラボが実現している。
今回の能装束のデザインについてコシノジュンコ氏は「基本は変えずに、素材に皮を使うなどデティールを変えた」という。古典柄と並べてもその格の高さ、斬新さに遜色のないことに驚かされた。

(レポート・岩田理栄子)

モダンアート

                   画像:NHKデジタルニュースより

◆編集後記(editor profile)

「豊穣な時間」を銀座BOXがもたらしてくれたという言葉を頂戴して、改めて最高の褒め言葉に感慨ひとしおです。

その言葉から、思い出すのは「開物成務」(かいぶつせいむ)。「易経」の言葉です。物を開き、務めを成す。つまり「ものを開発し、すべての仕事を成し遂げさせる」の意味。

思想家の安岡正篤氏がその真意を分かりやすく解いています。      「放置しておけば宿命的になってしまう問題を、豁然として新生命を開かせる」ことだという。

環境、状況、事柄ー自分の周りにある「物」を開いて、すなわち開発し、あるいは変革し、あるいは打破して、自分のなすべき務めをはたしていくこと。                         

「銀座 BOX 」は、そんな尊い務めに目覚めさせてくれる企画を形にしました。老舗応援の思いを込めて、12月の募集が始まりました。どうぞご自分の周りの方にシェアいただけましたら幸いです。

本日も最後までお読みくださりありがとうございます。

           責任編集:【銀座花伝】プロジェクト 岩田理栄子             銀座BOXチーム:三枝要子 中野文子 真下美津子

〈editorprofile〉                           岩田理栄子:【銀座花伝】プロジェクト・プロデューサー         銀座お散歩マイスター・マーケターコーチ          
東京銀座TRA3株式会社代表取締役          
著書:「銀座が先生」芸術新聞社刊 

http://tra3.jp/

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