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弁護士ばんぶうの不倫裁判百選

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弁護士 齋藤健博が、不倫判例を独自の理論で、わかりやすく解説しています。
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2021年1月の記事一覧

不倫裁判百選98 騙されて不倫?

0 はじめに 東京地方裁判所において令和 2年 5月22日に出された裁判例は、198万円の支払いを認めています。 1 当事者の主張と裁判所の判断本件の争点は、婚姻関係の破綻の有無及びこれに対する被告の認識でした。 被告の主張 原告とAの婚姻関係(以下「本件婚姻関係」という。)は,被告とAが交際を開始する数か月前から既に円満ではなく,原告とAの間には性交渉もなかった。 Aは,原告の朝帰りが不自然なほどに頻繁であり,原告の浮気を疑っていた。 また,被告は,Aから「ラインも電話

不倫裁判百選97 性風俗店で金銭をだまし取られた行為の違法性はどう判断される?地獄の沙汰も金次第でよいのか‥

0 はじめに 原告にとって不倫が成立する状態、すなわち既婚者が性風俗店に通い、個人的に風俗嬢に金銭の貸付をする行為はどう扱われるのでしょうか。 貸し付けをした行為だけを切り出せば厳密には、お金の貸し借りだけなのでしょうか?今回は、被告は、原告には妻子があるにもかかわらず金銭を贈与することによって歓心を得て被告との不倫関係を築きこれを継続させようとしていたのだから、公序良俗に違反する貸付であったと主張している事例を検討してみます。 1 事案の概要と当事者の主張 東京地方裁判

不倫裁判百選96 不倫と準消費貸借契約?

0 はじめに  世に生起される紛争を大別すると、たいていは人間関係に関する事項、もしくは金銭に関する事項、あるいはその両方ではないでしょうか。これはある意味持論です。 この命題が正しいとき、不倫は絶対にトラブルになる。それは、人間関係とお金双方が問題になるからであると持論を述べてみます。 今回はお金のトラブルが不倫でこじれた例を検討してみます。 1 事案の概要と当事者の主張 東京地方裁判所において平成30年11月9日に出された裁判例は、元奥さんのお母さんが原告となり、