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≪ライブレポート》アーサー王伝説ナイト 2024.7.27

 さる7月27日土曜日、大阪は日本橋のジャッキーの隠れ家さんにて、「アーサー王伝説ナイト」を開催いたしました。

 ファンタジーな酒場に、お客様がぞくぞく集まってきます。

写真はすべて下見のときのもの
当日は樽の席は大きなテーブルのまわりに
配置されていました。
カウンター席もあります。


アーサー王伝説のハイライトを語りと竪琴でお送りしました。

内容は、

石に刺さった剣エクスカリバーの取得

その後のロト王たちとの戦

モルゴースのお腹にアーサー王の子が宿る

クエスティングビーストとの出会い

モルゴースは実は姉でしたとマーリンが教える

エクスカリバーが折れる

新たなるエクスカリバーを湖でもらう

アーサー王がグウィネヴィアと結婚
ガウェイン卿の騎士叙任

マーリン、己の恋により離脱

ランスロット登場してグウィネヴィアに惚れる

聖杯探索

アーサー王の死

というところです。

ちなみにエクスカリバーについては、
①湖からもらった剣がエクスカリバーであって、石から抜いた剣はエクスカリバーではない。
②石から抜いた剣も湖からもらった剣もエクスカリバーである。

という二つの説が研究者から提示されています。

①の説は、一番ポピュラーな中世文学の翻訳文献で厨川先生により書かれてあります。だからこの意見をいう方も多いですし、説得力もあるんですね。

ア-サ-王の死: 中世文学集1 (ちくま文庫 ち 1-1 中世文学集 1)

②の説は論文集で小路先生により言及されています。

中世ヨーロッパの作品たちの中で、エクスカリバーがどのように扱われていたかを一望できるめちゃくちゃいい論文が載っています(「エクスカリバーの変遷」)

私としては、

1.「アーサー王最大手の中世イギリスのマロリーが、どちらもエクスカリバーと書いている。」

2.「マロリー以前の作品でも石から抜いた剣をエクスカリバー(言語は違うので微妙に違いますが、それはアーサー王物語すべてにおいてそう。アーサー王もアルテュール王とかに変わりますからね)と呼んでいる。」

をもって、双方をエクスカリバーと呼ぶ②の説を採用しています。

……アーサー王伝説、こういうことを突き詰めるのも楽しい✨✨
研究者さんがいろいろ研究してくださるおかげです。ありがたや。

さて、それ以外にもいろんなお話をしまして、いろいろな中世の文献から引っ張ってきてお話しております。

ランスロットとグウィネヴィアの出会いのシーン、最大手のマロリーが書いてないので「そういえば知らんな……??」という方も多いかと思い。

中世フランスのめためためためた長いアーサー王物語、「流布本サイクル」から引っ張ってきました。

ちなみに、あまりにも長大過ぎて、一部は日本語訳でてますが、全部は日本語訳が出てません。

ランスロットとグウィネヴィアの出会いはちょうど日本語訳文献が出てないところなのですが、今リアタイで訳出されてネット上で公開されてる方がいらっしゃいます。

というわけでランスロットとグウィネヴィアとの出会いのシーンのリンク↓

「若者」と書かれているのがランスロットのことです。


ちなみに、物語を語るときはストーリー重視とわかりやすさ、臨場感を考えて、現代人にわかりやすいように語っております。
ご安心あれ。

さて、こんな感じでさまざまにお話しし、お客様よりご感想をいただいておりますのでご紹介を……

ギリシャ神話のよう、というのは光栄なことです😌✨✨

そうそう、アーサー王伝説、本で文章で読んでいると「なぜこの展開で、この人いきなりこんな動きするの??!」と行動の動機が意味不明なところあるんですよね。

あの意味不明さの理由。
「中世ヨーロッパの人的には別にそれがフツーなことが説明されていない」せいだと思います。
現代日本人には汲み取れないカルチャーの違い。

代表的なことだと、中世ヨーロッパの人たち、親愛の情でよく口づけしてます。
日本人はびっくりしますが、中世ヨーロッパの人たちはそれをする……!

あと、似たようなことですが「物語の暗喩を現代日本人が読み解けていない」のもあるでしょう。

たとえば日本だと「桃太郎が桃なのって、桃ってもともと日本神話で穢れたものに投げつけたら怯む聖なるものじゃん?だから鬼退治で桃の太郎が出てくるんじゃね?」とかなんとなく察してるところがあります。

でも中世ヨーロッパのそういう暗黙の了解、フツー知らないじゃないですか。
(ちなみにキリスト教とギリシャ神話とケルト神話は知っておくと、かなりよくわかると思います)

それを理解できたら、アーサー王世界はもっと整合性を持ったものとして見えてきます。

私が語るときは、暗黙の了解が「まったく何も知らない方にも」なんとなく理解できるように語り口を工夫したり、必要あらばプチ解説したり、必要なければばっさりカットしたりをやっています。

それをやるためには、原典についての理解が不可欠。日夜、本を読み論文を読み詳しい方にお訊きし、腕を磨いております。
……まあ、自分が気になるから調べてるのも大きいですけどね(笑)

皆様がアーサー王伝説に親しめて、面白く思っていただけますように。
アーサー王伝説を触れてるとね、元気が湧いてきますからね!

未知のものに出会う冒険に出かけるぜ!!
というやる気がね!!!

次回も開催が決まっております。

今度はランスロットの冒険✨
どうぞご覧にいらしてください。
終了後にはご質問もどうぞ!

現在ご予約受付中です👑

お楽しみに!


アーサー王伝説ナイト
2024年9月7日(土)19:30〜21:00

◎会場 ジャッキーの隠れ家
大阪日本橋
詳細はHP↓
https://steam-jacky.com/news/63736ddbc808a445ae32ff88

◎料金は
1ドリンクオーダー+チャージ500円+投げ銭。

(投げ銭は、ふつうの冒険者殿でしたら1,000円くらいです。たまにリッチな騎士殿や貴婦人の方が上乗せして払ってくださいます。ありがたいことです😌)

飲みがメインの酒場なので、フード持込可です。
晩御飯を持ち込んでもりもり食べながら見ていただいてもいいですし、スイーツを持ち込んでスイートな気分でご覧いただくのもオススメです。

ドリンクの追加オーダーも大歓迎です🍹

◎ご予約はメールにて。
ginyushijin@ymail.ne.jp まで
件名「アーサー王予約」
本文「お名前・人数」をお書きくださいませ。

吟遊詩人は旅するもの。我が旅の軌跡が少しでもあなたの心に響きましたら、ぜひとも旅の路銀を投げ銭くださいませ🪙