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シロバナタンポポを種から育てた話

引越しする前、近所の農園のベビーリーフが好きで、次女を連れて散歩がてら買いに行っていた。その農園の敷地内でちょうど一年前に白い花のタンポポをみつけた。娘に見せたいと思って摘んで帰ろうと思ったが、野花とはいえ他所の敷地だし…と思って農園の方に聞いてみた。そうしたら、そうですよシロバナタンポポと言うんです、と教えてもらった。たまたま生えてきたものだけれど、珍しいから抜かないようにしているんです、と。それを聞いて、摘まなくてよかった…と思った。

その後、このシロバナタンポポを自分の家でも見てみたいと思って、綿毛が欲しいとお願いした。そうしたら快く分けてくださった。聞くと、野花なのでそのへんに種を蒔けば芽吹くかもしれない、芽吹かないかもしれない。秋に生えるかもしれないし翌春かもしれない、と。ネットで調べると、適した土壌の性質とか雨水じゃないといけないとかいろいろ書いてある。種の一部は家の前の土にぱらぱらと蒔き、一部はシャーレの中でキッチンペーパーに乗せて水を与えて、といろいろやった。全然芽が出ないので一旦がさっと処分してしまったこともあったし、雨水が集まらなくて「雨水に近い弱酸性のミネラルウォーター」なるものを購入したり、園芸屋さんでタンポポによい土を聞いたりした(雑草を育てるための土!?と驚いた顔をされた)。やっと芽が出た!と思って育てていたらその辺の雑草と変わらない葉が出てきて、悔しくて引っこ抜いたこともあった。

引っ越す前の2月ごろ、タンポポか?と思われる芽が地面に蒔いたほうから三つ出てきた。でも春になるころにはここを離れてしまう。ほんとうに小さな芽で、見た目はただの雑草。この子を連れて行くか迷ったが、農園に聞くと「持っていくなら植物が活動しはじめる前の今の時期に移植したほうがいい」と言われて、寒い間に鉢に移植した。見た目は鉢に雑草を植えているだけ。私何をしているんだろう、と思ったが、どうしても見届けたい。

さすが野花、3月になると水と日の光だけで青々としてきた。そのうち、一つはタンポポではない雑草になったので引っこ抜いた。外に出るといろいろなところで黄色いタンポポが開いている。もう十分咲いてもいい季節なのになー。しばらくは葉っぱだけだった。そうしたらあるときもう一つの株からすーっと茎が伸びて、蕾がついた。花の形はタンポポっぽい。でも咲いてみないと白か黄色かわからない。いつ開く?いつ開く?と心待ちにしていたら、今朝ぽっと白い花がついた。

もうめちゃくちゃ嬉しくて。なんというか、出産と似た喜びがあった。何度、期待して雑草を育てたことか(笑)まあ野花も雑草といえば雑草なのだけど、種から育てて花が咲くというのは格別の喜びがあるなあ。

タンポポは冬を越せるし乾燥に強いので、一度咲いたら余程のことがない限り来年も咲いてくれるだろう、と思うとそれも嬉しい。大事にしたい。


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