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「チャイナブルー」と「ジョルジュ・ルオー かたち、色、ハーモニー」~汐留


友だちと会って、ランチをして、それから美術展へ

友だちと会う。
東京へやって来た友だちが帰る月曜日、もう一人の友だちも誘ってランチして、それから美術館にでも行こうよということになった。

月曜日は生憎どこの美術館も閉館で、唯一パナソニック汐留ミュージアムはオープン、ちょうど「ジョルジュ・ルオー かたち、色、ハーモニー」展開催中。だったらランチは汐留。

コンラッド東京 28階 「チャイナブルー」

28階フロアの奥まった先にエントランスが見える。

”エスコフィエ協会のカリナリー アート マスターの称号をはじめとする数々の賞を受賞している料理長 アルバート・ツェがクリエイティブで洗練された広東料理の数々を斬新なプレゼンテーションにて届ける"「チャイナブルー」の広東料理

暗がりの先に淡いブルーのライティング
わくわく感演出。

右に曲がると中国調度品が飾られている。
左には陽光あふれる(といってもこの日は小雨)空間が見える。
角を曲がることによる心理的期待感演出。

ああ、このインテリア空間!10年ぶり
高さ8メートルの吹き抜けと窓

薄いブルーグレーのパノラマビュー 眼下には浜離宮恩賜庭園と東京湾と高層ビル群

雨だからか、静寂に包まれたといってもいい空間に私たち三人。かなり離れた席に二組の客。なんて贅沢な!

新緑と鏡のような池、穏やかな東京湾 
すべてが絵画のようです
高さ8メートルのワインセラーがミルキーウェイの如し

リクエストはしていなかったのだけれど、嬉しいことに窓際の席の案内。

予約していたコース料理が供される。

「チャイナブルーって、楊貴妃も愛したという景徳鎮の青色の中国青からのネーミングなのかしら?」
「そうだろうね、インテリアのメインカラーも中国青で、清々しいよね」

小前菜 お口初めの一皿  Amuse bouche

牛スネ肉の冷菜 

器は白にブルーのライン。
菊花のあしらいが粋、大好きな八角の香りがふんわり立ち上がる。
やわらかで牛肉の旨みぎっしりの小前菜。

前菜 自家製点心三種盛り  Homemade dim sum trio selection

南天の葉が添えられています

豚肉の焼売

トッピングはトリュフのわけなく・・・刻んだ昆布です
もっちり皮にオーソドックスな焼売の具

牛バラ肉の黒胡麻パイ生地包み

細くほぐした牛バラ肉をほの甘い甜麵醬ベースの味付けにしたフィリングと
サックサクのパイ生地が見事にマッチ
一番好きだった点心

小海老包み揚げ

シンプルに小海老を味わう点心

スープ コーニッシュジャック鰭と魚の浮袋のとろみスープ  
Potage soup with Cornish jack fin and air bladder

コーニッシュジャック鰭、魚の浮き袋、虫草花など具沢山のとろみスープ
スパイスは特に感じないマイルドな仕上げ

(実はこのライオンヘッドボウルにかなり興味津々。ライオンヘッドボウルは大抵白なのに、この鮮やかな群青色!目が釘付け!欲しいけど我慢)

コーニッシュジャック鰭は鱶鰭(フカヒレ)の代用として近年使われている食材、鰭(ヒレ)だから当然フカヒレみたいな味で、鰭の形がちょっとわかる大きさで入っていて贅沢気分。
魚肚(魚の胃袋/浮き袋)は、中国四大海味(アワビ・フカヒレ・海参)の1つで中国の高級食材として珍重されているそうで、コラーゲンが豊富で、美容、体質補強効果に優れた滋養食とされているらしい。

そうすると、このスープは最強の美容薬膳スープということになる!

メイン 蟹爪の黒胡椒炒め  
Stir fried crab crow with black pepper sauce

蟹爪の肉を取り出して蟹真薯状にして再び成形、揚げた蟹爪
黒胡椒とシンガポール醤油?で炒めたメイン
ビーフンを揚げた煎餅は湿っていて食感が・・・

お食事 海老と叉焼入り五目炒飯  
Fried rice with shrimp and roasted pork

プリプリの海老、長葱、叉焼、木耳の王道炒飯
白木耳の食感が印象的

デザート 本日の料理長おすすめデザート
Chef's recommended dessert of the day

ブルーベリージュース、揚げワンタン、オーギョーチ(愛玉子)とフルーツ

「オーギョーチです」とサーブされたときの嬉しさ。
楊貴妃も愛用したと言うオーギョーチ(愛玉子)。美肌によいという食材。

最後まで美容がコンセプトのランチコースと絶景に、こころ満ちたひと時

高校時代の友だちとの会話に時の空白は無関係、私を除く二人の友は大学卒業以来の再会、でもあの頃と変わらず話は弾む。

えっ?もうすぐ三時!

それでは美術館へ行きましょう!

小雨だし、汐留駅地下街を通って、パナソニック東京汐留ビル・パナソニックショウルーム東京から4階の美術館へ。雨にぬれずに移動。


パナソニック汐留美術館は、ジョルジュ・ルオー(1871-1958)の初期から晩年までの絵画や代表的な版画作品など約260点をコレクション、これらを「ルオー・ギャラリー」で常設展示している。

開館20周年を記念するルオーの本格的な回顧展

この展覧会では、フランスや国内の美術館よりルオーの代表作が集結、初公開作品を含む約70点の展示。

第Ⅰ章 国立美術学校時代の作品―古典絵画の研究とサロンへの挑戦
第Ⅱ章 裸婦と水浴図―独自のスタイルを追い求めて
第Ⅲ章 サーカスと裁判官―装飾的コンポジションの探求
第Ⅳ章 二つの戦争―人間の苦悩と希望
第Ⅴ章 旅路の果て―装飾的コンポジションへの到達

展覧会のみどころ~HPより

初めてルオー作品を観たのはブリヂストン美術館(現アーティゾン美術館)だったと思う。
《郊外のキリスト》などキリスト教的主題作品やピエロの、ステンドグラスを思わせる太く黒い輪郭線、寂寥感、哀切、希望がじんわり伝わってきたことを思い出す。

パリ国立高等美術学校時代から師モローやセザンヌへの関心を経て、独自の芸術スタイルへと完成されるルオーの巡礼ともいえる軌跡を静かな空間で、間近に辿った。
(私は美術展で絵画を鑑賞するとき、何故か額縁が気になる。この展覧会でも独特の個性溢れる額縁に目が留まった。画商の額装なのか?)

鑑賞者に伝わる重く深い寂寥感。人間の深淵。

第Ⅴ章に辿り着く。

(ここの展示物は撮影OK)

可愛い魔術使いの女 1949年
受難(ユッケ・ホモ) 1947-49年
秋の夜景 1952年
大木のある風景 1946年頃
秋の終り 1952-56年
キリストとの親しき集い 1952年

明るい太陽の光、豊饒の自然、優しさに満ちた人物の表情、瞳の奥に見える希望の光。それらの輝く色彩に魅了され、会場を後にした。


何て美しく、優しく、勇敢な
目、精神、心にとって
かたち、色、ハーモニー
喜びに輝く神へのことば

ジョルジュ・ルオー 『ディヴェルティスマン』1943年

まだ小雨は降っている。

旧新橋停車場復元駅舎

再び汐留地下街へ戻り、新橋駅へ。

新幹線で帰る友を送り、それぞれ帰路に着く。

次は夏の再会かしらね。

2023/05/29

(十年前のチャイナブルーの料理写真も記録として掲載)

大きな窓からは湾が一望できて
太陽は燦々ときらめいていて
気分は香港

点心三品 
スープ 
お口直しのフレッシュジュース 
メイン 
炒飯
デザート 
中国菓子 
お飲物

点心三品
点心師の技ここに在り!
おしゃれで文句なしにおいしくて
綺麗で華やか
鴨のスープ
濃厚な鴨とたくさんの食材の滋味あふれるスープ
なまこ、茸に筍、干し豆腐麺など具だくさん
だけど主役は鴨!の絶妙のスープ
高麗豚のシンガポール醤油炒め
百合の蕾と生のアーリーレッド、パプリカ
ぱらりとかけられたケシの実さくさくしっとりの高麗豚
デザート
ひとくちずつ大切にスプーンで口に運んで
おいしさに浸りたい




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