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ツンドク?読んどく ⑮

レシピは「学び」と「リスペクト」 2021/6/14

この数カ月、料理本などでレシピについての記述に触れることが多々あり、考えさせられている。
ここ10年ほどで「レシピ」という単語が SNS を通じて氾濫している。
レシピの主流は30年くらい前までは「井戸端レシピ」で、顔を合わせておしゃべりしながら何かおいしい料理ない?あっ、それ作り方教えて~とかいいながら TV・雑誌・新聞の料理の作り方をあれこれ雑談していて、「レシピ」とは言わず「作り方」といっていた気がする。
まだ ”レシピ” という単語はプロが使う言葉という認識だったような・・・。

Recipeとは何ぞや?
”受け取る” ことを意味するラテン語 recipere の(二人称単数現在能動)命令形 recipe に由来し、元々、医者から薬剤師へ材料の準備ができるよう指示(処方箋)を命ずる語であったそうだ。
1740年頃から料理用語として使われ始め、現在に至る。

そんな由来を知り、レシピの偉大さ、人類のレガシーなのだと改めて感じ入ったのは、故春田光治さんのブログの一文を読んだからだ。
(以下一部抜粋)

私がフランス、スイスに行った当時(1960年代)はまだ今のような「何でもあり」の時代ではなく、エスコフィエを始めとするフランス料理の本には医学書並みの権威がありました。
フランスはボルドーで最初に修行したRESTAURANT(プランティエ)でもシェフの言う事(料理方)がどうしても納得いかず、アパートに帰って当時持っていた4冊ばかりの本からその部分を書き写し、翌日シェフに見せたら「そうか~~~俺が間違ってた」とすんなり言われて返ってびっくりした覚えがあります。
フランスは料理のレシピは全て公開するのが原則、「ここから先は勘弁してください!企業秘密です!」なんてやっていたら権威のある本なんかできっこないですよね(笑)》

http://chezjohnny.blog18.fc2.com/blog-date-201310.html


2010年にリスト初となるユネスコ世界無形文化遺産に選ばれたフランス料理。こんな風に何世紀にもわたってフランス独自の料理法を記録した料理書があってこその世界無形文化遺産なのだろう。

そういう思いに浸っていた時に目に留まって借りた本が「王道探求」
”攻める古典料理人”として知られる手島純也氏の初の料理書。

「攻める古典料理人」として知られる手島純也氏、初の料理書。
彼が探求するのは、何世代にもわたって磨かれ、愛され、世界中に広がった<クラシック=王道>の美味。クラシックのフランス料理が目指してきた味とは何か。現代にふさわしい継承のかたち、更新の方法とは――。45皿を背景とともに、味を複層的にからませるクラシックならではの料理構造、技術の意味とポイントを解説します。

amazonより

まず作ることはないけれど、読後感じたのは、ガストロノミーレストランの料理人たちの修行の美味探求の工程のすごさで、極める世界に共通の日々の研鑽に、賛辞あるのみ。
プロのすごさ。う~ん、すごい・・・と一言のみ。

和知徹さんの料理本も、プロとして、特に牛肉のプロフェッショナルとしての技術を後人に伝え残そうという気概にあふれた本。

和知徹氏の『マルディ グラ 和知徹の 牛肉料理』
danchu などのトレンド食雑誌でおなじみの和知徹さんの肉焼き技術などが「基本の火入れと基本料理」としてとても丁寧に写真つきで解説された、一度は読んでおきたい一冊。

『銀座マルチ グラのストウヴ・レシピ』
世界の肉料理が和知徹さんのフィルターを通してレシピとなり、和知流シンプル・クッキング、ストウヴで世界を巡るワールド・ビストロ料理のレシピが掲載された、プロではない料理好きも楽しめる料理本となっている。

やっぱり私は料理の本が好きだ。

『このレシピがすごい!伝説の名レシピを読み解く』 土屋敦 著
こんな風にレシピと向き合える ”料理本・料理大好きな人” に私はなりたい。
本で取り上げられた料理家の方々の本はほとんど読んでいて、レシピへの懐かしさもありで、クスクス笑い、時々爆笑!しながら読み終えた。
ちょっと一服感覚で息抜きに読んで、深くじんわり共感できる本。

古今の名レシピのすごさを解剖する異色の食エッセイ!     
土井善晴、栗原はるみ、たなかれいこ、有元葉子、野崎洋光…希代のレシピ名人たちの逸品を、料理研究家にしてレシピ本コレクターの著者が考察。その思い、発想、技に迫る!

「BOOK」データベースより


レシピは「学び」であり、「リスペクト」するものなのだ。

クレロデンドルム・ブルーウィング
その花姿から青い妖精、青い翼、ブルーバタフライブッシュなどと呼ばれている


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