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和装生活-2か月

フッと思い立って休日を着物で生活することにしてみて早2か月が経過。初期の感覚を記録する意味合いも込め、現状の実感を記録する。

着物警察はどこだ

ウザいくらいなんか言われるのかな?という興味が動機の一つにあった。そもそもバリバリでパリパリな和装をきちっとするほどの気合は全くなくて、ブーツはいてハイカラさんでもやってやろうかくらいの気持ちだった。それもほとんどある日突然思い立って着物屋に行った、に近い。

結果としては、まあ女性と比べて緩いっていうのもあるのかもしれないけどなんもなかった。拍子抜けもいいところだ。ちなみに初日の格好はこんな塩梅である。

眠りさえ忘れて踊り明かす勢いでスタート。

モテてたまるか

着物=モテみたいな記事がそこら中にあふれている。この記事と同じような内容でモテを実感しているみたいな記述を見たこともある。mixiにも着物はモテるかコミュなんかがある(これは今検索してみて知った)。

まあこれは想像つく人が多いと思うけど、基本的には珍獣扱いでしかないね。モテてるのはもともとモテ男なんじゃないの。いや着物パワーだとどうしても言うなら、そいつにしこたまラーメン食わせてブクブクに太らせてやりたい。ついでに2,3発張り手をかましてやろう。それでモテたらもう、僕が極端にクソメンということでごめんなさいします。

まあそっちの道に人を誘い込もう、という意味でそういう働きかけが起きるのかもしれないけど、もっとラフに入ってこられるようにならんもんか…僕のように突然の思い付きとかで。

どれくらい声を掛けられるか

とはいえ、外国人に写真撮られたりするだろうと思う人は多いだろう。後輩にも言われたし。

結論から言うと、これまで声を掛けてきたのは、お店の店員さんの接客以外ではおじいちゃん1名。公園で座ろうとしたとき「そこ汚れてるから着物で座るのはやめた方がいいよ」という話。着物で出歩いた日数は20日弱ほど。1/20だとすると案外世間様は通行人なんか気にしちゃあいないってことで、好きな格好すりゃあいいんですわ、結局。

着物男子という言葉

しょうもない話が長くなりすぎたのでそろそろ踏み込んで…現在の、老人というほどでもない世代以下における、和装について一つの実感を。

まず今あえて着物暮らしをしようという人の過半はおそらく、高い自意識がそうさせるものだろう。ファッション好きが高じてというより数が多いと思う。それはこの「着物男子」なんて言うキーワードもそうで、「和装」というジャンルに参加していることにプライオリティを置いている人が多い、ということ。実数を取ったわけでもないんで偏見だと言われるかもしれないけど、仮説として聞いて頂きたい。

多分好き好んで着物を着ようという人は男女問わずちょっとオタク傾向があって、「変わっている」と言われたがる(あるいはそんなことないよと言いながら得意げになる)タイプだろう。世間的にどんなふうに着ているのかな、と思ってSNSで検索を掛けてみると、想定を大きく超える自己愛の奔流に僕は言葉を失くした。ハンドルネームに着物男子を入れるほどアイデンティティなのか。とにかく呟くたびに着物男子タグをつけまくって主張するのか。女子もだけど。

わしゃ違うんじゃ!と言いたいわけではない。気質としてはそちらよりだろうと自分だって思っていた。しかしそれを自身の拠り所にはなかなかできない。もちろん、僕もそうだけどそういう気質でない人はわざわざ検索に掛かる言動を多くはしていないだろう。こんなnoteだのブログだのもそうそう書かんだろう。

結論としては、今現在の若年層における和装というのはゴスロリやスチームパンクと同種のカルチャーの中にいる、ということでございます。こういうとちょっと納得感ないですか?なかったらどう見えてるか教えてください。やめる気はまだないというか、和洋区分ない感じで暮らしていこうと思っているので、外からの見え方には強い関心がございます。

結局着物に何を求めているのか

実際のところ当初はブーツだけでなくかなり崩すつもりだった。衣類として考えた時に、不自然なまでに着方にルールを持つのは疑問が大きすぎたし、そんなの磯野波平さんが普段着でガチガチにやってるとも思えない、ましてや江戸の町民の日々の生活で、高いハードルを毎日超えていたわけがない。と思って下になんか履いて裾を絡げたりいろいろやっていたけど、2か月の間に徐々に純和装というか、足袋を買ったり下駄を買ったり襦袢を買い足したりと、正直ハマってきてしまった。

最新バージョン。ニンニン。

僕はそもそもレザーウェアが好きなので、「着物男子」キャラになる気が全くない。慣れたら特に冬場は革ジャンスタイルと並行する形に徐々に振れ幅を戻していくつもりでいる。つまりあくまで日々の服装の幅の中に収めるというスタンスで、そこはいくらハマってきているとはいえまだまだ変わらない。

そういうスタンスから言うと一種のコスチュームジャンルとして扱われるのはやりづらいなあ、という感覚が強い。実際に自分が着てみると思っていたより世間には和装の人がいて、もちろんそれなりのお年を召しているご婦人が多いものの、東京の街を行けば日に一人は必ずと言っていいほど目に入ることに気付く。僕個人のスタイルからすると若年層においてもそのレベルまで「普段着」として認識されるようになってほしい。求めているのはそこだ。ファッション、衣服の選択肢の一つたること。

こうはなりたくない

最後に。微妙に毒づいたりして申し訳ありません。ただ、「そっち寄り」とは言ったものの、よく考えるとキャラ付けに趣味を使うこと全般に対して批判的なのが自分であるということを、書いていて再認識した。僕はシルバーアクセサリー好きでもあるけど、それも同じで、「シルバーマニアキャラ」に依存する人って結構多い。それが昔から好きじゃない。レザーもそう。結局それって最終的にオタク化してしまって、世間一般にダサいものとされてしまう。そりゃいくらお金かかっててもオタクグッズだもの、お洒落なわけないわね。

それはつまるところ主従の捉え方だと思う。いるかどうかわからんけど、例えば「学校でサムライと呼ばれてる」みたいに自分のキャラアピールして、それ半分馬鹿にされてんぞ、みたいなことが起きうる可能性は十分すぎるくらいある。僕こないだ同僚に忍者って言われたとき焦ったもの。ニンニンとか言ってっけど。

そういうのって、それこそスチームパンクでもV系ファッションでも、特定のコミュニティ内ではある意味モテるかもしれないけど、一定の空間の外に出るとやべー奴になってしまうみたいな、非常にピーキーな世界だったりするわけで。まあ浴衣ってものがちゃんと定着している分、着物ジャンルに限っては杞憂かもしんないけど、「オレ着物男子!」をごり押ししている人なんか見ると「うわうわうわ~~!」ってなっちゃうのよね。そういうのが結構ネット上で着物警察になっちゃったりするわけでしょう。弓道部のあれとかみたいに。

たかだか2か月で偉そうだけど…痛いファッションの一つに挙がるようにだけはなんないでほしいなあ。

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