私はやっぱり採用担当が向いているのかなと思った話

3月1日会社説明会解禁日。
当社は大手人気企業というわけではないので3月1日に開催したところで誰も来ない。
なので3日ほど経過してから第1回の会社説明会を行った。

予想外に人が集まってくれて結構な人数の説明会になった。
今回の会社説明会は資料作りから企画、設計、そして実際の会社説明会運営まで私1人で行った。
資料も上司の目を通っていない。
本当に私の言いたいことだけを詰め込んだ会社説明会だ。

会社の説明は最低限に留めて、最近の就活の動向であるとか、障害者採用ってそもそも何なのかとか、それから面接の対策といったことに時間を割いた。
学生さんもただ話を聞くだけでは飽きてしまうと思うので、履歴書のサンプルを見せて、「あなたが面接官だったらこの人に何を聞きますか?」というようなレスポンスも行ったりした。
おかげさまでこの会社説明会はとても好評で、終了後のアンケートには「他の会社では聞けなかったことが聞けた」「とても有益な情報が得られた」「楽しかった」と言った言葉が並んでいた。
こういう感想を得られると本当に幸せを感じる。私はこの仕事していてよかった!と思う。

ここ2~3週間、転職活動をしていた。
椎間板ヘルニアによって今回の転職は断念せざるを得なくなったが、そんな中で
「障害者雇用枠の中でもう一度やれることをやってみようかな」と思った瞬間だった。

本音を言えば障害に関係なく実力で勝負したい。健常者と正面から戦いたい。
でも色々あって駄目になってしまったのだから自分の障害を最大限活かして働きたい。

会社説明会の冒頭で私はいつも自己紹介とともに自分が精神障害であるということも伝える。
そうすると学生さんのほとんどはとても驚いた顔をして、それからホッとした顔をするのだ。

今目の前で会社の説明をしている人も障害者、ということは障害を持った学生にとってきっととても心強いのだろう。

私は今の会社が、特例子会社だから仕方がない部分はあるにしても、
ひたすら数字に踊らされているのを見ると残念でならない。
塾の講師をしていた時もそうだったが、目の前の営業利益だけを考えて生徒に授業のコマ数を増やすように脅す先生はどうしても好きになれなかった。

私はと言うと「コマ数なんて増やさなくていいよーそのかわり少し早めに来て一緒に勉強しようか」
そんな風に生徒に声をかけていた。
気がつけば生徒は私を信頼してくれるようになり営業なんてかけなくても私を指名して授業を取ってくれる生徒がとても増えた。
結局営業成績はその教室でトップだった。全く営業をかけない先生が一番営業成績が良いというのも皮肉な話である。

短期的な利益しか見ていない人は短期的な成果しか得られない。
当時の経験から得た私の持論だ。

今の採用についても同じことが言える。
目先の雇用数にとらわれて、いいことばかりを学生に伝えたのでは、結局入社した後に「何か違う」と思って辞められてしまうはずだ。
だから会社説明会では悪いところも包み隠さず伝える。
いい部分も悪い部分も納得した上で選考を受けてそして入社してほしいのだ。

目先の利益にはならないが、長期的にはきっとこちらの方が良い成果をあげると私は信じている。
そして接した学生一人一人の人生が何より重要だ。
入社した会社が聞いた話と違うと言うのでは、その学生の人生が最悪になってしまう。
人ひとりの人生を最悪の方向に導くなんて、私はそんなことをするために生まれてきたのではない。

だから回り道であってとても効率の悪い方法だとわかってはいながらこの方法以外を取る気がしないのだ。

私は壁があったらその壁に全力でぶつかって壁をぶっ壊して進むタイプ。
きっとこういうタイプは企業には向いていない。

上司をうまいこと利用して少しでも低い壁にしてもらうだとか、誰かが壁に穴を開けたらそのおこぼれを頂戴して横からすり抜けていくとか。
きっとそういう壁の越え方をする人の方が企業では大成する。

でも私は嫌なのだ。そんな越え方は壁に失礼だ。
せっかく現れてくれた壁だ、全力でぶつかって倒してなんぼだろう。

だから企業という組織に向いていないのは分かっていながら、自分の出来る範囲で必死に模索しもがいている。
きっと短期的ではなく長期的にはその方が正しいということを信じて。

まだ企業とか組織とかそういう利害関係に汚れた中にいない学生さんは、そういった面ではとても真っ直ぐで私の考えに近い。

だから会社説明会を聞いてプラスの感想を持ってもらうことは私にとって何ものにも代え難い財産なのだ。

学生さん、ウチに入ろうが入るまいが、
幸せな人生を送ることだけを私は願ってるよ。
生きにくい世の中だけど一緒に頑張って生きていこう。

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