音ゲーは上手くなることが全て

音ゲーは上手くなることが全てである。


これは個人の見解であり特定の思想を強要したり他者の思考を否定するものではなく云々。
御託はいいから始めるぞ。


音ゲーは上手くなることが全てである。それはなぜか。

①音ゲーはフェアだから
②音ゲーにはそれくらいしか魅力がないから

順を追って語っていく。


①音ゲーはフェアだから

音ゲーとは何か。

音ゲーとは、流れる音楽のリズムに合わせてデバイスを操作し、その正確さによって評価されるスコアを競うゲームジャンルである。
これはどこかのえらい学会とかでかい協会で定義されたものとかではないし、俺が今適当に考えたものだが、まあだいたい読者各位のイメージには沿うんじゃないかと思う。
音ゲーには実にいろいろな種類やシリーズがあったりするが、どのゲームも基本ルールは

楽譜で例えるところの音符に相当するもの(多くの音ゲーマーはこれを”ノーツ”と呼ぶ)(ちなみに音ゲープレイヤーのことを”音ゲーマー“と呼ぶ)が曲に合わせて画面に現れるので、それに対応してデバイスを操作する。それがどれくらい正確だったかを機械が評価する。

である。

キャラや機体の性能差や相性なんてない。
3%の確率で排出されるアイテムを入手しないと突破できないギミックなんてない。
心動かし、人と語り合いたくなるようなストーリーなんてない。

上手いか、下手か。

音ゲーは、お前が上手いか下手かを問うゲームである。
だから、フェアである。
だから、面白い。

(まあ実際のところシリーズごとに判定の幅が違うだとかスコアの算出方法が違うだとかメンテの良し悪しだとか基盤の製造時期だとか当然フェアネスを損なう要素はあるにはあるがそれを語りだしたらキリがないから割愛する。基本的には同じ環境下で競い合うゲームなんだからまあフェアだろ。)


②音ゲーにはそれくらいしか魅力がないから

音ゲーは実力をストイックに競うことができるプラットフォームであるから、面白い。
では、ほかにどんな魅力があるか。

ない。

音ゲーは、お前が上手いか下手かを問うゲームである。
だから、フェアである。
だから、面白い。

そして、それしか面白くない。

「楽曲が素晴らしいじゃないか!」「コンテンツとしての広がりが!」「アーティストとユーザーの交流が!」

TOTAL, UTTER, BULLSHIT.

まあ確かに、音ゲーである以上、そこには楽曲がある。
そして、優れた楽曲、人気のある楽曲というものも、当然存在する。

だが、音ゲーの楽曲が、音楽として、優れているのか?
もし楽曲単体でそれが音楽的に優れているのあれば、もうゲームである必要はない。
イヤホンを取り出し、聴けばいい。ゲームが介在する必要性がない。

加えて、音ゲーでプレイされるためにデザインされた楽曲(これを音ゲーマーは“音ゲー曲”と呼ぶ)には、ゲームとしてその楽曲を成立させるための数々の制約がある。

代表的なのは「尺」と「ギミック」である。

音ゲー曲の尺はだいたい1分30秒〜2分30秒くらいであることが多い。理由は簡単で、我々の集中力が持つのがそれくらいだからである。
どういうことか?

音ゲーは楽器の演奏や歌よりもかなり高い水準の集中力を要求される。
音ゲーのプレイを評価するのは単純な作りの機械だから、疲れたからちょっとテンポを落としてしてみたり、溢れ出るインスピレーションを演奏に反映したりすると、容赦無く「不正確」「ヘタクソ」との評価を下される。
故に、常に100%の集中力を発揮し、機械が要求する演奏をその通り完璧にこなさなければならない。
F1レーサーでもない我々常人がそれを楽しんでできるのはせいぜい2,3分である。

その尺に合わせて楽曲を作ろうとすると、当然かなり短い時間で曲を終わらせなければならない。
すると、表現の幅はかなり狭くなってしまう。
具体的に言うと、2分の曲を作ろうとしたら大体イントロ→Aメロ→Bメロ→サビときたらもうアウトロに入って曲を終わらせないと収まらない。
短い。2番と間奏とCメロとサビもう一回お代わりくらいは欲しい。
もし尺がいくら短くても音楽的魅力が損なわれないなら音ゲーのサントラに毎回人気曲のロングバージョンが収録されるわけがない。

また、ゲームである以上、音ゲー曲にはそれ自体に「ゲームとしての面白さ」が要求される。
例えば、テンポを速くする。細かいシークエンスを入れる。複雑なリズムを刻ませる。曲の途中でめまぐるしく展開が変化する。場合によってはテンポそのものが変化したり、曲自体完全に止まったりする。マジで。
それらは全てゲーム用の「ギミック」であり、音楽的な魅力とは必ずしも合致しない。

なんかとっちらかってしまった。
要約すると、「音ゲー」の「音」はあんまり面白くないし、「ゲー」部分は上手いかどうかに関する機械的な単純評価に依存している。
だから音ゲーには上手くなることしか魅力がない。


音ゲーは上手くなることが全てである。
当然その主張には反論がある。

「ゲームなんだから、楽しければそれでいいじゃないか」
「音ゲーの曲だって、いい曲がたくさんあるんだ」

ゲームなら楽しければそれでいい。その通りだと思う。
でも上で語った通り、音ゲーには楽しめる要素が上手くなることしかない。

世の中には楽しいゲームがいくらでもある。
スマホの普及によって何処へでも高性能の端末を持ち運べるようになったし、据え置き型ハードウェアの性能向上はとどまることを知らない。
そして、それによってゲームとしての表現方法の多様さ、面白さは日々向上している。

Witcher 3はやったことある?NieR Automataはやった?Monster Hunter Worldは?Red Dead Redemption 2は?God of Warは?ゼルダの伝説Breath of the Wildは?

楽しむだけなら、上で挙げたようなゲームの方がはるかに手軽だし、金もかからないし、体験として上質だと思う。

また、音ゲーの楽曲としての魅力についても疑問がある。
音楽的な魅力として考えたとき、上で散々述べた通り、音ゲー曲には制約と欠陥が多い。
その上、音楽を享受する上で、音ゲーよりも優れたプラットフォームはいくらでもある。

音楽を聴きたいのなら、CDを買い、オーディオ機器を通して聴けばいい。
最近はSpotifyやApple Musicなどのサブスクリプション型サービスによって、より多くの楽曲に手軽に触れられるようになった。
(プラットフォーマーの利益独占だとか業界の持続性がどうとか議論はあるが、消費者目線でみればメリットの方が大きいのは明白である。)
オーディオ機器も安くて高性能なものが増えたし、無線機器の品質も向上している。
より手軽に、より快適に音楽と触れることができる時代に、我々はいる。

ゲームである必要性がない。

音楽を通した一体感、体験が欲しいのなら、ライブやクラブイベントに行けばいい。
ゲームの筐体から流れる音よりもはるかに迫力があり、はるかに華やかな体験を、より多くの人と一体となって共有することができるだろう。
ゲームによって模倣されたものではない、本物の体験ができる。

ゲームである必要性がない。

演奏感が欲しいのなら、文字通り楽器を演奏すればいい。
正確さや作り手の意図に縛られることなく、より広く、より柔軟に表現力を発揮することができるだろう。
自分たちの好きなようにアレンジしたり、表現することを「ヘタクソである」とかレッテル貼ってくるクソみたいな機械はいない。

ゲームである必要性がない。


音ゲーはフェアである。そして、音ゲーにはそれくらいしか魅力がない。
だから、上手くなることが全てである。
以上。

Q: 音ゲーは上手くなることが全てだというなら、音ゲーが上手くない自分のような人は音ゲーをやめろって言いたいんですか?

A: そうじゃねえ。
音ゲーは上手くなることが全てだ。でもそれは「誰よりも上手くなる」ということが全てであるということを必ずしも意味しない。
どうしても敵わない人、どうしても勝てない人っていうのはごまんといる。そんな中でどう考えても自分より音ゲーが上手い人と張り合ったって仕方がない。
でも、いくら音ゲーが下手でも、昨日のお前より上手くなることはできるはずだ。
目標はどこに設定したっていい。お前が上手くなったと納得できれば、それでいい。

Q: お前はどんだけ音ゲーが嫌いなんだ?親でも殺されたのか?
A: 音ゲーが死ぬほど好きでなきゃこんなに真摯に音ゲーと向き合ってられるわけないだろ。

Q: あなたの主義主張はわかったので、ただ楽しんでるだけの我々のようなユーザーの楽しみを奪わないでもらえますか?あなたのような存在が音ゲー界隈全体を息苦しくしているんです!
A: オメェがボタンシバきだけで気持ちよくなれるオッペケペーなのはわかったので、実力至上主義の我々のようなユーザーの楽しみを奪わないでもらえますか?
オメェみたいなやつが一番嫌いなんだよ。いるよなーネトゲとかでも「自分エンジョイ勢なんでー」とか言って装備強化しないで周りのちゃんとした人達に迷惑かけてるようなやつ。
いいか。お前と俺の楽しみ方の軸は違う。ただ音ゲーしてるだけが楽しい。結構。俺は音ゲーは上手くなること以外に魅力はないと思う。以上。
この溝は多分埋まらない。だから、お互いに迷惑はかけないようにしよう。異論ある?分かったら二度と話しかけないでくれ。

Q: そこまで実力主義って言うくらいならさぞお上手なんでしょうね?
A: こういう考え方で10年音ゲーしてたら音ゲーが上手くなれない自分に嫌気がさしてきて音ゲーやめたんだよね

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