哲学的グレンモルト
ある所に、デュエマがとても大好きなたかし君がいました。
たかし君はドラグナーデッキを使ってショップ大会に出ることが多く、周りのみんなからは「ドラグナーのたかし」なんてあだ名まで付けられていました。
その日もいつも通りドラグナーデッキを使って、たかし君はショップ大会に参加しました。
ブレにブレブレてその日はなんと決勝戦まで勝ち進んでしまいました。
たかし君の友達や常連の大人客も見守る中、その決勝戦は着々と進んでいき、ついにはたかし君の切り札である《最終龍覇 グレンモルト》を場に出すことに成功しました。
そんなたかし君の相手は、ブライゼシュートをこよなく愛する"無頼瀬 修斗(ぶらいぜ しゅうと)"君。彼はこの日もブライゼシュートを使っており、たかし君が《最終龍覇 グレンモルト》を場に出しても表情ひとつ変えませんでした。
修斗 「おいたかし、さっさと何装備させるか決めろよな!」
たかし「う〜ん、どうしよう…」
たかし君は悩んだ末、ブライゼナーガからSST(スーパーシールドトリガー)をたくさん使用される可能性を少しでも減らすべく、《銀河剣 プロトハート》を装備させ、このターン中にシールドを4枚割っておく選択をしました。
たかし君「《銀河剣 プロトハート》装備!《最終龍覇 グレンモルト+銀河剣 プロトハート》」でシールドをWブレイク!」
修斗「(ニチャァァ…)」
その宣言を聞いた時、修斗君はとてもとても気持ちの悪い笑みを浮かべこう言いました。
修斗「なぁたかし、《最終龍覇 グレンモルト》のパワーって今いくつだ?」
たかし君「? そりゃ場にドラグハートが1枚しかないんだから9000に決まってるだろ」
たかし君はドラグナーを普段から使用するれっきとしたドラグナー使い。
《最終龍覇 グレンモルト》のパワー上昇能力についても熟知しています。
修斗「どんな計算式でその数字になったんだよ?(ニチャァァ)」
修斗君の気持ち悪い笑みは尚も健在です。
たかし君「元々のパワーが6000で、ドラグハートの数×3000だから…」
たかし君「6000+(1×3000)だよ!」
修斗「だよなぁ?」
たかし君「それがどうかしたの?」
修斗「お前さぁ、デュエルマスターズにおける"計算の順序"ってヤツ、知ってっか?」
たかし君はやたらデネ〇ログの動画やサイトを観ているため、ルールにもある程度は知見がありました。
たかし君「もちろん知ってるよ。"足す、引く、掛ける、割る"の順序でしょ?」
修斗「あぁ、その通りだ。」
修斗「その順序をさっきの式に当てはめたらどうなる?」
たかし君「えっと…」
たかし君「6000+(1×3000)だから…」
たかし君「…!?」
ここでたかし君、何かに気付かされたようです。
修斗「あぁそうさ。そいつのパワーは今6001×3000で計18003000、3000枚ブレイカーさ!(ニチャァァ)」
今日一気持ちの悪い顔で笑みを浮かべる修斗君。
たかし君「そんな…でも!!」
たかし君は必死に反論します。
たかし君「そ、そうだ!数学において掛け算の順番は解に影響がないはず!」
たかし君「最初の6000+(1×3000)を6000+(3000×1)に置き換えれば…」
修斗君「おいおい…笑」
たかし君「なんだよ…」
嫌な予感がたかし君を駆け巡ります。
修斗「その順序で計算しちまうと、《最終龍覇 グレンモルト》が出た直後のパワーは6000+3000×0になって場に残らないけどいいのか?笑笑」
たかし君「………」
たかし君には返す言葉が見つかりません。
修斗「ほら、とっとと選べよ。《最終龍覇 グレンモルト》を破壊するか、それとも俺のシールドを3000枚ブレイクするかをよぉ。」
嫌味たらしい笑みを浮かべ続ける修斗君。
たかし君は、これに反論することが出来ないまま、修斗君のシールドを3000枚ブレイクしてしまい、モーツァルトやらヴィルやらなんやらかんやらで負けてしまいましたとさ。
めでたしめでたし
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