【情報まとめ】直近のゲーム生成AIがすごそうなので調べてみた
最近、ゲーム生成AIに関連するニュースを多く見たので、ちょっと深堀りして調べてみました。
私が、最近のゲーム生成AIを調べてみた感想は以下です。
今回紹介するものは、まだサービスとしてはリリースされていないものです。
これらのサービスがリリースされた時に「AI×ゲーム開発」の大きな波が来ると確信しています。
ぜひお時間あるときに読んでみて下さい!
1. GameNGen
GameNGenは、ゲームをリアルタイムで生成するAIエンジンです。
※Google Researchとテルアビブ大学の研究チームが発表
従来のゲームエンジンとの違い
GameNGenは人間がコードを書きません。
AIがゲームの描画や動作をリアルタイムで生成するのが特徴です。
GameNGenでは、AIが大量のゲームデータから学習し、ゲームの仕組みを理解することで、リアルタイムにゲームを生成します。
GameNGenの仕組み
GameNGenは、ディフュージョンモデルと呼ばれる深層学習技術を応用して開発されました。
GameNGenの学習は、以下の2段階で行われます。
1.エージェントの学習
まずAIエージェントを訓練し、ゲームをプレイさせます。このエージェントは、ゲームのルールを学習し、高得点を目指してプレイします。
※紹介動画でテストケースにしているのは「DOOM」というゲーム。
2.生成モデルの学習
エージェントのプレイデータ(画面の表示内容や操作内容など)を元に、ディフュージョンモデルを学習させます。
これによりディフュージョンモデルは、過去の画面の表示内容や操作内容から、次の瞬間の画面を予測して生成できるようになります。
※ここではStable Diffusion v1.4というモデルが使われています。
AIが作った方が見分けがつかない
GameNGenが生成したゲーム画面は、非常に高画質で、本物のゲームとほとんど見分けがつきません。
人間の評価者による実験では、GameNGenが生成したゲーム画面と本物のゲーム画面を区別できたのは、わずか58%程度でした。
これは人間がランダムに選んだのと、ほぼ変わらない確率です。
GameNGenの課題
メモリの制限
現状のGameNGenは、約3秒分のゲームデータしか記憶できません。そのため、より長い時間軸で展開するゲームの生成は困難です。
例えば、ちょっと前に倒した敵がすぐ生き返ってしまったりする
一方でゲーム画面に映っているHPや弾薬数などは記憶を維持できる
AIエージェントと人間の違い
AIエージェントは、必ずしも人間のプレイヤーと同じような行動をするとは限りません。
そのため、人間のプレイヤーがプレイすることを想定したゲームの開発には、さらなる工夫が必要です。
2. GameGen-O
まだ情報が少ないですが、GameGen-Oについても紹介します。
GameGen-Oは、テンセント社が発表したオープンワールドビデオゲームの自動生成に特化したAIの新モデルです。
Githubもありますが、まだ何も入っていない状態です。
https://github.com/GameGen-O/GameGen-O/
GameGen-Oの特徴
自動化されたコンテンツ生成: GameGen-Oは、キャラクター、環境、ストーリーラインを自動生成できます。
GameGen-OのAIモデル
オープンワールドビデオゲームの生成に合わせてカスタマイズされた初のディフュージョントランスフォーマーとなっています。
※ディフュージョントランスフォーマー: soraやStable Diffusion 3などで使われているAIモデル
GameGen-Oの活用イメージ
この動画を見る限りでは、画像生成AIを使うような感覚でゲーム生成ができそうです。
例えば「○○のようなキャラクター」「バイクで走る」や「霧が発生する」といったプロンプトでゲームに必要なあらゆるものを生成できます。
データセットについて
研究チームは、Open-World Video Game Dataset(OGameData)と呼ばれるオープンワールドビデオゲームデータセットを構築しました。
このデータセットには、3万2000以上の動画から厳選された4000時間以上の高品質ビデオクリップ、150以上の次世代ゲームをカバーしています。
GameGen-Oは、OGameDataを活用し、多様なジャンルやスタイルのゲーム生成が可能になります。
3. おまけ: EA(Electronic Arts)のゲーム生成AI
Electronic Arts(EA)もゲーム生成AIの開発を発表しています。
※EAはシムシティやFIFAのゲームを作っている大手ゲーム会社です。
投資家向けイベントでデモが発表されただけなので、リリースはまだまだ先ですが個人的にとても注目しています。
これまでEA社が作ってきた3Dアセット、コード、ユーザーのプレイデータを学習させており、とてもクオリティの高いゲームが作れそうです。
海外では猛バッシング
なぜかEAはこの発表直後、少し炎上しています。
ゲームクリエイターやアーティストは「自分の仕事が失われる」とか、
「段ボールの迷路にしたんだ。想像力がまったく感じられない」
と批判されています。
まだ企画段階なのでどうなるのかは分かりませんが、EAには炎上に負けず頑張ってほしいですね!
参考文献
「Diffusion Models Are Real-Time Game Engines」
オープンワールドゲームを生成するAI「GameGen-O」、テキスト化を省き瞬時に応えるオープン音声AIモデル「LLaMA-Omni」など生成AI技術5つを解説(生成AIウィークリー)
最後に
AI×ゲーム生成の波は、これらのゲームが正式にリリースされた時に、一気に波が来ると確信しています。
この記事以外にも、ゲーム関連のAIについて書いています。
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