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【メタデザインリサーチ】 大学生の持つ、経済活動への課題感

どうもどうも。ノムラです。
EC関係の会社でデザイナーやってます。(最近はデザインリサーチャーと名乗った方がよさそうな振る舞いしてます。)

業務とは全然関係ないのですが、この10月から母校の大学で非常勤講師をやってまして、リサーチとプロトタイピングをワークショップ形式で実践する授業を行なっています。

授業で取り組むテーマは「個人レベルの経済活動による社会課題の解決」です。
(ちょっと仰々しいので、学生には「なんらか売り買いをする際の、体験を良くするナニカを作る、くらいに考えてください」と伝えています。)

モノやサービスを売り買いする時に生じる課題を探してもらい、そしてその解決をする、という内容の授業です。
大学生のみなさん、経済やお金に対して様々な課題感を持っていらしてとても興味深いです。

で、EC領域でデザイナーやってる私としては、「学生みなさんの見つけた課題やその解決方法を整理すれば、イマドキの若者の持つ経済活動への課題感が垣間見れて面白いのではないかな?」などと考え、ざっくり分類整理してブログ記事化してみようかと思いまして、今キーを叩いてる次第です。

(デザインリサーチの授業を通して受講学生の課題意識をリサーチするという、なんだかメタなこの行為をメタデザインリサーチと呼ぶことにして記事タイトルを付けました。)

まずは授業概要をば

授業の概要をまずは述べます。

対象:デザイン工学科の3年生 約50人。
授業形式:オフラインのワークショップ形式。10チームに分かれて取り組んでもらう。
授業回数・時間数:週1回、1.5コマ(135分)。7週間行う。
授業内容
- [第1週] 模擬リサーチ(ユーザーインタビュー)
- [第2週] 課題探索・明文化・アイデア出し
- [第3週] 課題へのソリューションの提案
- [第4-6週] ソリューションのプロトタイピング
- [第7週] プレゼンテーション

授業風景はこんな感じです

おおまかには上記のような具合です。この記事を書いている時点では、授業は第4回まで終わっていて、プロトタイピングが始まったあたりです。

見出された課題

学生みなさんに、同級生や友人知人、家族などにインタビューをしてもらい、経済活動に関する課題を書き出していただきました。

とあるチームのインタビューメモと分析の軌跡

10チームがいろいろ課題を書き出してくれましたが、それらの内容をざっくりまとめると、以下のような感じです。

  • お金を貯める、運用する系
    貯金が苦手、無駄遣いを防ぎたい、投資のハードル高い… など

  • 購入行為のいろいろな手間・不便系
    情報が多すぎて迷う、決済手段やポイントカード多すぎる…  など

  • コミュニケーション系
    個人間金銭授受の過剰な遠慮、店員から話しかけられることを嫌がるために生じる機会損失… など

  • 生じる無駄をなんとかしたい系
    レシートや半券のような必然的に生じる無駄、食品や容器ロス、配達のエネルギーロス… など

大まかに書くなら、「お金の管理」「売り買いのスムーズさ」「コミュニケーション円滑化」「無駄(環境負荷)の解決」というところです。
どれも普遍的なテーマであり、「大学生・若者独特の観点」というわけでもないように見えますが、各チームの議論の過程など細かく見ていくと多様化する電子マネー決済やUberEatsのようなフードデリバリーサービスの影響が強く見て取れました。
また、社会人に比べて学生はやはり金銭的にシビアな状況の方が多くて、「無駄遣いを避けたい」「お金を貯めたい」へのフォーカスが強いようにも感じられます。(このへんは私大生と国公立大生とで差があるかもしれません。)

課題の解決

課題感を(いわゆるHow Might Weのような形で)学生に明文化してもらい、それに対する解決アイデアを出してもらいました。
1チームあたり30〜50個くらいのアイデアを出し、その中から取り組むアイデアをピックアップします。

とあるチームの解決アイデア

いくつか、個人的にキャッチーだったアイデアを取り上げてみたいと思います。

レシートを思い出記録につかう

「生じる無駄をなんとかしたい系」のアイデアの一つですね。
買い物のレシートをただ捨てるのでなく、思い出を残すツールに変える、という発想です。
「無駄だから無くす」ではなく、「無駄になってしまっているものを有効活用する」という方向で考えているのが好ましいです。

移動しながら調理する

こちらも「生じる無駄をなんとかしたい系」のアイデアです。
フードデリバリーの利用における様々なロスを無くし、かつ「食べどきを逃さない」ために、購入者が移動時間を利用して配達員の代わりを担う、というアイデア。
シンプルでありつつ、実現するには課題が多そうで、プロトタイピングの過程で大きく変わることが見込まれる点が、授業課題としてとても興味深いです。(取り組む学生は大変でしょうけど。)

オカンを倒す

「無駄遣いを防ぎたい」から発されたアイデアです。
何かを買う時、「それを買う必要ないでしょ」と指摘してくるオカンAIを説得するステップを踏む事で、商品の意義や自分にとっての価値をしっかり理解した上で購入します。
情報を調べたりレビューを見るだけでなく、それを自分の言葉で発するステップを用意する、という発想はいろいろ応用が効きそうで面白いです。

ソリューション提案とプロトタイピング

粗く出したアイデアについて、「誰をターゲットにするのか」「どんな社会的意義があるのか」などを整理して、プロトタイピングのための方向性を定めます。

「オカンを倒す」をソリューション提案として整理

そして、プロトタイピングに取り組んでいただいている… のですが、この記事を書いている時点ではまだプロトタイピングが始まったばかりで、お見せできるものはありません。
ペーパープロトや物理モックアップを作成しているチームもあれば、ソリューションを擬似的に実現して体験検証をしているチームもあり、成果物を見るがとても楽しみです。

まとめ

出てきた課題を俯瞰的に眺めると割と一般的・普遍的なのですが、詳細を見ると近年出てきたいろいろなデジタルサービスの影響が見て取れて面白いです。
そして課題に対するソリューション案を見ると、デジタルとアナログがごく自然に溶け合っている事と、そこに「金欠になりがちだけど、工夫してなんとかする」という学生らしさが見て取れます。

若者の貧困が叫ばれるようになって久しいですが、学生たちの課題に取り組む姿勢を見るに、「アナログ・デジタルを活用した、ちょっとした創意工夫」を促すような行為が、これからの経済活動のキーになるのではないか、などと思わせてくれます。

以上です!
学生向けの授業をしてみたらいろいろ気づきがあって楽しい!というだけのことを書いた記事でした!

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