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x地点の二十(+N)歳

少女不十分(講談社文庫) 西尾維新


 リプトンのアイスミルクティーってあるじゃないですか
 小さいパックに入っていて甘い奴

 私にとっての西尾維新さんはそういう作家さんで、十代の頃、部活帰りにコンビニで買ってよく飲んだ、みたいな そういう感じの印象なのだ 青春の味なのだ
 この歳になると迷わずリプトン! ということはまぁだいぶ減ってきていて、500ml(最近は減ったらしい)もいらねぇしなぁ あと甘いしなぁみたいな感じでコンビニで見かけてもチョイスすることは減ってきた
 そういうところもだいぶリプトンと西尾維新さんの共通点である いや好きだよ? 全然嫌いじゃないし気が向いたら全然飲むんだけど、言うてねこの歳にもなるとそろそろ飲むヨーグルトとか飲もうかなとか選ばれるのは綾鷹だなとかそういう渋めのこだわりも出てくる


 そんな訳で、どんな訳で?
 西尾維新さんが「京都の二十歳」だった頃、割と結構熱狂的に追いかけていたティーンも社会人となって
「少女不十分」という新刊も、名前は知っていた 新書で発売されていた頃に少し読もうか考えて、「まぁ今度でいいや」と本屋の書架に戻したのが、何年前だったのかちょっと思い出せない
 少なくとも数年は経っているわけなんですけど、その数年の間にこの作品はコミカライズされていたらしくて webコミックの無料配信アプリでその漫画を見て「えめっちゃ女子小学生好みの奴やん」と思ったのでとりあえず読みました
 コミカライズ漫画の何が良いって、原作のコスパの良さ

 で読んだ感想なんですけど

 想像の十七倍ぐらい、女子小学生が好み

  何を隠そうこの私、「育ちのよさそうな子供」という概念がめちゃ好き委員長
 そしてこの「少女不十分」に出てくる女子小学生、Uちゃんは、語り部(セリフは一つもないけどめちゃくちゃ語る)作中で五、六回言わなかった? そんな押すその要素? ってくらい育ちの良さを推してくるくらい育ちが良い感を醸してくるわけです
 コミカライズのように、表紙の少女がそのままUちゃんを表しているのだとしたら黒髪ブラウス白い肌無表情、かなり満貫に近い そろそろドラも載る


 そんな育ちよさげな女の子が、なんと男子大学生を誘拐監禁?! 奇妙な生活を続けるうちに少女の歪なアレソレにドギマギ!(婉曲表現)
 というのがこのお話のめちゃくちゃ大ざっぱなあらすじなわけなんですが

 話自体の感想も色々と(Uちゃんめっちゃ可愛い)(ド好み))(それはそれとして色々と思うところもあるなぁ)(大人になり切れない男子大学生と、まぎれもない子供である小学生のやりとりだと思うとこう)(こうなぁ)(回顧という形の文体で書かれているせいで、かつ西尾維新の小説という点も手伝って、私まで妙なノスタルジーを覚えてしまうの、術中にはまってる感がものすごくて悔しい…でも感じちゃう…)(ていうかそうか、私とっくにいーちゃんや玖渚ちゃんより年上になったのか…)(十九歳って今思うとどうなのってくらい…えっ未成年じゃん…は…?未成年……??)(ていうかキズタカとりすかちゃんに至っては小学生じゃねーーーか!!!!!!かわいくねぇ小学生だな!!!!!!!!!凶悪な目をした天使かよ!!!!!カンパしてぇ)あるのですが、
 なにより、この本を一時間で読み終えてしまったことにびっくりしました

 ここ数年、落ち着いて本を読むことが大分減って
 読んだとしても一日十ページとかそこらで力尽きてしまうことが増えました
 そもそも大学進学後あたりを境に「小説」というタイプの本を読むこと自体が減って、いわゆる学術書だとか、エッセイだとかを好んで読むようになったのも大きいかなと思います
 特に学術書的な本って、「次のページの展開は…?!」と焦らされるようなことが少なく、ぱらぱらめくって適当に手が止まった所から読み始めても満足できる形になっていることが多いので
 あと円城塔さんの本とか一日一冊読むの無理じゃない? 頭爆発しそうになるアレ

「京都の二十歳」を追いかけていた頃、そういえば一日に三冊も四冊も本を読んでいたことを思い出した
 勿論時間もあったし、ずっと同じ姿勢で読んでいられるだけの体力もあったんだと思う(最近ずっと本読んでると腰がマジで痛い)
 この本が物凄くハチャメチャに面白かったのかと言われると、一般的に好き好きが激しそうだなあとかそんなつまらない感想しか言えなくなってしまった私だけれど
 こういう、息継ぎの荒いような読書を延々続けては、部活で汗だくになったあと百円玉を握ってコンビニに向かいリプトンのアイスミルクティーをがぶ飲みするみたいな
 この本を読んでいる間、そんな頃の自分をちょっとだけ思い出せて、何だか楽しかった

 甘納豆食べながらこの記事書いてるので、今リプトンのミルクティーを飲みたいかと言われたら全然そんなことはないんだけどな!!!!!
 あと、西尾維新さん、対談本とかも出してるみたいなんで今度読んでみようと思います(対談本大好きマン)

https://www.amazon.co.jp/dp/4062191075/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_u.RfBbJMNP6JF

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