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特別視点  聖side

聖「…………」

昴は俺よりも攻撃能力が高い分………汚染を受けやすいのは俺も知っていたが………あそこまで深刻になっているのは知らなかった………


昴の汚染度合を診察で知った聖は目が見えない自分が今になって憎らしい


ルフィージュ「聖さん  また外を眺めてるんですか?」

聖「見えないけどな」

ルフィージュ「一切見えないんですか?」

聖「目を開ければ明るいか暗いかくらいなら見える  ………というか俺をここに軟禁するのは達者だがな  余り油断するなよ」

ただでさえ俺はお前達に武器を向けたんだから

ルフィージュ「確かに最初は混乱もしました  しかし貴方には守るべき子供達がいた………そして我々は貴方の敵の立場だった………そうなれば武器を向けられるのも不可抗力でしょう  ………代償として両眼の視力とあの子らの貴方との記憶を失ったのは………あまりにも残酷だと思います」

聖「甘いなルフィージュ  そんなんじゃ寝首掻かれるぞ  躊躇度合いで決まるんだよ  俺は一切躊躇したかった  それに反して昴は躊躇した  だから片眼だけで済んだ」


聖はアルタイル城内に軟禁されており基本的には外に出られない


ルフィージュ「…………」

聖「仕事に戻れルフィージュ」


そして無言になったルフィージュに対して遠回しに「出て行け」と聖は言い、ルフィージュも何も言わずに部屋から出ていった


聖「…………」

俺達は何のために戦ってきたんだろうね………ジーファ兄さん………

聖「失ってきただけ………奪ってきただけ………俺達が命懸けで守った世界は俺達のことなんて放置して………進展していく」

日本では昴だけ………アメリカでは俺だけが戦争を生き残った………アルタイルは「予備」であって戦争自体には不参加………居合わせた場所とタイミングが悪かった………

聖「蒼颯兄さん…………雅空兄さん………教えてよ………俺達が戦ってきた理由を………」

意味もなく命を奪ってきた理由を………


聖は戦争後  怪我の後遺症で武器を持てなくなりアルタイル城内又はそのテリトリー内に軟禁されており、自分の部屋には数千冊に及ぶ壁を埋めつくす本棚と本、ベッド、書き物用の机と椅子だけの質素な部屋で、窓は聖が足を伸ばして座れる程度の透明な出窓になっており、聖は生活感のない部屋で1人でいるのだが………昔はちゃんと衣食住ができるような部屋で自炊等もしていた………しかし戦争で兄弟を6人も亡くして息子も夫も亡くしたショックで聖は、自炊等の仕方を全て忘れてしまい覚えることが出来ないので、ルフィージュにとっては苦渋の決断で聖を軟禁しつつ今の部屋に移したのだ


聖「またお前らの作ったヌガーが食いたいよ………瑠夏………拓海………」


聖は昴よりも兄弟の死を悲しんでいた………誰よりも兄弟が好きで家族を愛していたからこそ………今の現状が苦痛だった


聖「ガーザスさん………ルイーク………会いたいよ………」

最後にもう一度だけ………一緒に家族団欒ご飯を食べたかった………


失った日常を思い出し泣きながら聖は両足を抱えてうずくまった………


〜次の日〜

聖「ルフィージュ  ジェイトは?」

ルフィージュ「訓練室にいるかと思いますよ」


次の日  聖は弟子でもあるアルタイル7代目司令官のジェイトを探しに訓練室へ


聖「…………」

ちょうど訓練中か………


丁度行ったタイミングに訓練が始まったので聖は出口付近に立って終わりを待つ


〜3時間後〜

ジェイト「!聖さん」

聖「ん………終わったのか?」

ジェイト「はい  すみませんお待たせして」

聖「いや いい  落ちてたから」

最近ふとした時に寝てることが増えた………歳も歳だししょうがないのかもしれないが………

ジェイト「俺に用があるってルフィージュから聞きましたけど………」

聖「シャワー浴びてきてからでいい  ここで待ってる」

ジェイト「分かりました」


聖は少し待っている間に寝落ちしており3時間後にでてきたジェイトに起こされ、ジェイトのシャワーはカラスの行水の為寝るまもなく髪を乾かした状態で戻ってきた


ジェイト「聖さん」

聖「久しぶりに少し散歩でもするか?ジェイト」

ジェイト「行きます」

昔に比べて大人っぽくはなったが………まだやっぱり子供っぽいな


まだ僅かに子供っぽさの残るジェイトに少し和みつつ少し城内の屋外で散歩をする


ジェイト「聖さん」

聖「………ジェイト  俺はいつか身体に汚染が回る  城内でそうなった時は俺を殺せ」

ジェイト「…………」

聖「………普通の銃じゃ俺には効かない  これを使えば有効だ」


聖がそう言ってジェイトに渡したのは唯一自分に有効な毒を使った弾の使えるハンドガン


ジェイト「聖さん………?」

聖「死ぬ時まで迷惑をかけたくないのが本音だが………こればっかりは俺にはどうにも出来ない………………ごめんな  ジェイト………お前にこんなことを頼みたくはなかった………だが俺にとって今残ってる俺の癖を熟知しているのはお前だけなんだ  ジェイト」


聖はそう言いながら悲しそうな顔を見せてその場を去った


???「律儀と言うかなんというか………」


そして部屋に戻る道中の人がいない廊下で聖は蒼髪青眼の青年と会う


聖「俺の運命を決めているのは誰でもない貴方でしょう  夜神様」

夜神「………受け入れすぎも考えものだな  聖  お前は代償を背負ってる  だから今来た」

ん?ど言うこと?

聖「はい?」

夜神「まだ聖の背負う代償の対価を払っていない  ………だが………お前自身の体に対価を支払うことが出来ない  だから別の方法で対価を支払う」

聖「あの………言っている意味が………」

夜神「忘れたものは今は眠っているだけでいずれまた目が覚める」


と謎の言葉だけを残して「夜神」と呼ばれた青年は消え、聖はクエスチョンマークだけを浮かばせて自分の部屋へと戻っていく



彼の言う「忘れたものは今は眠っているだけ」という意味を理解するのは後10年後の話………

 

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