記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。

『超探偵事件簿 レインコード』クリア感想。(ネタバレ有)

レインコード本編だけではなく、ミステリ有名作のネタバレも若干含まれる。
ダンガンロンパ未プレイ勢。
ミステリは昔よく読んでいた勢。

◯プレイ状況
メインストーリー、クリア済み。プレイ時間は18時間。
サブクエストは1章だけやった。
1章だけやって面白くなくて耐えられなくて、2章からはメインストーリーのみプレイ。
キャラエピソードもあまり開放できていない。
よって、メインストーリーに限った感想。

◯ざっくり感想
メインストーリーはそこそこ面白かった。
キャラクターと世界観も良かった。
ゲームシステムはとても良くなかった。

◯システム
面白かったメインストーリーの話の前に、先にシステムに苦言を呈しておく。
メインストーリーで気持ちよく「良かった」と言ったあとにシステムにぶーぶー文句云うのは気が乗らないため。
えっと、ロードが長い。
それも相成って、謎迷宮のテンポが悪い。
謎迷宮内のゲームプレイが面白くない。
(謎解きの手順やらペースは良いと思う)
ボイスとの兼ね合いか、会話送りのテンポが悪い。
早送り機能、別にボイス再生も早送りで良かったのでは。声消えちゃうの違和感。

◯メインストーリー感想
0章: 70点
1章: 80点
2章: 95点
3章: 40点
4章: 85点
5章: 65点
エピローグ: 好き
以下、章ごとの個別感想。

◯0章
ぱぱっと感想。
・まぁ導入としては難易度こんなもんか
・めっちゃ丁寧

ミステリのお約束を凄く丁寧にやっていて好印象だった。
具体的には『似ているものは誤認(主に入れ替わり)させるために存在する』ってところ。
チェーホフの銃みたいなもんで、似た構図は概ねトリックに絡むんだよな。(逆手に取ってミスリードに使ってもいいけれど、少し邪道かな)
というわけで「1号車と5号車の配置が同じ」「5号車の扉が何故か開かない」の時点で、
事件発生前には使われるメイントリックはわかっておしまい。
あとは事件発生後で『顔のない死体』も同様。死体の入れ替わり、誤認知利用が確定。

「丁寧だな」と思ったのは、わざわざ1号車のプレートを焼いたところ。
あそこでミステリ初級者にも「この犯人は号車を知られたくなかった」と明確に伝えられる。
あんなの、別個で5号車のプレートを用意して付け替えるだけでいいのにね。
保健室のユーマの血という糸口がある以上、必須ではない情報。

評価・感想まとめとしては、
トリックはダイナミックで面白かったけれど、
驚きは少なかったので少しマイナス。
あと被害者と犯人への思い入れが無かったのでマイナス。
トリック一本勝負だと、どうしても限界はある。
良い導入だったと思う。

◯1章
ぱぱっと感想。
・見立て殺人、いいよね
・密室は多いに越したことはないね
・おお、探偵特殊能力おもしろい
・真相二段構えも良いなぁ

クギ男という伝説の見立て殺人。
なんとお得な密室殺人4個セット。助かる。
この密室もトリック配分が良い。「扉以外から出た」が2個、「扉から出た」が2個。
探偵特殊能力 ( ・∀・)イイ!!
こういう異能を使ったヴィジュアル的な推理モノはゲームでないと実現できないため、
これはレインコードならではのミステリ体験だな、と強く頷いた。
「ゲームという媒体なのだから、ゲームでしか出来ない体験をしたい」という気持ちに答えてくれた。
ちなみに真相二段構えは調査段階では気づかなかった。
リアルタイム調査段階では「第三の密室だけ撲殺だし、人形少ねぇな」と思っていたにも関わらず、
結局は密室を見るとハウに集中してしまい、他のことへの思慮が浅くなるため。

ちょっと犯人当てには納得いっていない面もある。
確かに『神父』という役職から「救いたい」という願いをホワイに繋げるのは綺麗。
だけど教会内の焼却場で見つかったロープの燃えカスを根拠にするのは弱いし、
「偶然、教会に健常な痩せ型が神父しかいなかったんでぇ...」みたいなところもある。
あと第二犯人はホワイとか経緯が全く不明なので、
当てても釈然としなさは残った。
でも過去視のペンキは凄く良かったと思う。気づかなかった。
『第一発見者の映像』という能力設定をマジでちゃんと活かしている。
これ凄くフェアで、ちゃんと頭がそっちに回れば「過去視でペンキが倒れているのはおかしい」って気付けるはず。

評価・感想まとめとしては、
トリックはどれも簡単だけど、手数と量で満腹。
調査も能力を活かして楽しい。
犯人当てパートは微妙。第一犯人の根拠は薄い、第二犯人は動機が薄い。
良い能力探偵モノ第一章だった。

◯2章
ぱぱっと感想。
・好き
・好き!
・好き!!!
・演出◎、テーマ性◎
・トリックは少しだけ美しくない

これに関しては『好き』一本背負い。
--閑話--
自分語り入ります。
えっと、『オリエント急行の殺人』が大好きでして。ネタバレあります。
オリエントには「探偵とは何を目指して謎を解くか」という側面があって、
自分はそれがとても好き。
一般に「人の世において、裁くのは司法であるべき」という正義があり、
故にミステリには『殺人』という「人が人を裁く傲慢」に対してNOを突きつける構図がある。
では「司法の裁きを逃れた、明確な悪がいたら?」という仮定。
それは「法が為せなかった、誰もが願った裁きを実行することは、本当に悪いことなのかな」という探偵への投げかけでもある。
まぁ、2章はそういうことです。
--休題--

最初の思考本線は「元々は仲良かった5人だけれど、競争の激しい演劇部という環境と、アイコを中心とした痴情のもつれによる仲間割れ」だったけれど、
調査段階で集合写真にカンナが入るスペースが無いと気づいた瞬間の「そういうことか......終わった……」感やばかったっすね。
「もうやめよう。解散!解散です!他殺は不可能なのでカンナは自殺です!」って言いたいプレイヤーに対して、どうしてもそうさせないのが「保安部が捉えた容疑者が、無罪であろう依頼人のクルミ」という事実。そして保安部に囲まれる主人公たち。
解くしか……無いじゃん……。
加えて謎迷宮。序盤にカンナの怪人が「私は自殺だった」と投げかけてくる。
もう終わりだよ、この事件。
復讐のために不仲の演技に徹した思春期少女たちを裁きたい人間、いるわけあらず。
この事件でプレイヤーに提示される『レインコード』の作品テーマ。
「ただ謎を解く存在としての探偵は、在り方として正しいのか」
「探偵は犯人を裁く存在として肯定されるのか」
が、重くていいっすね。非常にオリエント的で好み。

ホワイダニット、満点。フーダニット、満点。
でもハウダニット......ちょっとなー。
都合の良すぎる薬品。ありえないほどずさんな管理の化学室。
加えてスポットライトのトリック。
「先にライトを照らした方」って無理あるでしょ。
左右どちらのワインに毒が入っているかは意思介入出来ないカンナ次第で、演出上スポットライトが交差するように照らす必要がある。
必ずしもクラネが先に照らせるとは限らず、そうなるともう一人の照明係も共犯じゃないと不可能じゃんね。

評価・感想まとめとしては、
トリック周り以外は満点。
『レインコード』の作品テーマにも切り込んだので素晴らしい。

◯3章
話すことないです。作り直すか削ったほうがいい。

◯4章
ぱぱっと感想。
・つえートリックだ
・納得いかない部分もあるし、トリックやりたかっただけだなこれ
・にしてもつえートリックだ

調査中に特に真相には気づかず。
これまでの章は、やっていたら途中になんか自然と気づいてしまったけれど、
別に解こうと思いながらプレイしているわけでもないため、わからない状態を是として謎迷宮突入。
いやー「探偵能力を犯行に利用」はどこかで使われうるネタだと思っていたけれど、「他人が探偵能力を使ってくれる」前提で犯行を作るのは流石に意識の外。
そして「死ぬ前提で突入して殺人実行」で「別の死因で先に死ぬことで偽装」はちょっと壮絶強すぎて笑う。
問題はその殺意に釣り合うだけのホワイがあるべきというか......。
いや、ホワイはあったのだけれど、それが明示暗示されていないと少しもにょるというか......。
そして犯行についても「然るべき局面になったら、信頼している部下たちが探偵能力を駆使して最奥までたどり着いてくれる」という考えはとても納得感あるし美しいのだけれど......その「然るべき局面」になるかが運ゲーだったのがイマイチ。博士次第というか。博士に対する強めの誘導あったようにも思えない。見落としたかな。
あと「30分後に致死性の毒」って攻撃装置としては優秀だけど防衛装置としては欠陥だとは思っていた。今回みたいな鉄砲玉に負ける。防衛装置としては即効性の睡眠ガスの方が遥かに偉い。なんかこれも2章の薬品みたいに、トリックを成立させたいがための不自然な環境に見えてもにょる。
作品のテーマである『それでも真実を求めるのか』には踏み込めたのでそこは好き。
--閑話--
4章のタイトル『キミのすべてが0になる』はやっぱり『すべてがFになる』を連想するけれど、正しかったなー。
閉鎖的な研究施設で被害者がロボットに乗って現れるのと、加害者がロボットに乗って犯行をするのが対比的。
--休題--

評価・感想まとめとしては、
トリックだけ満点。
もーちょっとここに至るまでに所長の掘り下げがあった方が良かったなぁ、というのが少し残念。

◯5章-エピローグ
まぁ順当って感じ。
ホムンクルスの話が出た時点で街全体というのは想像がつくため。
(確証を持ったわけではなく、そういうのもありうるよなーと脳内に思い浮かぶ程度。でも脳内に思い浮かぶと解答編でも「それだったかー」となる程度に収まるので驚きは薄くなる)
でも、血のギミックは驚いた。完全に思慮の外。
ゲームのCERO都合とかかと思っていたけれど、確かに0章でユーマ君の血は赤だった。
そしてカナイ区の答え合わせより大切なのが、ユーマの答え合わせ。
別にユーマがNo.1だったとかはどうでもいい。
物語として大事なのは「ユーマは何を想って死に神と契約したのか」と「死に神と契約したユーマは何を得たのか」の部分。
そしてそれが『託す』というテーマと『人を幸せにする』という願いに集約して、
ああ、いいな。と思うわけ。
見つけた真実が常に皆を幸せにするとは限らないけれど、
それでも皆の幸せを目指して、今日もどこかでユーマは謎を解いているはず。

あと死に神ちゃんも良かったけれど、なんか最後のシーンが凄くいい感じだったから誤魔化されているだけで、こいつ実際のところ何者かよくわからんし、ばかばか犯人殺していた事実は変わらんな?と思いつつも、なんか最後のシーンが凄くいい感じだったというのは全てに勝るので良し。

◯おわりに
続編が出るなら買います。
好きなキャラは順当に死に神ちゃんとハララ・ナイトメアです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?