はしりがき

孤独。

ひとりでたつといふことをかんがえる。


独立。どくりつ。

ひとりよのなかへたちむかひ、あるひはあらなみへこぎだすやうなきがする。ひとりたくましくいきてゆくやうにおもはれる。


孤立。こりつ。

くささへはえぬあれのにたちつくしてゐる。ちからみなぎるやうにはおもはれぬ。よのなかへせをむけただうつむいてゐるふぜいである。


これらのふたつはおほきくちがつてゐる。ひとりでたつとことばにしたところでこれほどことなるimpressionをあたへる。


ひとりでたちあがらうとしてうまくゆかないときがある。ちいさなこどもでさへなにかちかくのものへつかまりやつとひとりでたつのである。

たれのちからもかりずひとりにてたつ、といひながらこれほどまでにけしきがことなるのは「ひとり」のいみをとりちがへてゐるやうにおもはれる。

ひとといふのはひとりではいきてはいかれないのだからひとりたつといつたところですでにひとりではなく、やみくもにあれのをゆくやうなことはやめたまへ。

そのひとがいままさにたちあがらんとするすがたをぢつとみてゐる。みてゐるひとがてをさしのべずとも、だれかがじぶんをみてゐるといふそれだけでひとは孤独ではない。こころをかけるといふことである。そしてじぶんはひとりではないとはらにおちたときひとはひとりでたちあがる。