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ドラッカーが教えてくれた路地裏のカフェの経営

長いことお店なんかをやっていると、こんな路地裏のカフェにまで売り込みの電話が来て「うるさいなあ」と思ったりするけど、自分自身も営業を生業としてきた。

営業マン時代に大変お世話になった専門学校の広報部長は、
「本当に素晴らしい学校になれば広告はいらないだろう。その素晴らしさとは、学校の場合は教育内容のことだろう。だから教育内容に、まだ不十分なところがあるから広告に頼っているわけだが、いったい何を広告に書けというのだね?」とおっしゃった。
単なる断り文句だったのだろうが、何か大事なことを言われたような気がして、返答に詰まって、考え込んで、それってこれのことだよな、と思い出したのがドラッカーだった。

企業の目的の定義はひとつしかない。イノベーションとマーケティングで顧客を創造することだ。 - 中略 - マーケティングとは、買わないことを選択できる第三者に、喜んで自らの購買力と交換してくれるものを提供する活動のことである。 マーケティングの狙いは、顧客というものをよく知って理解し、製品が顧客にぴったりと合って、ひとりでに売れてしまうようにすることだ。

ピーター・ドラッカー『マネジメント』

広告の必要の是非を超えて、経営努力の本道を指し示す不滅の真理だと思う。

スターバックスのコンセプトはよく知られているように「第三の場所」というものだ。職場でも家でもない、第三の「場所」を提供することが彼らの主務である。
私たちの店のコンセプトは「現代のオイコス」であるから、地域社会に調和して、我々の持つリソースを役立ててもらう、ということが目的、ということになるだろう。
そしてこの店の立地は、そのコンセプトを最も顕在的に表現した戦略であり、地域の皆様の日常に、美味しい菓子とコーヒーを提供するのが、我々のミッションなのだと思う。

また、ドラッカー自身は、「利潤の追求」は長期的に見ると会社の存続に悪影響を及ぼすことが多く、企業の商材が社会に価値を生み出していくことこそが経営の要諦であるという言い方をしている。
我々のような小さな事業ではこのことはまさに真理で、身の丈を超えた利潤を得るために考慮しなくてはならない「付加価値」は、いつか必ず自分たちに重い負担となって返ってくるだろう。

これからもなるべく「付加価値」に背を向けて、地域と我々自身の家業のために頑張って行きたい。

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